3.顎関節症の原因


 顎関節症の分類

 
日本顎関節学会で,1996年に顎関節症の分類が改定されました.
 顎関節症は大きく分けて4つに分類されます. 


 筋肉の障害                             咀嚼筋とは
 頬やこめかみの筋肉だけに痛みをもつタイプで,顎関節には痛みがなく,また以前に「カクカク」といった音も経験していないものです.咀嚼筋を中心に症状が出ることから,「咀嚼筋障害」とよびます.


 関節を包む組織の障害                     関節包・靭帯とは
 顎関節だけに痛みのあるタイプで,他の関節にみられる捻挫と類似のものです.以前に「カクカク」といった音も経験していないことが条件になります.後から述べる関節円板に変形があるものと区別して,「関節包・靭帯障害」と呼びます.


 関節円板の障害   詳しくは次項目へ


 骨が変形する障害

 
顎関節に対する強い負担が繰り返されたり長時間持続したため,関節を作っている骨の表面が吸収される場合があります.吸収されるだけでなく周囲に新たな骨が作られることから,「変形性顎関節症」あるいは「顎関節の骨関節症」とよびます.ただ,老人の膝の関節に起こる変形性膝関節症のように強い変形を伴うのは非常に稀で,多くの例ではある程度変形したところでそれ以上進行しなくなるものです.多くは中年以降の人にみられますが,若い人にもみられることがあります.


以上の4タイプに分類できますが,単独で生じることもあればそれぞれが複合して発症することもあります.