メンバー | |||||||
准教授 田川一彦 非常勤講師 曽根雅紀 (東邦大学理学部講師 曽根研究室) 特任助教 伊藤日加瑠 特任助教 笹邊俊和 特任助教 藤田慶太 特任助教 吉田千里 特任助教 本木和美 特任助教 陳 西貴 技術員 田島たよ子 溝井千春 秘書 岸本麻里 博士4年 徐 敏 Li Chan 博士2年 張 弘 博士1年 毛 瑩 フリーセメスター 阿部大数 ** 岡澤研OB(東大神経内科〜東京都神経研〜東京医科歯科大学) 鷲崎一成(国際医療福祉大学教授) 村田美穂(国立精神神経センター部長) 亀井真樹(代々木公園診療所所長) 今福一郎(横浜労災病院部長) 藁谷正明(松戸市立病院医長) 竹内壮介(国立国際医療センター医長) 星野将隆 (船橋総合病院部長) 奥田智博 (富山化学工業) 戚 美玲 (埼玉県総合リハビリテーションセンター医長) Sam Barcley (Imperial College of London) 曽根雅紀 (東邦大学理学部講師) 小室晃彦 (新潟薬科大学准教授) 榎戸 靖(愛知県発達障害研究所室長) 卒業生 修士 堀内大輔 (三菱化学) 修士 稲垣玲奈 (帝人) 修士 高橋慧子 (ゼリア新薬) 修士 伊藤若菜 (東京大学大学院) 修士 吉武綾薫 (クロノバ) 博士 伊藤日加瑠 (当分野 特任助教) 博士 塩飽裕紀 (研修医) 修士 秦 知香 (ミノファーゲン) 修士 白石理沙 (シミック) 修士 雪 由江 (マイクロン) 修士 今村朋美 (放射線医学研究所) 修士 黒巣圭祐 (ロッシュダイアグノスティクス) 博士 中村蓉子 (現・医学部5年 MD-PhDコース) |
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准教授 田川一彦 アデノウィルスベクターを用いた初代神経細胞における変性疾患タンパ クの発現系とマイクロアレイ解析の当研究室における確立に多大な貢献を果たしてくれました (Tagawa et al., Journal of Neurochemistry 2004)。下図は田川さんの撮影した変性疾患タンパクが 凝集してできた "美しい" 細胞内封入体です。 この初代培養神経細胞の発現系を用いて、ポリグルタミン異常蛋白発現下の遺伝子発現変化をマイクロアレイによって網羅的に解析した結果、シャペロン蛋白HSP70が、小脳神経細胞においてのみ、異常ハンチントン蛋白により顕著に発現が誘導されることが明らかになりました。面白いことに別な異常ポリグルタミン病タンパクであるアタキシン1では同様な誘導が見られませんでした(Tagawa et al., Journal of Neuroscience 2007)。 ポリグルタミン病は9種類知られていますが、そのほとんどは小脳に強い病理変化があります。これに対してハンチントン病は病理変化がほとんど小脳に見られず、特異な所見でした。 この研究で明らかになった小脳特異的なhsp70遺伝子発現誘導は、上記のハンチントン病における病理学的特徴の分子基盤の一つなのも知れません。
脊髄小脳変性症、ハンチントン病などの神経変性疾患群はそれらの原因遺伝子にポリグルタミン 配列の伸長という特徴を持つため、ポリグルタミン病と呼ばれる。これらの複数の変性疾患に共 通した分子病態を捕らえるため、我々は大脳皮質および小脳初代培養神経細胞にvirus vectorを 用いてポリグルタミンを含むhuntingtin、ataxin-1の異常蛋白を発現させ、この時に生じる核蛋 白の変動を二次元電気泳動によるプロテオミクス解析によって網羅的に解析をし、さらにMALDI- TOF (Matrix Assisted Laser Desorption Ionization-Time of Flight) 質量分析による変動し たいくつか蛋白の同定を行った。この変動蛋白のなかには細胞の変調におよび細胞死につながる ものが含まれていることが予想され、 細胞分子生物学的手法、またトランスジェニック実 験動物を用いた研究を通じて病態関連分子としてHMGB1/2を同定した(Qi et al., Nature Cell Biology 2007)。 PQBP-1 は,ハンチントン舞踏病等ポリグルタミン病の関連遺伝子産物と相互作用し,その 病態に関わる因子の一つとして重要な役割を果たす事が報告されている。 当研究室では以前,ヒト PQBP-1 を過剰発現させたマウス(PQBP-1 Tg マウス)が,高齢時 より発症し徐々に進行する運動神経疾患様の症状を呈し,さらに同マウスにおいて脊髄運動 神経細胞及び小脳神経細胞の脱落を見出した (Okuda et al, Hum. Mol. Genet. 2003) 。 私に与えられた研究テーマは,この神経細胞障害の機構を明らかとすることにより,ポリグル タミン病の疾患メカニズムの解析及び新たな治療標的分子の探索である。 まず,PQBP-1 Tg マウスの脊髄前角部における遺伝子発現変化をマイクロアレイ法を用いて 解析した。その結果,変化の認められた遺伝子の内およそ半数はミトコンドリアにおいて転写 される分子であった。また,電子顕微鏡による観察から PQBP-1 Tg マウスと正常マウスの脊髄 運動神経細胞のミトコンドリア微細構造に差異が認められた。さらに,培養神経細胞に PQBP-1 を過剰発現させたところ,ミトコンドリア膜電位の変化が認められた。これまでの結果から, PQBP-1 Tg マウスにおける神経細胞死にミトコンドリアにおける何らかの機能障害が関連する ことが示唆された(Marubuchi et al., Journal of Neurochemistry 2005)。 現在,マイクロアレイの結果解析から,さらなる治療標的分子の候補を探索中であり、その一つと思われるHDGFについて報告した(Marubuchi et al., Journal of Neurochemistry 2006)。 卒業生 博士 チー雲龍 (整形外科所属、共同研究) PQBP1の発生過程における遺伝子発現パターンを解析した(Qi et al. European Journal of Neuroscience 2005)。 ポリグルタミン病の1種である脊髄小脳変性症(SCA1)の原因遺伝子(Ataxin1)のpolyQ 配列が伸長した変異遺伝子を発現させたラット小脳細胞を用いてマイクロアレイ解析を 行った結果、1つの遺伝子の発現量が低下していことが確認された。この遺伝子をクロー ニングし、Ataxin1や疾患との関連性を調べている(この分子については現在他のメンバーによって研究が継続されている)。 PQBP-1は、RNA polymerase IIとの関連性や疾患との関連性が示唆されており、非常に生 体にとって基幹となる遺伝子であると考えられる。そこでPQBP-1の機能を見ることを目的 とし、ヒトPQBP-1を発現させたトランスジェニック・フライ(ショウジョウバエ)を作成し、学習機能および行動解析実験を行った (Yoshimura et al., FEBS Letters 2006)。 大学院医歯学総合研究科修士2年の和田です。現在は抗ポリグルタミン抗体の作製と、神経 幹細胞の分化に関する研究を行っています。細胞生物学的実験はこのラボに来てはじめて深く 学びました。様々な実験手法を学び、精進している毎日です。 |
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