ご挨拶・沿革


 当分野は、手術や画像診断等の解剖学的発生学的基盤の形成を通じて臨床医学のサポートを行うことをめざしています。人体解剖学の教育は全身をあつかうものであるため、領域による扱いの差というものはありません。よって研究においても、全身すべてを対象としております。手術法や技術に左右されることなく、古典的ではありますが、人体をありのままに観察することによって見えてくる形態を表現し、示説することが重要だと考えています。それらの観察結果を臨床医が利用しやすい形に表現することで、解剖学的な基盤つまりは共通言語のようなものを作り出すことを目指しています。さらには、それらの形態がどのようにして形成されたのかということを考えることも重要だと考えており、実験発生や発生生物学的手法を用いた解析も行っています。
 臨床解剖学は、かつて局所解剖学、外科解剖学と呼ばれていたものであり、臨床の場からの問題提起に対して解剖学的に答え、臨床の現場に反映していただくことを目指したものです。かつては、マクロレベルの解剖学を中心でありましたが、内視鏡(胸腔鏡、腹腔鏡、関節鏡等)外科の発達により、視野の拡大が見られ、これまではあまり問題にされなかったレベルについての議論が行われるようになりました。このミクロレベルの解剖学的知見とマクロレベルの解剖学所見とを融合することが求められるレベルを、中間的という意味を持った用語であるメゾレベルと定義し、今後このレベルの解剖学の発展を目指していきたいと考えています。
 さらには、それらの形態がどのようにして形成されたかを考え、確かめていく研究も重要です。組織学的な構造の3次元的広がりを探ることがメゾ解剖学の目指すところであります。さらに時間軸を加えて、4次元的な配置を検索、考察していくことが求められています。実験発生や発生生物学的手法を用いた解析も行い、様々な手法を用いてヒトの身体を理解することが臨床解剖学分野の目指すところです。
 ぜひとも、多くの方々と協力してこの分野の発展を目指していきたいと思っています。

臨床解剖学分野教授 秋田恵一





 

沿革

  1954年11月   解剖学第二講座として独立
  大内弘教授が就任(1955年8月 岡山大学へ転任)
  1955年12月   新島迪夫教授が歯学部から移籍(1972年11月 御逝去)
  1974年 1月   佐藤達夫教授が東北大学から着任(2003年3月 定年退官)
  1999年 4月   大学院大学化に伴い機能解剖学分野へ名称変更
  2003年 4月   臨床解剖学分野へ名称変更
  2010年10月   秋田恵一教授が同分野准教授から昇任



教授経歴

学歴

 1981年 3月   北海道立札幌南高等学校卒業
 1987年 3月   札幌医科大学医学部医学科卒業
 1987年 4月   東京医科歯科大学大学院博士課程入学(医学部解剖学第2講座)
 1991年 3月   東京医科歯科大学大学院修了


職歴

  1991年 4月   東京医科歯科大学医学部解剖学第2講座 助手
  1996年 4月   東京医科歯科大学医学部解剖学第2講座 講師
  1999年 1月   東京医科歯科大学医学部解剖学第2講座 助教授
  1999年 4月   東京医科歯科大学大学院機能解剖学分野 助教授 (大学院化に伴う変更)
  2003年 4月   東京医科歯科大学大学院臨床解剖学分野 准教授 (分野名称変更)
  2010年10月   東京医科歯科大学大学院臨床解剖学分野 教授


海外研究歴

  1993年10月〜1995年9月   連合王国 University College London 医学部解剖学・発生生物学講座
  2000年10月〜12月   連合王国 King' College London 歯学部・発生生物学講座
  2001年10月〜12月   大韓民国 延世大学校歯科大学 解剖学教室 招待研究員



東京医科歯科大学
臨床解剖学分野

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