研究内容TOPへ戻る

Protein kinase C (PK-C)結合活性の向上を目指したdiacylglycerol (DAG)の環化誘導体の合成

関連テーマ: a.ケージドDAG-ラクトンによるプロテインキナーゼCの活性制御  
         b.蛍光性DAG-ラクトン誘導体の合成と機能評価[PDF(43.7KB)]

PK-Cは11種類のアイソザイムからなり、その内因性のリガンドDAGと結合することによって活性化され、細胞内で重要な作用を示します。また、PK-Cはがんやアルツハイマー病と深く関与しており、創薬標的としても注目されています。我々は、DAGのグリセロール骨格を環に環化することにより、PK-Cとの結合に必要な官能基である分子中の3個のカルボニル基およびヒドロキシ基を空間的に固定化し、結合活性を上昇させるというストラテジーのもと、多数のDAG-gamma-lactone誘導体を合成しました。結果として、PK-Cとの結合に適したgamma-lactone環テンプレートを創出することができ、また、phorbol esterに匹敵する結合活性を有するDAG-gamma-lactone誘導体を見い出すことができました。今後、PK-Cの作用の詳細な解明やがん、アルツハイマー病治療薬の創製の研究には、PK-Cの各アイソザイムに特異的な活性化剤および阻害剤が必要になります。我々はphorbol esterよりもシンプルな構造を持つDAG-gamma-lactone誘導体を基にして、PK-Cの各アイソザイム特異的化合物の開発と創薬展開を進めています。以上の研究は、玉村教授がDr. V. E. Marquez (National Cancer Institute)の研究室に留学した時に始めたものです。