5Sとは、職場環境の向上を目的として、主に製造業やサービス業で実施されている活動です。 これは、①整理、②整頓、③清掃、④清潔、⑤習慣化の5つのステップからなり、それぞれの頭文字をとり「5S(ごえす)」と呼ばれています。
①整理
必要なものと不必要なものを分別し、不要な物を捨てます。
5S活動で最初にやるべき、そして最も大切な作業です。


②整頓
必要なものと不必要なものを分別し、不要な物を捨てます。
5S活動で最初にやるべき、そして最も大切な作業です。
 
 受付の引き出しの中。
 仕切りは全てダンボールで手作り(歯科技工部)
 
 物の置き場所を明確にすることで、使用後に必ず元に戻されるようになる。よく似た物も一目でわかり、間違えにくい。
 (歯科技工部)
 
 不用品を廃棄して物が少なくなった引き出し内。物の形にスポンジをくりぬいたところに置く”姿置き”。
 物をどこに戻したら良いのかが一目瞭然。スポンジは不用品の再利用。引き出しを動かした時に音が吸収され静か。
 (歯科技工部)
 
 歯科材料の空き容器を利用して作成した器材入れ。
 5S活動は出来るだけ費用をかけずに実施。(歯科技工部)

③清掃
掃除をしてきれいな状態にするとともに、物品の点検も行います。
全ての職種が全員参加で協力し合って行います。
 
 
 
 
 清掃業者の方からプロのアドバイスを頂くこともあります。

④清潔
⑤習慣化
B.医療における5Sの効果
1)空間的なゆとり
 
							5S活動で最初にやるべき、そして最も大切な作業は「整理」です。
								すなわち、不用品を廃棄し必要な物品を明確にすることです。
不用品を処分することにより、今まで狭いと思っていた所にも思わぬスペースが生まれます。	
									見た目もスッキリし動線もスムーズになります。	
5S活動は空間的にも心理的にも、診療にゆとりを生み出します。
2)時間的な余裕
大学病院である本院は、一般の病院と比較しスタッフの入れ替わりが頻繁です。
もし部署によって器材の整頓の仕方がバラバラだったらスタッフは配置転換の度にどこに何があるかを毎回覚え直さなければなりません。
必要な器材が院内のどの部署でも共通のルールでわかりやすく配置されていれば
スタッフのキャリアに関係なく、誰もが取り出しやすくなり、診療時間の短縮・余裕のある医療に繋がります。
3)事故の防止
診療時の事故の多くは、ちょっとした思い込みやうっかり間違いにより引き起こされます。
こうしたミスはベテランでも起こす可能性があり、その防止は難しいとされています。	
間違いを防ぐためには専門的な知識はもちろんのこと、間違いを起こしにくい環境を整えることが大切です。
5Sは単なる「お片付け」ではなく、医療事故の防止にも効果的なものです。
  
4)スタッフのコミュニケーションの向上
 
					5Sの作業は全ての職種が、全員参加で協力して行います。
本院は歯科医師・歯科衛生士・看護師・看護助手・歯科技工士・薬剤師・臨床検査技師・栄養士・事務職員など様々な立場の職員が多数診療に携わっています。
5S活動を通し職種を超えたコミュニケーションが増し、横の繋がりが強くなることでスムーズな診療が実施されるようになることが期待されます。
5)快適な場を提供する
5S活動を行うことにより、院内がスッキリと片付き見た目も気持ち良くなります。
器材の置き場所が明確になり、患者さんの動線が確保され、転倒等の事故が起こりにくくなります。
5S活動を通し質の高い医療を提供するだけでなく、患者さんにとって快適な場となることを目指しています。
C.当院の5S活動の組織
1)5S推進委員会とは
【5S推進委員会 設置目的】
東京科学大学病院 歯科(歯系診療部門)に、5S活動を推進し、業務の無駄を省き、もって医療事故を防止し及び病院経営の質の向上を図るため5S委員会を置く。(委員会内規より)
上記目的を持って、病院全体の取り組みとして2010年から活動を開始しました。
委員は歯科医師・看護師・歯科衛生士・歯科技工士・事務職員など多職種で構成されています。

