倫理審査委員会

平成15年度
第2回難治疾患研究所倫理審査委員会議事要旨

日時:平成16年2月24日(月) 13:00〜16:30
場所:難治疾患研究所 会議室
出席:木村、片山、古川、山上(以上、内部委員)、稲葉、加藤、徳永、松岡(以上、外部委員)

議事に先立ち、平岡前委員の転出(H16.2.21付)に伴って、難治疾患研究所教授会で古川委員が新たに内部委員に選出された旨の報告があった。

議事

1. 迅速審査委員の選出
委員改選に伴い、平岡前迅速審査委員の後任について協議の結果、山上委員を選出した。その結果、迅速審査委員会の構成は次のとおりとなった。
木村、山上(以上、内部委員)、徳永、松岡(以上、外部委員)、但し、外部委員のうち徳永委員が出席できない場合は、稲葉委員が代行する。

2. 前回議事(迅速審査)の承認
平成15年度第1回委員会(迅速審査)議事を確認し、これを承認した。

3. 第1号(受付 第2号)
「口腔・咽頭領域癌の体系的遺伝子解析の研究」
実施責任者:野田政樹教授(分子薬理)

遺伝子解析責任者(野田教授)及び分担研究者(稲澤教授)より、研究計画が説明された後に種々質疑応答を行なった。その結果、研究計画書および説明文書の変更を委員長が確認した上で、以下の条件で研究計画を承認することが妥当であると判定した。

1. 研究は癌における体細胞変異解析と発現解析に限ること
2. 研究計画に解析予定対象試料の概数、想定される試料の類型、個人情報管理者名を記載すること
3. 同意説明文書中に研究機関名、研究機関、苦情の宛先などを追加明示し、将来の研究計画に関連して研究終了後の試料保存ないし廃棄に関する同意を得ること
4. 試料採取機関における倫理審査委員会による研究承認を受けること
5. 遺伝子解析ガイドラインに準拠した遺伝子情報の取り扱いを行うこと
6. 試料採集に伴う検体取り交わし文書(Material Transfer Agrement, MTA)を作成することが望ましい

4. 第2号(受付 第6号)
「ゲノムマイクロアレイによる癌関連遺伝子の同定と遺伝子解析法の開発」
実施責任者:稲澤譲治教授(分子細胞遺伝)

本研究計画は、既に承認を受けて実施している研究「染色体異常を指標にした疾患遺伝子の同定と新しい解析法の開発に関する研究(平成13年8月28日付承認)」と類似した研究である。研究計画の説明を受け、試料採取施設の追加と研究機関の延長を含めて討議した結果、研究計画書の記載事項についての部分修正を委員長が確認した後に、以下の条件で研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 研究は癌における体細胞変異解析に限ること
2. 研究計画において想定される試料の類型と解析予定試料を研究計画書に明示すること
3. 試料採取施設の個人識別情報管理者によって試料の匿名化を行うこと
4. 試料採取施設における倫理審査委員会の研究承認を受けること
5. 試料採集に伴う検体取り交わし文書(Material Transfer Agrement, MTA)を作成することが望ましい
6. 遺伝子解析ガイドラインに準拠した遺伝子情報の取り扱いを行うこと

5. 第3号(受付 第7号)
「染色体異常を疑う遺伝疾患の潜在的ゲノム構造異常の検索と疾患遺伝子の同定、ならびに遺伝子診断法の開発」
実施責任者:稲澤譲治教授(分子細胞遺伝)

本研究計画は、既に承認された研究「染色体異常を指標にした疾患遺伝子の同定と新しい解析法の開発に関する研究(平成13年8月28日付承認)」と類似した研究である。協議の結果、以下を条件に研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 遺伝子解析ガイドラインに従って研究を行うこと
2. 試料採取施設の倫理審査委員会による承認を受けること
3. 試料採取施設において試料の匿名化を行うこと
4. 説明文書中に代諾者向けの説明表現を加えること

6. 第4号(受付 第8号)
「マイクロアレイとその関連技術を用いた染色体異常症を疑う遺伝疾患の潜在的ゲノム構造異常の探索と疾患遺伝子の同定、ならびに遺伝子診断法の開発」
実施責任者:井本逸勢助教授(分子疫学)

