倫理審査委員会

平成19年度
第1回難治疾患研究所倫理審査委員会議事要旨

日時:平成19年10月29日(金) 15:30〜18:30
場所:難治疾患研究所 会議室
出席:木村、稲澤、岡澤、古川(以上、内部委員)、稲葉、神奈木、徳永、原田(以上、外部委員)、加藤(外部委員、書面による審査意見提出)

議事

1. 前回(平成18年度第1回)委員会議事要旨について
前回議事要旨は各委員にメール配布され確認された後に研究所HP上に掲載されている旨、委員長より紹介があった。

2. 新任委員紹介
審議に先立ち、片山委員および山上委員(いずれも内部委員)の定年退職に伴って教授会で選任された新任委員2名(稲澤委員、岡澤委員)の紹介があった。

3. 迅速審査委員の選出
前任の片山委員、山上委員がいずれも迅速審査委員であったため、その後任を選出した。委員長より稲澤委員、岡澤委員を迅速審査委員としてはいかがかとの提案があり、これを全会一致で承認した。

4. 審議

1.第1号(受付第1号案件)
「子宮内膜症発症に関する遺伝子多型および遺伝子メチレーションの研究」
実施責任者:村松正明教授 (分子疫学)

本件は主に既存試料を用いる研究であるが、追加試料採取が予定されている他施設との共同研究である。経血中に含まれる細胞から抽出したDNAおよびRNA試料を用いてターゲット遺伝子のDNAメチレーションおよびRNA発現を検討することを目的としている。研究の概要について村松教授より説明があり、研究方法、とくに追加検体採取施設における倫理審査状況、インフォームドコンセントの内容、方法、説明文書や同意書の書式、実験方法などについて種々の質疑応答を行った。ついで、協議の結果、以下の条件を満たした上で研究計画を承認することが妥当であると判定とした。なお、研究計画書の修正・変更については、委員長が確認するものとした。また、数例の研究実施の後に研究成果を含めて再度提出される研究計画については、委員長がその内容を確認したのちに迅速審査を実施するものとした。

1. 研究計画書の誤字を修正すること(「エジェネティック」→「エピジェネティック」)
2. 試料採取者は研究遂行者から除外すること
3. 試料の外部提供は行わないこと
4. 試料採取施設における倫理審査委員会による研究計画の承認を受けること
5. 試料採取施設より同意を得て採取した試料であること証明する文書を受け取った上で実験を開始すること
6. 経血中に含まれる細胞を用いた実験を数例(10例程度まで)について実施し、その結果を踏まえて、研究の実現見通しを含めた研究計画書を再度提出すること
7. 新たに試料採取を行う際の被験者への説明文書に、共同研究実施施設として難治疾患研究所分子疫学分野を明記すること
8. 新たに試料採取を行う際には同意撤回書を準備すること

2.第2号(受付第3号案件)
「性犯罪者の治療法に関する研究」
実施責任者:小畠秀吾特任准教授(プロジェクト研究室犯罪精神医学)

本件は文部省科学技術振興調整費委託研究「犯罪、行動異常、犯罪被害等の現象、原因と、治療、予防の研究(研究代表者野田政樹)」として実施中の研究の一環であり、性犯罪者を対象とした治療プログラムの効果を判定するために用いる生理学的な検出方法を確立することを目的とするものである。研究の概要について小畠特任准教授より説明があり、研究方法、研究実施場所、個人情報の取り扱い方法、被験者の候補等について種々質疑応答を行った。ついで、協議の結果、以下の条件を満たした上で研究計画を承認することが妥当であると判定とした。

1. 被験者の個人情報に接する研究実施者は法律上の守秘義務を課せられる者に限定すること

3.第3号(受付第4号案件)
「医療の高度化と新医療技術が患者の健康増進に及ぼす効用の計量的分析」
実施責任者:中西章教授 (科学・科学政策論)

本件研究は本学大学院医歯学総合研究科との共同で入院患者および外来患者の平均的QOLの水準を把握すると共に、6種の疾患については新たな治療法による治療効果をQPL水準として評価することを目的とするアンケート調査研究である。また、患者満足度調査によって病院機能評価の基礎資料を得るものである。なお、本研究計画については医歯学総合研究科倫理審査委員会に研究計画を提出し、審査を受けているところである。中西教授より研究の概要の説明を受け、個人情報の取り扱い方法および研究内容に関する質疑を行った。協議の結果、以下の条件のもとで本件研究を承認することが妥当であると判定した。