必要に応じて清掃業者の方にも参加して頂きました。
委員には小グループという役割別の活動があります。
委員がそれぞれアドバイザーとなって3~4部署を担当し、各5S推進リーダーにアドバイスを行います。
各部署ごとに5S推進リーダーを中心に活動を行います。
組織図

2)小グループ活動とは
①コアグループ
【主な役割】5S推進活動の企画・運営を行います。
【活動例】

5S活動ガイドライン・手引き
5S活動ガイドライン・手引き作成

リーダー研修会
研修会・講習会の企画
 
						5S監査ラウンドの企画
 
						病院見学会の企画・運営
国内外から沢山の5S病院見学者がいらっしゃっています。
							
②広報グループ
【主な役割】5S推進活動を院内外に広報します。
【活動例】

5Sニュース
5Sニュース作成

歯学部附属病院通信
広報誌等の記事作成
 
						5Sキャラクター作成
5Sレンジャーは当院の歯科医師が作成したイメージキャラクターです。
③掲示グループ
【主な役割】院内掲示物の管理を行います。
【活動例】

改善前
院内掲示物に関する基本ルールの作成・見直し
院内掲示物統一化推進活動
掲示物確認ラウンド など
 
							
改善後
掲示方法のルールを作成し統一することで病院の印象は大きく変わりました。
3)アドバイザー・5S推進リーダーとは
①アドバイザーとは
5S推進委員が1人あたり3~4部署を担当し、5Sの効果的な進め方のアドバイスを行ったり、情報の伝達や提出物等の確認を行ったりします。
②5S推進リーダー
5S活動における部署の責任者です。
						各部署ごとに5S推進リーダーを中心に活動を行います。
 
			D.5S病院研修会
1)5S病院研修会の様子
医療従事者・病院関係者の方を対象とした5S病院研修会を2011年から実施しています。
今迄に国内外から延べ250名の方々が本院の5S活動を見学してくださいました。
 
