倫理審査委員会

平成20年度
第4回難治疾患研究所倫理審査委員会議事要旨

日 時: 平成21年3月23日(月) 16:00〜18:30
場 所: 難治疾患研究所 第2セミナー室
出 席: 木村、稲澤、岡澤、古川(以上、内部委員)、稲葉、加藤、原田、松岡(以上、
      外部委員)

議事

1. 前回(平成20年度第3回)委員会議事要旨について
 前回議事要旨は各委員にメール配布され確認された後に研究所HP上に掲載されている旨、委員長より紹介があった。

2. 審議

1. 第1号(受付第1号案件)
「Expression of β-catenin and its correlation with cell proliferation in squamous cell carcinoma of the tongue」
実施責任者:三木義男教授 (分子遺伝)
 本件は本学歯学部附属病院検査部にて2004年から2006年の間に病理検索に用いられた舌癌扁平上皮癌および隣接正常組織におけるβカテニンおよび関連タンパクの発現性と臨床データとの関連の解明を目的とするものである。 対象検体は過去に病理検査目的で得られた手術標本であり、研究目的での使用に関する明確な同意は得られていないことを含めて研究責任者から説明があった。歯学部における過去に取得した病理検査試料の取り扱い状況を含め て種々質疑応答の後、委員による討議の結果、研究計画書の再提出を要し、さらに以下の条件を満たした上で研究計画を承認することが妥当であると判定した。なお、研究計画書の修正については、委員長がその適正性を確認することとした。
1.研究課題を英語表記する必然性がないため、これを日本語で表記すること。
2.大学院生は研究実施者ではなく、実施補助者とすること。
3.研究目的の字句を訂正すること(解析した→解析する)。
4.インフォームドコンセントに関する記載事項を訂正すること。
5.その他の研究遂行者の職名を訂正すること。
6.研究対象は2004年〜2006年の舌癌試料50件および周辺正常組織10件に限り、それらについて必要とする臨床情報をあらかじめ研究計画書に明記すること。
7.上記の条件にて病理標本と臨床情報を連結不可能匿名化の上で、歯学部附属病院より取得すること。
8.上記条件を含めた上で研究計画書を本委員会に再提出するとともに、歯学部倫理審査委員会による研究計画の承認を受けること。
9.さらに多くの試料を研究対象とすることが必要な場合は、別途研究計画書を提出した上で承認を受けること。なお、過去に遡っての研究承認は行えないため、必ず実施前に研究計画の承認を受けること。
10.当該試料のうち、臨床研究指針やヒトゲノム解析研究指針に適合するインフォームドコンセントを受けたものについては、その同意の範囲で取り扱うこと。

2. 第2号(受付第2号案件)
「生活習慣病の成因と治療に関する臨床研究」
実施責任者:小川佳宏教授 (分子代謝医学)
 本件は、すでに承認を受けて実施中の研究についての研究期間の延長申請である。本研究によるこれまでの研究実績、研究計画の変更点、 および密接に関連する共同研究機関における倫理審査状況を含めて研究責任者から説明があり、共同研究機関への研究データのフィードバック状況を含めて種々質疑応答を行った。 ついで、協議の結果、以下の条件で研究計画を承認することが妥当であると判定とした。なお、研究計画書の修正については、委員長がその適正性を確認することとした。
1.研究計画書の記載を一部変更すること(大学院生は実施補助者に位置づける)。
2.主たる共同研究機関における研究計画書の記載事項を確認し、必要に応じて変更依頼を行うこと。
3.各共同研究機関における倫理審査委員会による研究計画の承認を受けること

3. 第3号(受付第3号案件)
「全身性エリテマドーデスの疾患感受性とヒトCD72遺伝子多型との関連解析」
実施責任者:鍔田武志教授 (免疫疾患)  本件は、すでに承認を受けて実施中の研究計画に関する部分変更申請である。現在の研究実施状況と研究計画の変更事由について関連研究者(岩井MTT特任講師)より 説明があった後、研究期間、研究計画に関する質疑を行った。協議の結果、以下の条件のもとで本件研究を承認することが妥当であると判定した。なお、研究計画書の修正については、 委員長がその適正性を確認することとした。(修正した研究計画書が平成21年3月29日に委員長宛に提出され、その適正性を委員長が確認した)
1.研究計画書の目的、方法部分に口腔粘膜からのヒトDNA試料の取得方法を記載すること。
2.研究期間は平成22年3月までとすること

