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う蝕制御学分野の研究は、う蝕の診断から治療、メンテナンスに至る一連の基礎および臨床的研究を行っています。とくに著しい進歩を遂げている接着材料や審美材料などの最先端の開発、評価や臨床応用に関する研究では、世界の最先端を目指しています。

また、人口口腔装置を用いたバイオフィルムの研究、初期う蝕の診断やその予防、再石灰化など、う蝕治療を変える新しい研究にも積極的に取り組んでいます。

 

■MENU

acid-base resistant zone
歯牙フッ素症における接着
間接法修復における接着
無髄歯における接着
セルフアドヒーシブセメントの接着性能
レジンに対する加温が物性および接着性能に与える影響
コンポジットレジンの象牙質接着性向上に関する研究
う蝕活動性診断におけるpH分析の応用
人工口腔装置を用いたう蝕の発生メカニズムの解明と予防法の分子生物学的研究
コンポジットレジンの重合収縮応力緩和法
接着性修復物の接着性評価
修復物の生体親和性評価
根面カリエスの予防法の確立
ジルコニアに対する接着

 

従来観察されてきた樹脂含浸層直下に酸・塩基処理に対して抵抗する層、Acid-Base Resistant Zoneの存在が発見された。この層には材料依存性があり、セルフエッチングプライマーシステム、特に2ステップボンディングシステムやフッ素徐放性の材料を用いた場合に厚くなる傾向がある。修復物周囲における2次う蝕抑制の可能性を持つと考えられており、SEMやTEM、EDSなどを用いた研究が進められている。

フッ素歯牙症とは、歯牙発育中の慢性的なフッ化物の経口摂取によって引き起こされるエナメル質と象牙質の形態異常、形質不全である。象牙質は、アパタイト結晶やコラーゲン細線維レベルでの形態学的異常を呈する。このような構造異常はフッ素歯牙症におけるエナメル質とは逆にう蝕罹患傾向を示す。これまでの研究において、現在の接着システムではこのように病的な状態であるエナメル質や象牙質に対し、健全歯質と同等の接着効率は持ちえないことがわかってきた。

インレーやクラウンなどの間接法修復においては、接着を有効活用する方法としてレジンコーティング法が注目されている。レジンコーティング法とは、窩洞形成直後にボンディングシステムとフロアブルレジンを形成面に塗布して露出した象牙質を保護し、レジンセメントと象牙質との接着性の向上を目指すものである。さらに、コーティング材を塗布された象牙質表面にはSuper Dentinが形成されて、う蝕抵抗性も強化されると考えられる。

 

実質欠損が大きく歯質強度の低下した無髄歯でも、接着を応用し歯質を補強する事で、破折の防止が可能となった。しかし、歯冠部のみならず、歯根部や髄床底部象牙質に対しても高い接着が要求されるため、材料の研究や修復方法の確立が重要である。近年、接着修復は歯質の補強だけでなく、象牙質表面に樹脂含浸層と緊密なコーティング層を形成する事で、コロナルリーケージを抑制し、根尖病巣の再発防止にも寄与する事が分かった。

 

歯面処理を必要としない接着性セメントは、操作が簡便であり理論上、術者の技能による影響が少なくなる。しかしながら、すべてのセメントが同じ性能や特徴を有するわけではないので、接着性能について研究を行った。

 

充填用コンポジットレジンを予め加温し流動性を一時的に変えることによって、窩洞内面へのレジンの適合性が向上することが知られている。臨床上、なじみが向上することは有利であるが、加温により接着性能や物性に不可逆的な影響がないかについて調べている。

 

近年、審美歯科に対する需要の増大、歯質接着材料の開発に伴い、大小様々な窩洞形態に対する直接レジン修復の適応が拡がっている。接着に影響を及ぼす窩洞形態をふまえまた象牙質接着性能を向上しうる光照射器の開発および検討を行っている。

株)堀場製作所との共同研究のもと臨床用微小pHセンサーを開発し、臨床の場で客観的に把握しにくかったう蝕の進行や再石灰化状況などを、pH分析で数値化する診断法の開発に取り組んでいる。さらに、pH分析対象を唾液検査にひろげ、定量的唾液酸緩衝能評価の確立に取り組み、デジタルpHメータを用いた唾液酸緩衝測定器“チェックバフ”を開発・商品化し、チェアサイドにおけるカリエスリスク評価に応用している。

 

「虫歯の成り立ちは?」、「虫歯になった歯の構造は?」或いは「効果的な虫歯予防法は?」。当研究班では、これらの疑問に答えるべく研究を行っています。特徴としては、様々な形態を持つプラーク(Biofilm)或いは虫歯(う蝕)を人工的に生成する人工口腔装置を用いて、細菌・分子生物学的(遺伝子・蛋白解析)に、“う蝕”を研究している点です。さらに、この技術を用いて、臨床を見据えた研究にも力を注いでいます。特に予防に関しては、これまでに安全且つ効果的な新予防法を提案してきました。アルカリ電解水のBiofilm溶解能、次亜塩素酸電解水及びオゾンの殺菌能などの研究もその一つであり、研究を進めています。

 

メタルフリー修復を行う上で、歯の色を良く再現できる光重合型コンポジットレジンが広く用いられているが、レジンは硬化に伴い収縮すると言う問題がある。この重合収縮は、レジンと歯質のギャップ、歯質の亀裂、歯髄刺激、二次齲蝕などを惹起する。近年、レジンを硬化させる際の光照射法にSlow-start curing method(光の強度を弱くして照射した後、光の強度を強めて光照射を行う方法)を用いること、また低粘度のレジンを使用することで、光重合型レジンの重合収縮応力を緩和し、窩壁適合性と接着強さを同時に向上させることが判明した。

 

独自の新しい接着試験法を開発し、接着性修復物の接着性や耐久性の試験を行なっています。歯のような小さな組織において、修復部位による違いを検出することも可能であり、精度の高い試験方法として、評価を受けています。また、電子顕微鏡レベルでの漏洩試験を、各種接着性修復物において行なっています。

 

各種修復材料の生体親和性や適合性を、in vivoの歯髄試験などにより、実験を行なっております。特にコンポジットレジン修復の歯髄反応試験は、コンポジットレジンの開発当初より行なっており、蓄積された実験結果は歯科臨床における貴重な情報として、評価されています。

 

高齢社会における歯の根の齲蝕の予防は重要なテーマです。露出した象牙質の齲蝕抵抗性は低いが、接着材の活用によって耐酸性を向上させ、根面齲蝕を予防できる可能性があります。根面象牙質に対するボンディング剤を用いたコーティングは、ボンディング材の種類、被膜厚さ、重合性によってその効果は異なるが根面齲蝕の抑制に有効であることが分かりました。

 

ジルコニアは、整形外科の分野で人工関節に使用される生体親和性に優れた材料です。その優れた審美性および強度のため、近年、歯科でも応用されるようになりました。現在頻用されている、金属の上に瀬戸物を焼き付ける被せ物は、金属アレルギーの恐れがあり、審美的にもジルコニアの被せ物に劣ります。また、従来型のオールセラミッククラウンは、審美的ですが、強度に問題があり適用できるケースが限られています。ジルコニアは、これらの問題を解消した材料ですが、歯科用のセメントに対する接着性が十分ではありません。本講座では、ジルコニアに焼き付けるセラミックを応用して、セメントに対するその接着性の研究を行っております。