					パワーポイントを用いた講義のあと院内見学となります。
 
					院内を見学しながら現場担当者から説明を受けます。

 
					見学の後にはディスカッションも盛んに行われます。
既に5S活動に取り組まれている病院の方々と情報交換したり、お互いの悩みを相談し合ったりすることもあります。
 
					JICAの5S KAIZEN研修や台北医科大学の5S視察などにも協力を行ってきました。
WHO 西太平洋地域医療安全・院内感染責任者研修などで出張講義を行いました。
| 開催年度 | 実施日 | 受入施設名 | 見学者数 | 備考 | 
|---|---|---|---|---|
| 2011 | 2011年 8月1日 | Aリハビリテーション病院 | 4 | |
| 2011 | 2012年 3月1日 | N大学 | 3 | |
| 2012 | 2012年 7月1日 | Tメディカルセンター | 2 | |
| 2012 | 2012年 11月1日 | T病院 | 5 | |
| 2013 | 2013年 10月1日 | JICA | 14 | 「5S-KAIZEN-TQMによる保健医療サービスの質向上」研修協力(アフリカ諸国仏語圏) | 
| 2013 | 2013年 11月1日 | JICA | 12 | 「5S-KAIZEN-TQMによる保健医療サービスの質向上」研修協力(アフリカ諸国英語圏) | 
| 2014 | 2014年 7月24日 | 台北医学大学 | 11 | |
| 2014 | 2014年 9月1日 | JICA | 16 | 「5S-KAIZEN-TQMによる保健医療サービスの質向上」研修協力(アフリカ諸国仏語圏) | 
| 2014 | 2014年 10月1日 | アイベックスネットワーク | 8 | 医療機関の5Sの導入研究会見学 | 
| 2015 | 2015年 8月1日 | 台北医学大学 | 8 | |
| 2015 | 2015年 8月14日 | JICA | 17 | 「5S-KAIZEN-TQMによる保健医療サービスの質向上」研修協力(アフリカ諸国英語圏) | 
| 2015 | 2015年 9月11日 | JICA | 21 | 「5S-KAIZEN-TQMによる保健医療サービスの質向上」研修協力(アフリカ諸国仏語圏) | 
| 2015 | 2015年 10月2日 | アイベックスネットワーク | 8 | 医療機関の5Sの導入研究会見学 | 
| 2016 | 2016年 3月3日 | F歯科医院 | 4 | クリニカル5S研修会 | 
| 2016 | 2016年 7月1日 | 日本歯科医療管理学会イブニングセミナー | ||
| 2016 | 2016年 10月18日 | JICA | 20 | 課題別研修 看護管理コース(アジア・大洋州地域) | 
| 2016 | 2017年 2月2日 | 青年海外協力隊 | ||
| 2016 | 2017年 3月2日 | K大学病院(1名)、M株式会社Y工場医務室歯科(2名) | 3 | |
| 2017 | 2017年 8月21日 | JICA | 30 | 「5S-KAIZEN-TQMによる保健医療サービスの質向上」研修協力(アフリカ諸国英仏語圏) | 
| 2017 | 2017年 11月24日 | JOICPF(ジョイセフ) | 12 | スーダン共和国プライマリーヘルスケア支援プロジェクト・病院管理者研修 | 
| 2017 | 2018年 3月1日 | WHO | 17 | 西太平洋地域 医療安全・院内感染責任者研修協力(出張講義) | 
| 2017 | 2018年 3月22日 | アイベックスネットワーク | 8 | クリニカル5S研修会 | 
| 2018 | 2018年 11月6日 | The Langus Group(ポーランド共和国)視察団 | 7 | |
| 2018 | 2018年 12月13日 | 国立保健医療科学院 | 5 | |
| 2018 | 2019年 1月18日 | N大学 | 3 | ★本院主催 | 
| 2019 | 2019年 9月13日 | 株式会社S | 6 | 事務系職員6名(S病院等) | 
| 2019 | 2019年 12月11日 | 国立保健医療科学院 | 4 | 医師1名、看護師3名 | 
| 2019 | 2020年 2月5日 | M病院 | 2 | 看護師1名、理学療法士1名 | 
2)研修の受け入れについて
本院の5S活動について興味をお持ちの方で、本院での研修をご希望される方は下記の事項をご確認の上、メールにてお申込み下さい。
【研修会について】
5Sについての考え方を講義形式で学んでいただいた後、病院内を見学します。
実際の取り組み状況をご覧いただくことで、分かりやすく、身に付きやすい研修会を目指しています。
受講者様の質問に合わせて具体的にお答えいたしますので、ご要望等ございましたら事前にお知らせください。
*見学は少人数のグループに分かれて行います。
*各グループの見学場所は3か所程度を予定しています。
【研修料】
				1人あたり3時間まで     6,600円(税込) (講義・資料代含む)
								
3時間を超えて4時間まで   8,800円(税込) (講義・資料代含む)	
								
*4時間を超えて研修時間が設定される場合は、1時間につき2,000円を加算するものとする。
*研修料については、5S研修受入要項に基づき事前に振込いただき、既納の研修料は返還しません。
【応募方法】
5S研修受入要項をご確認いただき以下の事項を記載の上、最下段の問い合わせ先のメールアドレスへご連絡ください。
- 所属機関名
- 代表者氏名
- 連絡先
- 研修参加人数および目的
- 参加者の国籍(言語圏)
- 希望する研修内容および目的
- 研修希望時期(○年○月○日 午前・午後)
*希望日は複数日ご提示ください。
								
*希望時期はお申込み日より2か月以上先の日程としてください。
*本院の業務の関係により、ご希望通りの見学の受け入れができない場合がありますので、予めご了承ください。
				
【参考】
【問い合わせ先】
〒113-8519
			
東京都文京区湯島1-5-45
		
東京科学大学病院
	
病院総務課総務グループ
		
E-mail:h-somu.adm@tmd.ac.jp





 
					