本研究計画は、既に承認された研究「染色体異常を指標にした疾患遺伝子の同定と新しい解析法の開発に関する研究(平成13年8月28日付承認)」と類似した研究計画である。また、前記第3号とも密接に関わる研究である。協議の結果、以下を条件に研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 遺伝子解析ガイドラインに従って研究を行うこと
2. 試料採取施設の倫理審査委員会による承認を受けること
3. 試料採取施設において試料の匿名化を行うこと
4. 説明文書と代諾者向けの表現を加えること

7. 第5号(受付 第9号)
「ゲノムマイクロアレイ技術開発ならびにこれを用いた癌関連遺伝子の同定と遺伝子診断法の開発」
実施責任者:井本逸勢助教授(分子疫学)

本研究計画は、既に承認された研究「染色体異常を指標にした疾患遺伝子の同定と新しい解析法の開発に関する研究(平成13年8月28日付承認)」と類似した研究計画である。また、前記第1号、第3号とも密接に関わる研究である。協議の結果、以下を条件に研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 試料採取施設の倫理審査委員会による承認を受けること
2. 試料採取施設において試料の匿名化を行うこと
3. 説明文書と代諾者向けの表現を加えること
4. 遺伝子解析ガイドラインに準拠した遺伝子情報の取り扱いを行うこと
5. 試料採集に伴う検体取り交わし文書(Material Transfer Agrement, MTA)を作成することが望ましい

8. 第6号(受付 第12号)
「難治性神経・筋疾患の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

本研究計画は、既に承認された研究「高血圧性心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究(平成13年1月18日付承認)」、「肥大型心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究(平成13年1月18日付承認)」、および「拡張型心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究(平成13年1月18日付承認)」と類似した研究である。研究計画について説明を受けた後、種々の質疑応答を行なった。協議の結果、以下を条件に研究を承認することが妥当であると判定した。なお、本件は委員より選出された案件であるため、当該委員は協議の結果退席した。

1. 遺伝子解析ガイドラインに従って研究を実施すること

9. 第7号(受付 第13号)
「ゲノム研究の成果を応用した心機能解析法の開発に関する研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

本研究計画は、既に承認された研究「高血圧性心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究(平成13年1月18日付承認)」、「肥大型心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究(平成13年1月18日付承認)」、「拡張型心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究(平成13年1月18日付承認)」、および「心筋梗塞の病因と病態形成機構の究明に関わる研究(平成13年1月18日付承認)」と類似した研究である。研究計画について説明を受けた後、種々の質疑応答を行なった。協議の結果、以下を条件に研究を承認することが妥当であると判定した。なお、本件は委員より選出された案件であるため、当該委員は協議の結果退席した。

1. 遺伝子解析ガイドラインに従うこと
2. 共同研究機関に試料を提供する場合には、MTAを取り交わすこと

10. 第8号(受付 第1号)
「緑内障の関連する遺伝子の検索(平成15年7月28日付承認)」
実施責任者:田中光一教授(分子神経科学)

本件は、既に承認された研究について、共同研究機関(試料提供機関)の追加申請を行なうものである。協議の結果、以下を条件に、研究の計画の変更を承認するのが妥当であると判定した。

1. 試料採取機関で用いる説明文書中の字句の修正を行うこと。
2. 試料の匿名化は採取施設において行ない、同意書は試料採取施設にて保管すること
3. 解析結果の開示においては、被験者より希望のある時に主治医を通して行うこと。また、必要があれば遺伝カウンセリングに対処すること
4. 試料採取施設の追加に伴って試料数の増加が見込まれるため、研究計画書に記載された解析予定試料数を変更(50から300へ)すること
5. 試料採取施設において倫理審査委員会の承認を受けること

11. 第9号(受付 第10号)
「造血細胞の癌化に関与する細胞内シグナル分子の研究」
実施責任者:保田朋波流助手(細胞制御学)

本研究計画は、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科三浦修教授(腫瘍制御学)との共同研究であり、本研究所においては遺伝子発現解析のみを実施するものである。研究計画の説明を受けた後に種々の質疑応答を行い、協議の結果、以下を条件に研究計画を承認することが妥当であると判定した。

1. 遺伝子の発現解析に限ること
2. 共同研究機関(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)における倫理審査委員会の承認を受けること。また、その際の研究計画書に本件実施責任者の氏名を加えること
3. 試料採取施設における説明書に代諾者向けの説明を加えることが望ましい
4. 遺伝子解析ガイドラインに準拠した遺伝子情報の取り扱い(匿名化の担保)を行うこと

12. 第12号(受付 第5号)
「精神発達遅滞におけるPQBP1遺伝子変異と分子病態の研究」
実施責任者:岡澤均教授(神経病理学)

