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感染症の診断・治療は、先端的な医療を行っている病院では非常に重要な課題となっています。つまり、手術などの浸襲性の高い医療を行っている患者さんや抗がん剤治療をおこなっている患者さんは免疫力が著しく低下することが多く、また移植医療(骨髄移植、臓器移植)を行っている患者さんには拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を投与するため、通常の免疫力を持っているヒトには問題とならない感染症により、全身状態の悪化、入院期間の延長、最悪の場合には生命予後に影響を与える事態となることもあります(健常人にも多くの細菌やウイルスが持続感染しているため、免疫力が低下すると通常は病原性を発揮できなかったそれらの微生物が暴れだすことがあります。そのため、患者さんをクリーンルームに入れるだけでは感染症の発症を防ぐことができません)。したがって、問題の症状が感染症か否か、そして感染症の場合にはその病原因子を速やかに診断・同定することは、先端的医療をおこなう上で重要な課題となっています。細胞治療センターでは、治療用細胞の安全性試験法として開発した網羅的迅速ウイルス検査システムを、さまざまな細菌、真菌、ウイルスに対する臨床検査法に応用する研究を行っています。これが実用化されれば、患者さんに適切な治療をおこなうために重要な情報を提供することに繋がり、医療費の削減や患者さんのQOLの改善に大きく貢献できると考えています。 |