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杉尾 嘉宏


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図1 アガロースマイクロ
チャンバアレイ作成過程



図2 局所加熱溶解法
による
マイクロトンネル作成



図3 


図4 

研究内容(オンチップ多電極アレイ上に段階的に複雑化させた海馬神経回路網の可塑性形成の研究)

神経細胞のネットワークの可塑性については、シナプスレベルでの性質の変化については理解が進んでいますが、回路網の構成細胞数や形状変化によるネットワーク全体の性質の変化(ネットワークレベルでの可塑性)についてはほとんど明らかにされていません。そこで、神経細胞を対象として、構成的に自由に回路網を形成することにより、ネットワークのトポロジカルなパターンのもつ意味を明らかにすることを目的として研究を行っています。既存のマイクロプリンティング技術や微細加工技術で作成された、回路網の形状制御のための細胞培養基板では、培養中に構造物のパターンを変えられないので、回路網の複雑度を段階的に変化させ、その前後の状態の差異を、同一のサンプルで比較することが不可能でした。そこで、この要求を満たす全く新しい独自の実験系の開発から手がけ、その装置系を用いてこれまでにはない新たな手法で培養神経細胞の観察・計測を行っています。

具体的には、オンチップ細胞培養系の構築を行い、50日間に渡る海馬神経細胞のTime Lapse観察および電位計測を行いながらの培養が可能になっています。私が用いているオンチップ細胞培養系は、、アガロースマイクロチャンバ(AMC)アレイ神経細胞培養チップ(図1)、Raman Fiber Laserを用いたアガロースの局所エッチング法(図2)などの新規に開発した技術を基盤とした培養系です。チップ上にあらかじめ、作成していたマイクロチャンバに対して、新たなマイクロトンネルを追加加工することにより、新たな神経突起の伸長を誘導し、段階的に回路網を複雑化することができるようになりました。(図3)。また、任意の電極に電気刺激を印加することが出来る微小電極アレイ基板(MEAs)とAMCを組み合わせることで、構成的に構築した神経回路網の活動電位を計測することが可能になっています(図4)。

今後、本チップを用いた研究は単に神経回路網の理解だけにとどまらない。このように構成的に自由な形状の神経回路網を構築することが可能であることは、人工的な神経系の創生という工学的な観点からも意義のあるものであると考えています。

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論文・解説

Yoshihiro Sugio, Hiroyuki Moriguchi, Kazunori Takahashi, Tomoyuki Kaneko and Kenji Yasuda
“An Agar-based On-chip Neural-Cell Cultivation System for Stepwise Control of Network Pattern Generation during Cultivation”
SENSORS and ACTUATORS, B

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学会発表

<国際学会>

Yoshihiro Sugio, Kazunori Takahashi, Hiroyuki Moriguchi, Takahito Isami, Kenji Yasuda,
“DEVELOPMENT OF MICRO-MULTI-ELECTRODE ARRAY CHIP SYSTEM FOR MULTI-SITE STIMULATION/ANALYSIS OF NERVE CELLS’ NETWORK”
Biophysical Society, San Francisco, California, 23-27 Feb, 2002
(Biophysical Journal 82 (2002): 280a-281a)

<国内学会>

1. 杉尾嘉宏、勇隆仁、森口裕之、高橋一憲、安田賢二
「マイクロ多電極アレイを用いた神経回路刺激計測装置系の開発」
日本生物物理学会、大阪大学吹田キャンパス、2001,10月6-8日
(生物物理41(2001): 2P200)

2. 杉尾嘉宏、高橋一憲、服部明弘、金子智行、神保泰彦、安田賢二
「神経細胞ネットワークの形状制御のための培養細胞配置技術の開発」
日本生物物理学会、名古屋大学東山キャンパス、2002,11月2-4日
(生物物理42 (2002): 3J1000)

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