研究実施計画の説明を受け、種々の質疑応答を行なった。協議の結果、以下を条件に研究計画を承認することが妥当であると判定した。

1. 遺伝子解析ガイドラインに従うこと
2. 遺伝子解析はPQBP1に限ること
3. 説明文書中に代諾者向けの説明を加えること。また、代諾者は親権者に限ることとし、代諾者がいない者は解析対象としないこと
4. 結果の開示希望に関する説明と同意を得ること
5. 同意書は試料採取施設長宛とし、当該施設において保管すること

13. 第11号(受付 第7号)
「免疫不全マウスを利用した活性化Tリンパ球治療のモデル実験系の作成とエイズ研究への応用」
実施責任者:清水則夫助教授(ウイルス感染学)

本研究計画は、東京医科歯科大学医学部の倫理審査委員会によって審査され承認を受けた「AIDS(エイズ)治療開発のためのヒト臍帯血幹細胞のSUDmice(NOG)への移植によるヒト型リンパ濾胞を含むHIV-1感染モデルの構築、(実施責任者:山本直樹教授、平成15年10月31日付承認)」と密接に関連するものである。研究計画の説明を受けた後、種々の質疑を行なった。協議の結果、以下の条件で研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 2005年3月までの研究とし、概ね20〜30例を対象とすること
2. 説明文書の内容を試料提供者に分かりやすいものに修正すること
3. ゲノム遺伝子解析は行わないこと
4. 遺伝子解析ガイドラインに準拠した試料情報の取り扱い(匿名化の担保)を行うこと

14. 第14号(受付 第3号)
「糖尿病とその合併症及び治療に関連する遺伝子多型の研究」
実施責任者:村松正明教授(分子疫学)

研究計画の説明を受けた後に種々の質疑応答を行なった。協議の結果、以下の条件で研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 実施計画書の字句を修正すること
2. DNA抽出は外部委託であるが、試料採取施設で匿名化を行い、個人情報が委託先に届かないようにすること
3. 個人識別情報管理は試料採取施設で行うこと
4. 試料採取の同意書は試料採取施設長宛とし、当該施設で保管すること。
5. 試料提供者への説明文書中の「研究協力の任意性と撤回の自由」に関する説明内容に「不利益を被らない」ことを明記すること
6. 共同研究機関であるヒュービットジェノミクス社の倫理審査委員会の承認を受けること
7. 共同研究機関に試料を提供する場合には、MTAを取り交わすこと
8. 遺伝子解析ガイドラインに従うこと

15. 第13号(受付 第4号)
「脳卒中・動脈硬化等の心血管症の原因遺伝子の解明」
実施責任者:村松正明教授(分子疫学)

本研究は、西有田共同病院及び国立循環器病センターとの共同研究事項であり、既に両機関における倫理審査委員会の承認を受けた研究計画である。研究内容の説明を受け、種々の質疑応答を行なった。協議の結果、以下の条件で研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 同意書の宛先は試料採取施設の長とすること
2. ヒュービットジェノミクス社の倫理審査委員会の承認を得ること
3. 共同研究機関に試料を提供する場合には、MTAを取り交わすこと
4. 遺伝子解析ガイドラインに従うこと。

16. 第14号(受け付け番号 第14号)
「Crohn病患者における薬物治療有効性予知遺伝子の検討」
実施責任者:村松正明教授(分子疫学)

研究計画の説明を受けた後に種々の質疑応答を行なった。協議の結果、以下の条件で研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 同意文書の形式を整えること。(一枚にする、字句の修正など)
2. 試料採取施設における倫理審査委員会の承認を受けること
3. ヒュービットジェノミクス社の倫理審査委員会の承認を得ること
4. 共同研究機関に試料を提供する場合には、MTAを取り交わすこと
5. 遺伝子解析ガイドラインに従うこと

17. 第15号(受付 第15号)
「粥状動脈硬化症の遺伝要因の解明」
実施責任者:村松正明(分子疫学)

研究計画の説明を受けた後、質疑応答を行なった。協議の結果、以下の条件で研究を承認することが妥当であると判定した。

1. 試料採取施設における倫理審査委員会の承認を受けること
2. ヒュービットジェノミクス社の倫理審査委員会の承認を得ること
3. 共同研究機関に試料を提供する場合には、MTAを取り交わすこと
4. 遺伝子解析ガイドラインに従うこと