倫理審査委員会

平成16年度
第3回難治疾患研究所倫理審査委員会議事要旨

日時:平成16年10月25日(月) 14:00〜16:40
場所:難治疾患研究所 会議室
出席:木村、片山、古川、山上(以上、内部委員)、稲葉、加藤、神奈木、徳永 (以上、外部委員)

議事

1. 前回議事要旨の確認
議事要旨は既に配布し、異議のないことを確認した。

2. 第1号(受付第1号案件)
「生活習慣病の成因と治療に関する臨床研究」
実施責任者:小川佳宏教授(分子代謝医学)

本申請は前回委員会で審議した案件(前回第1号)の研究内容のうち、糖尿病をはじめとするより一般的な代謝性疾患を対象として、血液や尿におけるホルモンや代謝産物の動態を研究するものである。複数の施設が関与する共同研究であり、試料採取については、個々の試料採取施設での倫理委員会によって承認された研究計画に従ってインフォームドコンセントが与えられることを前提とする。

研究の概要について、小川教授より説明があり、種々の質疑応答を行った。また、想定される共同研究施設(試料採取施設)での研究計画書、説明文書および同意書等の資料が提示され、当該施設での研究倫理申請審査状況の説明があった。なお、本研究申請には遺伝子解析研究が含まれないことを確認した。協議の結果、以下の条件で、研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 試料採取施設における研究計画書に、東京医科歯科大学難治疾患研究所が共同研究施設として記載されていること。
2. 上記共同研究施設における解析を行う旨のインフォームドコンセントが与えられた上で採取された試料のみを対象とすること。
3. 試料採取施設の倫理審査委員会が承認した範囲で解析を実施すること。
4. 匿名化された試料のみを解析すること。

3. 第2号(受付第2号案件)
「ヒト間葉系幹細胞の分化誘導メカニズムの解明」
実施責任者:川野誠子助教授(循環器病)

本申請は、既に承認を受けて実施中の「幹細胞から心筋細胞への分化誘導に関する研究」(平成12年12月20日付け審査、研究期間:平成13年3月−より平成17年3月まで)に類似した研究である。研究申請書に複数箇所の不備があったが、本研究の概要、現在実施中の研究内容と成果、研究対象等について川野助教授より説明があり、多岐に渡る質疑応答を行った。協議の結果、改めて研究計画書の提出を受けて再審査(迅速審査により対応)することが妥当であると判定した。なお、研究には以下の条件を付すものとし、研究計画書の提出にあたっては、対象とする細胞についての資料を添付するものとした。

1. 研究期間は5年以内とすること。
2. 対象とする細胞は、現在研究に用いている市販ヒト骨髄系幹細胞に限ること。

4. 第3号(受付第3号案件)
「老年性疾患における遺伝因子と環境因子に関する研究」
実施責任者:村松正明教授(分子疫学)

本研究は東京都老人医療センターとの共同で遺伝子解析研究を実施するものである。研究の概要について、研究実施者の木村助手より説明があり、種々の質疑応答を行った。協議の結果、共同研究機関における試料採取状況、倫理審査状況等が分かる資料の提出を受けて再審査(迅速審査により対応)することが妥当であると判定した。なお、研究には以下の条件を付すものとした。

1. 共同研究機関の倫理審査委員会による承認の範囲で解析を行うこと。
2. 匿名化された試料のみを取り扱うこと。
3. 大学院生は研究協力者とすること。

5. 第4号(受付第4号案件)
「疫学サンプルの階層化克服を目的とした近縁人種間で見られる特異的マーカーの探索」
実施責任者:村松正明教授(分子疫学)

本研究は、日本人と近縁民族の遺伝的特徴を集団として比較する遺伝子解析研究である。研究の概要について、木村助手および研究協力者の荒木大学院生より説明があり、特に研究実施方法、試料採取方法等について種々の質疑応答を行った。協議の結果、具体的な試料採取方法についての資料を付した上で、改めて審査する(継続審議)ことが妥当であると判定した。なお、研究課題において、近縁人種の表現は適切ではなく近縁民族と表現を変更することが適切である。また、研究には以下の条件を付すものとした。

1. 外国他施設との共同研究を実施する場合には、共同研究施設の倫理審査委員会による研究計画の承認を受けること。
2. 国内での試料採取に関しては、試料提供者への説明文書および同意書のひな形(いずれも日本語と英語)を作成すること。
3. 市販サンプルを使用する場合を含めて、連結不可能匿名化とすること。
4. 大学院生は研究協力者とすること。

6. 第5号(受付5号案件)
「新興感染症への抵抗性の免疫遺伝学的解析」
実施責任者:鍔田武志教授(疾患生命科学研究部・免疫)

本研究は海外の共同研究施設において得られる遺伝子多型および臨床情報を匿名化した上で、データ解析のみを行うものであり、東京医科歯科大学においては実際の遺伝子解析は実施しない。研究の概要について鍔田教授より説明があり、種々の質疑応答を行った。海外の共同研究施設は中国にあるが、本共同研究について、先方の倫理審査状況が不明である。種々協議の結果、海外共同研究施設の倫理審査委員会(あるいは、それに代わる委員会)による研究承認が得られた(あるいは、申請書を提出した)段階で、改めて審査する(継続審議)ことが妥当であると判定した。なお、研究には以下の条件を付すものとした。

1. 海外共同研究施設の倫理審査委員会の承認の範囲で研究を実施すること。
2. 遺伝子解析ガイドラインに従うこと。