中国語の指針
日本が中国と古くから深いかかわりをもっている事はみなさんも御存じだと思います。稲作の伝来からはじまり、文字、建築など、日本の歴史は中国の存在なくしては語れません。また、中国の歴史そのものに興味を持っている方も多いのではないでしょうか。「三国志」をはじめ、中国を舞台とした歴史小説は今でも多くの読者を魅了し続けています。近年の日中間の人の往来を見ても、日本人の中国旅行者数は年間300万人以上、中国人の訪日旅行者も100万人を超えています。みなさんが街中で中国語を耳にする機会はおそらく着実に増えており、中国は日本にとって「近い」国であるといえるでしょう。
そんな「近い」はずの中国ですが、日本の内閣府が行っている「外交に関する世論調査」によると、ここ数年来、中国に対して「親しみを感じる」という人はわずか20%であるのに対し、約80%の人が「親しみを感じない」と回答しています。尖閣諸島問題や中国の反日デモなどが連日報道され、みなさんの中にも「中国は一体何を考えているのかわからない」と不安や不快感を覚えている人が多いのではないでしょうか。
では中国は日本にとって「遠い」国になってしまったのかと言えば、それもまた違います。みなさんの先輩たちのアンケートを見ると「こんな時代だからこそ学んでおかなくては」と考えて中国語を履修する人がはっきりと増えています。今は「不安」や「不快感」という形をとっているかもしれませんが、日本における中国への関心は明らかに高まっているのです。これは「無関心」に比べよほど望ましい状況であり、日中関係は「ピンチをチャンスに変えられるかどうか」という新たな局面に来ていると言えるでしょう。
中国に限った事ではありませんが、他国を理解するためには、その国の言語を理解する事がもっとも近道です。中国語の授業を選択するみなさんには、メディアの一方的な報道や、中国に関心のない人たちの言葉に煽られること無く、自分自身の目と耳で中国を判断することができる「知中家」になってもらいたいと期待しています。
さて、本学でみなさんが学ぶ中国語は、「普通話」と呼ばれる中華人民共和国の公用語です。表記はすべて漢字ですが、日本の常用漢字とは異なる「簡体字」が使われます。日本のものと全く同じ形・意味の字もあれば、形が全く違うもの、意味が全く違うものも数多くあります。
中国語の授業は週2コマ4単位で構成されています。序盤は発音を、中盤以降は文法習得に重点を置き、終盤に向けて会話や作文練習の比重を高めていきます。中国語は音程によって意味が変わる「声調言語」のため、みなさんにとって発音の習得は最初の高いハードルとなります。しかしそこをクリアすれば、語彙や文法は日本語と共通の部分も多く、学びやすい言語です。この授業を通じて是非「知中家」医療人への第一歩を踏み出して下さい。
開講科目
教養部ホームページ「学生生活」の中にある「教務関係」内のシラバスを参照して下さい。
http://www.tmd.ac.jp/artsci/campuslife.html
学習の手引き
- 辞書
- 杉本達夫・牧田英二・古屋昭弘 共著『デイリーコンサイス中日・日中辞典』 三省堂
- 国際語学社編集部『医療現場で使える日中英−中日英辞典』 国際語学社
- 董燕・遠藤光暁『わかる中国語単語』 朝日出版社
- 張恩濤・小針朋子『暮らしの中国語表現5000』 株式会社語研
- 北京対外経済貿易大学『日中辞典』 小学館
- 北京商務印書館『中日辞典』 小学館
- 相原茂『現代中国語新語辞典』 講談社
- 石井米雄・千野栄一『世界のことば・出会いの表現辞典』 三省堂
- 施・坂江徹・兵頭和美 『中国語現代用語実例辞典』 南雲堂フェニックス
- 参考書・学習書等
- 相原茂『発音の基礎から学ぶ中国語』 朝日出版社
- 郭春貴 『誤用から学ぶ中国語―基礎から応用まで』白帝社
- 鈴木達也『基礎から学ぶ中国語』 金星堂
- 遠藤光暁『中国語のエッセンス』 白帝社
- 相原茂・木村英樹・杉村博文・中川正之『中国語入門 Q&A』 大修館書店
- 董燕・遠藤光暁共著『わかる中国語単語』 朝日出版社
- 相原茂・荒川清秀・喜多山幸子・玄宜青・佐藤進・楊凱栄『中国語教室 Q&A』 大修館書店
- 董燕・遠藤光暁『セルフマスター 話す中国語入門編』 朝日出版社
- 董燕・遠藤光暁 『セルフマスター 話す中国語応用編』 朝日出版社
- 小川泰生・張健・富永一登『中国語実用手紙の書き方』 白帝社
- 劉 月華・他 (著), 片山 博美・他(訳)『現代中国文法総』 くろしお出版
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