1. アンケート結果はIDで管理し、個人情報との対応表は医歯学総合研究科に所属する医師等が保持すること
2. アンケート項目の文言を一般にも分かりやすいものとすること
3. 医歯学総合研究科倫理審査委員会の承認を得た後に研究を実施すること

4.第4号(受付第5号案件)
「ゲノムインプリンティングの異常によるヒト遺伝子疾患の解析」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

本件は、すでに承認を受けて実施中の研究「ゲノムインプリンティングの異常によるヒト遺伝子疾患の解析」(平成16年8月25日付承認)について、分担研究者、研究協力者の追加と研究対象とする遺伝子を追加する部分変更申請である。迅速審査対象の案件であるが、本審査委員会の時期と一致したため、本委員会において審査した。協議の結果、以下の条件で研究計画を承認することが妥当であると判定した。なお、研究計画書の文言修正は委員長が確認するものとした。

1. 大学院生は分担研究者でなく、研究協力者とすること(研究計画書の様式は新しいものを用いること)

5.第5号(受付第2号案件)
「心房細動の感受性遺伝子の研究」
実施責任者:古川哲史教授(生体情報薬理学)

本件は、すでに承認を受けて実施中の「心不全・心筋梗塞患者における突然死予知遺伝子の検討」(平成18年7月6付承認)と類似した研究である。大学院生の江花有亮(古川哲史教授の代理)より研究の概要について説明を受けた後、研究方法、共同研究施設における試料収集方法、説明文書の内容、試料の匿名化手法などについて種々の質疑応答を行った。協議の結果、以下の条件を満たした上で、研究を承認することが妥当であると判定した。なお、研究計画書の修正については、委員長がこれを確認するものとした。

1. 研究計画書の誤字を修正すること(訴因→素因、倦怠→検体)
2. 共同研究施設における倫理審査委員会の承認を受けること

6.第6号(受付第7号案件)
「がんのシステム・パソロジーの体系的構築」
実施責任者:田中博教授(大学院疾患生命科学研究部・システム情報生物学)

本件は、文部省科学技術振興調整費委託研究「網羅的データベースの構築(研究代表者田中博)」として本学大学院医歯学総合研究科倫理審査委員会の承認を得て実施した研究内容と類似の研究であり、新たな検体収集を含むものである。研究の概要について田中(博)教授より説明があった後、新たな試料採取を行う場合の説明文書内容、研究対象に含まれる個人情報の保護方法、研究に携わる者の守秘義務、匿名化手法と対応表の管理等、種々の質疑応答を行った。種々協議の結果、以下の条件で研究を承認することが妥当であると判定した。なお、医歯学総合研究科倫理審査委員会に提出した研究計画書の内容については委員長がこれを確認することとした。

1. 研究計画書を適切に修正すること(研究期間の明記)
2. 医歯学総合研究科倫理審査委員会の承認を受けること(医歯学総合研究科倫理審査委員会に提出済の研究計画書、研究プロトコール、関連資料等が委員会後に委員長宛てに提出され、これについて特段の問題がないことを委員長が確認した)

7.第7号(受付第6号案件)
「緑内障に関連する遺伝子の検索」
実施責任者:田中光一教授(疾患生命科学研究部・分子神経科学)

本件は、多施設共同研究として緑内障遺伝子解析研究会によりすでに収集された試料を用いる研究計画である。田中(光)教授より研究計画の概要について説明を受けた後、既に採取研究された試料の取得状況等について種々質疑応答を行った。協議した結果、以下の条件で研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 緑内障遺伝子解析研究会に所属するそれぞれの施設における研究責任者名を資料として提出すること
2. 緑内障遺伝子解析研究会に所属する個々の施設において、該当する倫理審査委員会に疾患生命科学研究部・分子神経科学(難治疾患研究所・分子神経科学)を研究施設として追加申請し、その承認を受けること(緑内障遺伝子解析研究会に所属するそれぞれの施設における研究責任者名のリストが委員長宛に提出され、特段の問題がないことを委員長が確認した)