倫理審査委員会

平成16年度
第2回難治疾患研究所倫理審査委員会議事要旨

日時:平成16年8月3日(火) 13:00〜15:00
場所:難治疾患研究所 会議室
出席:木村、片山、古川、山上(以上、内部委員)、稲葉、加藤、神奈木、徳永、松岡(以上、外部委員)

議事

1. 前回議事(迅速審査)の承認
平成16年度第1回委員会議事要旨を確認し、これを承認した。

2. 第1号(受付第3号案件)
「内分泌・代謝性疾患の成因に関する臨床研究」
実施責任者:小川佳宏教授(分子代謝医学)

研究の概要について小川教授より説明があり、種々の質議を行った。

本件研究は(1)稀な先天性代謝疾患における遺伝子解析研究、(2)より一般的な代謝性疾患を対象として血液や尿におけるホルモンや代謝産物の動態研究の両者を包括するものである。また、複数の施設が関与する共同研究であるが、研究に関するインフォームドコンセントはそれぞれの試料採取において行うものであるため、説明文書や同意の範囲などは試料採取施設ごとに異なることが考えられる。試料採取の際に、外部研究機関で解析を行う旨のインフォームドコンセントがとられているか、稀な代謝性疾患の遺伝子解析を行う場合の遺伝カウンセリング体制や遺伝情報の管理についても、それぞれの試料採取施設に任されることが想定されている。

本研究は、研究の対象や手法が大きく異なる研究を包括した内容であり、試料採取施設におけるインフォームドコンセントの内容などが不明である。このため、研究計画を(1)稀な代謝性疾患を対象とした研究(遺伝子解析研究を含む)と(2)より一般的な代謝性疾患を対象とした研究(遺伝子解析研究を含まない)の2件に分け、それぞれについて試料採取施設におけるインフォームドコンセント内容が分る資料を添付した上で、改めて研究計画を提出し、それを受けて審議することとした。

3. 第2号(受付 第5号、前回第2号議案関連)
「ゲノムインプリンティングの異常によるヒト遺伝子疾患の解析」
実施責任者:石野史敏教授(エピジェネティクス)

本研究は国立成育医療センター研究所におけるヒト遺伝子解析研究の分担研究を行うものである。前回の審議を受けて、国立成育医療センター研究所において、本件実施責任者が共同研究者として先方の研究計画書に明記され、当該研究が承認されたことが説明され、添付資料によって確認された。協議の結果、以下の条件で研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 遺伝子解析ガイドラインに従って遺伝子解析を行うこと
2. 研究期間中の試料は鍵のかかるフリーザーに保存すること

4. 第3号(受付 第2号)
「染色体異常症を疑う遺伝疾患の潜在的ゲノム構造異常の検索と疾患遺伝子の同定、ならびに遺伝子診断法の開発」
実施責任者:稲澤譲治教授(分子細胞遺伝)

本件は、平成16年3月26日付けで承認された上記研究計画に関連して、共同研究機関である国立精神神経センターにおいて「精神遅滞をきたす遺伝性疾患の診断システムとバイオリソースとしての二次利用システム構築に関する研究」が当該施設の倫理審査委員会において承認されたことを受けての、共同研究機関の追加申請である。添付資料によって当該施設での研究計画が倫理審査を受け、承認されたことを確認した。また、共同研究機関に山形大学医学部、武蔵病院、株式会社ビーエムエル、オリンパス株式会社を追加すること、分担研究者の変更(小原助手が退職のため削除)が申請された。書面をもって審議した結果、研究計画の部分的な変更を承認することが妥当であると判定した。

5. 第4号(受付 第4号)
「ゲノム研究の成果を応用した心機能評価法の開発に関する研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

本件は、平成16年3月26日付けで承認された上記研究計画に関連して、共同研究機関の追加を申請するものである。また、対象試料として剖検心筋標本および手術標本を追加するとした研究計画の部分変更申請である。研究の概要を変更部分を中心に説明を受け、また追加共同研究施設(日本赤十字社医療センター)における研究計画の倫理申請状況(申請中)の説明を受け、質議応答を行った。協議の結果、以下を条件に研究の部分変更を承認することが妥当であると判定した。なお、本件は委員より提出された案件であるため、当該委員は協議の際に退席した。

1. 共同研究施設における倫理審査による承認を受け、その範囲内で共同研究を行うこと

6. 臨床研究に関するガイドラインへの対応について

厚生労働省によって「臨床研究に関する倫理指針」が策定され、平成15年7月30日付けで施行されているため、その対応を協議した。本倫理審査委員会は研究所で行われている研究の倫理審査を広く行うものとして設置されているため、臨床研究を対象とした倫理審査を実施することを確認した。

また、これに伴って、倫理審査委員長宛に伺いが提出されていた「脳外傷後遺症予後及びニーズの検討−全国脳外傷友の会・ご家族アンケート調査−」(実施責任者:被害行動学客員研究部門橋本圭司助手)について、委員長より経緯の説明があり、その概要を書面で確認した。協議の結果、本件研究計画は適正であるが、今後はこのような研究についても持ち回りのような形式も考慮して倫理審査委員会で審査を実施することとした。