4. 第4号(受付第16号案件)
「ゲノムインプリンディング異常によるヒト遺伝子疾患の解析」
実施責任者:石野史敏教授(エピジェネティクス)
 本件は、すでに承認を受けて実施中の研究計画の部分変更申請である。研究計画の変更点について幸田尚准教授(研究実施者)から説明があった後、共同研究施設における 研究体制およびそれぞれの施設における倫理審査状況と解析結果の取り扱いなどについて質疑応答を行った。ついで、種々協議の結果、以下の条件で研究計画を承認することが 妥当であると判定した。なお、研究計画書の修正については、委員長がその適正性を確認することとした。
1.研究計画書の記載を変更すること(大学院生は実施補助者と位置づける)。
2.追加する共同研究施設での試料収集に関する説明文書、同意書のひな型、研究計画書を参考資料として本委員会に提出すること。
3.共同研究施設の倫理審査委員会において、本共同研究計画の承認を受けること。

5. 第5号(受付第17号案件)
「免疫不全マウスを利用したウイルス感染症モデルの作製と薬剤開発への応用」
実施責任者:清水則夫准教授(ウイルス治療学)
 本件は、すでに承認を受けて実施中の研究計画の部分変更申請である。変更内容について研究責任者から説明を受けた後、対象ウイルス、研究期間、研究実施体制などについて 質疑応答を行った。協議の結果、以下の条件で研究を承認することが妥当であると判定した。なお、研究計画書等の修正については、委員長がその適正性を確認することとした。
1.研究申請書中の研究課題の字句を訂正すること(作成→作製)。
2.研究計画書中のNOGマウスの説明箇所の記載を適切に変更すること。
3.臍帯血使用・保存・廃棄手順中の廃棄方法についての記載を適切に変更すること。

6. 第6号(受付第16号案件)
「染色体異常症を疑う遺伝疾患の潜在的ゲノム構造異常の探索と疾患遺伝子の同定、ならびに遺伝子診断法の開発」br> 実施責任者:稲澤譲治教授(分子細胞遺伝)
 本件は、すでに承認を受けて実施中の研究に関する研究期間延長と共同研究施設追加を含む研究計画の部分変更申請である。実施責任者よりこれまでの研究実績および 今後の研究計画に関する説明を受けた後、質疑応答を行った。稲澤教授が退席の上、協議の結果、以下の条件を満たした上で、研究を承認することが妥当であると判定した。 なお、研究計画書の修正については、委員長がその適正性を確認することとした。(修正した研究計画書が平成21年3月29日に委員長宛に提出され、その適正性を委員長が確認した)
1.研究期間を2009年4月〜2014年3月とした研究計画書を提出すること。
2.研究実施説明文書における字句の間違いを修正すること。

7. 第7号(受付第4号〜15号案件)
「心筋梗塞の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第4号案件)
「難治性不整脈の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第5号案件)
「肥大型心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第6号案件)
「拡張型心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第7号案件)
「高血圧性心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第8号案件)
「甲状腺多因子疾患の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第9号案件)
「若年性糖尿病の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第10号案件)
「大腸癌の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第11号案件)
「難治性動脈炎の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第12号案件)
「SLEおよびMCTDの病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第13号案件)
「慢性関節リウマチの病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第14号案件)
「炎症性腸疾患の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」(第15号案件)
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)
 これらはすでに承認されて実施中の研究に関する研究期間の延長申請である。これまでの研究経過および研究実績について実施責任者より説明があった後、 研究期間の延長期限について質疑応答を行った。ついで木村教授が退席の上協議の結果、以下の条件で研究を承認することが妥当であると判定した。なお、研究計画書の 修正については、委員長が実施責任者の研究計画であるため、委員長以外の委員がその適正性を確認することとした。(修正した研究計画書が平成21年3月31日に委員長宛に 提出され、その適正性を迅速審査委員である稲澤、稲葉、岡澤、古川各委員が確認した)
1.研究期間の開始は平成20年10月ではなく、平成21年4月とすること。
2.第9号、13号、14号、15号の4案件については、研究計画書中に既存試料の取り扱いに関する記載がないため、これを適切に記載すること。
3.その他
@稲澤委員より、研究計画承認書は現在のところ承認番号がないが、これを付す方が研究計画を整理する上で有用ではないかとの提案が あった。科研費などの研究申請書類作成上の利便性や、他研究機関における現況などを含めて討議し、平成21年度以降の研究計画承認書には番号(年号と3桁の通し番号で構成。 例:2009-001)を付すこととした。
A委員長より、難治疾患研究所に蓄積された疾患試料(バイオリソース)をより有効に活用する方策として全国の研究者との共同研究・ 共同利用が想定されるが、そのような場合にはいかなる手続きが必要であろうかとの問題提起があった。試料採取時のインフォームドコンセントにもよるが、試料・資料の匿名化を十分担保した上で、 MTAを取り交わすことや共同研究契約を結ぶ方法などがあろうとの意見が出た。