1.
EBV感染モデルマウスの開発と応用
2.
鼻性T/NKリンパ腫の研究
3.
EBV陽性鼻性T/NK リンパ腫の発生・再発のメカニズム解析
4.
EBV陽性gdT細胞株の解析
3.EBV陽性鼻性T/NK リンパ腫の発生・再発のメカニズム解析
我々は、鼻性T/NKリンパ腫症例より採取した腫瘍細胞を長期培養する技術を確立し、詳細な解析を可能とした。 
今回、臨床的に再発と考えられた鼻性T/NKリンパ腫2症例(症例1:44歳男性、症例2:48歳女性)を経験した。それらの症例の初発、再発時に採取した腫瘍細胞を培養により純化し、解析することによりリンパ腫発生、再発のメカニズムを検討した。
患者の腫瘍部、末梢血より腫瘍細胞を採取、長期培養し、細胞表面抗原、染色体、T細胞受容体(TCR)の再構成、感染EBVのクローナリティーを解析した。その結果、初発・再発ともに症例1はNK細胞、症例2はγδT細胞由来の腫瘍であった。何れの症例も再発時に認められた腫瘍細胞の染色体異常の数が初発時より少なく、また症例2では初発と再発の腫瘍細胞のTCR再構成パターンが異なっていた。これらの結果より、再発時の腫瘍細胞は、治療効果が及ばずに残存した初発時の腫瘍細胞より時系列的に生じたものではなく、独立に発生した可能性が示唆された。しかし、初発・再発時で腫瘍細胞に感染しているEBVのクローナリティーは同一であったため、腫瘍発生の源には、治療抵抗性のEBV感染不死化NKあるいはγδT細胞が存在し、再発の温床となっている可能性が示唆された。
本検討より、鼻性T/NKリンパ腫の治療には、このような細胞を標的とした治療法を組み合わせることが必要と考えられた。

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