Precision Oncology の最前線を学び経験する
がんゲノム医療は、がんの原因となる遺伝子異常を解析し、患者一人ひとりに最適な治療法を提案する「個別化医療(Precision Oncology)」です。2019年に保険適用されたがん遺伝子パネル検査は、日本でも急速に広がりを見せています。今後がん診療においてゲノム医療は重要な位置づけとなり、がん診療に携わる医療者にとってゲノム医療に関する知識や経験は必要不可欠なものとなっていくと思われます。
しかし一方で、実際にがんゲノム医療の知識や経験を積むことができる研修制度は多くはありません。がんゲノム医療は、がんの診断・治療に加え、遺伝学、分子生物学、病理学などの幅広い知識が要求される分野です。さらに、臨床医だけでなく、基礎医学者、病理部、検査部、遺伝専門家、ゲノム医療コーディネーター、倫理専門家など、多職種との協働が大切です。
当科は、がんゲノム医療の実践的な経験を積むことができる国内でも稀少な施設として、臨床現場と研究活動の双方に基づいた研修を通じて、自立してがんゲノム医療を遂行できる次世代の専門家を育成するための研修プログラムを提供しています。
当科の研修プログラムの特徴
1~3年間でがんゲノム医療に必要な知識や経験を講義、OJT(On the Job Training)などを通し学び、自立してがんゲノム医療が遂行できる医師を養成します。
1. 多様な専門分野の医師が研修できる環境
当研修プログラムは、がん診療に関わるさまざまな診療科の医師を対象としています。実際、これまで外科医も複数在籍し、研修を行っています。それぞれの専門的バックグラウンドを活かしながら、がんゲノム医療を深く理解し、臨床現場で自ら実践できるスペシャリストとしての成長を支援しています。多職種が協働するがん医療において、専門分野を超えた知識と視野を養う研修が可能です。
2. 実践的ながんゲノム医療のトレーニング
がんゲノム医療に必要な基礎知識の系統講義とOJTを融合させた体系的かつ実践的なプログラムを提供しています。年間約100名におよぶ症例を担当し、診察から検査選択、遺伝子解析結果の解釈、エキスパートパネルでの討論、患者への結果開示、必要に応じた遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーとの連携、治療薬の選定、薬物療法の実施に至るまで、がんゲノム医療の一連のプロセスをシームレスに経験することができます。
3. 国内トップレベルのエキスパートパネルに参加
当科では、全国のゲノム医療拠点病院の一つとして毎週エキスパートパネルを開催しており、実際の症例をもとに標準治療とがんゲノム医療の統合的なアプローチを学ぶことができます。当科での研修修了後に自施設でエキスパートパネルを立ち上げた医師も多数おり、実践的な力を身につける事ができます。
4. 最先端の治験・臨床試験を経験
がんゲノム医療では治療薬候補が未だ保険適応を受けてないことがあり、多くの治療が治験・臨床試験を通して提供されます。その為、がんゲノム医療を遂行するためには、治験・臨床試験の知識や経験が必要となります。本研修プログラムでは、実際に現在行われている治験や臨床試験への参加に加えて、新たに治験や臨床試験を立案し、プロトコール作成、倫理審査会での審査、治験・臨床試験の開始、結果のまとめなどを通し、新たな薬剤の開発がどのように行われるのかを学ぶことができます。また、希望に応じて、国立がん研究センター中央病院やがん研有明病院の短期ローテーションを通じて、早期薬剤開発の現場での研鑽を積む機会を提供することも可能です。
5. 研究活動・学術発表への積極的な支援体制
当科では、国内外のリアルワールドデータを活用した臨床研究や基礎実験に積極的に取り組むことができます。特に、海外の大規模ゲノムデータベースへのアクセスも可能であり、世界水準の研究ができる環境が整っています。研修期間中から国内外の学会発表や査読付き学術誌への論文の投稿を目指すことができ、またこれまで研究経験のない場合でも丁寧にサポートします。
お問い合わせ・応募方法
当科での研修にご興味のある方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。施設見学・面談なども随時受け付けております。