倫理審査委員会

平成15年度
第1回難治疾患研究所倫理審査委員会(迅速審査)議事要旨

日時:平成15年7月22日(火) 10:00〜12:15
場所:難治疾患研究所 所長室
出席:木村、平岡 (以上 内部委員)、徳永、松岡(以上 外部委員)

議事

前回議事要旨の確認
平成14年度第3回委員会議事要旨を参照し、今回の迅速審査案件について確認した。

2. 第1号 (前回第1号案件審査)
「久山町における生活習慣病に関するゲノム疫学研究とそれに基づくEBMデータベースの開発とテーラーメイド医療の実現」
実施責任者:村松 正明 教授 (分子疫学)

ヒュービッドゲノミクス社における倫理審査委員会による研究計画の審査、承認に関わる資料が提出され、これについて協議した。ヒュービッドゲノミクス社の倫理審査委員会では、平成14年度に同意取得されたサンプルのみを対象とした研究計画が審査、承認されているが、平成15年度以降に同意取得されたサンプルの取り扱いが明示されていない。また、東京大学医科学研究所における倫理審査状況については、現在審査中であるため、開示がされなかった。このため、以下の条件で本研究計画を承認することとした。

1.平成15年度以降のサンプルに関するヒュービッドゲノミクス社の取り扱い、東京大学医科学研究所における倫理審査、承認内容を委員長が確認すること
2. 研究範囲は、ヒュービッドゲノミクス社、東京大学医科学研究所の倫理審査委員会の承認範囲に限ること
3. 遺伝子解析ガイドラインを遵守すること

3. 第3号(前回第4号)
「閉経後女性に多発する疾病の遺伝的要因に関する分子疫学的研究」
実施責任者:村松 正明 教授 (分子疫学)

被験者への説明書面及び同意書では開示が前提とされているように受け取れる記載となっていたが、既に同書面を用いてインフオームドコンセントが取得され、サンプル収集が済んでいるため、変更しないとの試料提供元よりの回答があった。また、山形大学医学部での倫理審査委員会で研究計画が承認されている(平成14年9月18日)ことが示された。このため、以下の条件で研究計画を承認するものとした。

1. 解析対象は平成15年7月17日までに採取された試料に限ること
2. 継続して試料収集を行う場合は、説明文書、同意書の記載を修正すること
3. 研究範囲は山形大学医学部倫理審査委員会で承認した範囲に限ること
4. 遺伝子解析ガイドラインを遵守すること

4. 第4号(前回第5号)
「コホートにおけるウィルス性肝炎の成立と進展に関する遺伝的多型性解析とその意義の解析」
実施責任者:村松 正明 教授 (分子疫学)

試料提供元(山形大学医学部)での試料採取は平成13年12月31日をもって終了しているとの説明があった。また、山形大学医学部での倫理審査状況の説明があった。なお、本件の遺伝子解析はヒュービッドゲノミクス社が担当することとなっており、当該社の倫理審査資料が提示された。試料収集、遺伝子解析とも適切な倫理審査を受けて実施されていると考えられるが、以下の点を確認した上で、研究計画を承認することとした。

1. 山形大学医学部倫理審査委員会で研究計画の延長が適正に審議され、承認されていることを委員長が確認すること
2. ヒュービッドゲノミクス社の倫理審査委員会による承認が条件付きとなっているため、その内容を委員長が確認すること
3. 解析対象は平成13年12月31日までに採取された試料とすること
4. 研究範囲は山形大学医学部倫理審査委員会で承認した範囲に限ること
5. 遺伝子解析ガイドラインを遵守すること

5. 第5号(前回第6号)
「コホートにおける虚血性心臓病の遺伝的多型解析とその意義の解明−急性心筋梗塞の再発防止機序−」
実施責任者:村松 正明 教授 (分子疫学)

検体数は約400件であり、既にインフォームドコンセントを終えていることが説明された。また、山形大学医学部での倫理審査状況の説明があった。試料収集、遺伝子解析とも適切な倫理審査を受けて実施されていると考えられるが、以下の点を確認した上で、研究計画を承認することとした。

1. 山形大学医学部倫理審査委員会に提出された研究計画に記載された研究期間を委員長が確認すること
2. 研究範囲は山形大学医学部倫理審査委員会で承認した範囲に限ること
3. 遺伝子解析ガイドラインを遵守すること

6. 第6号(前回第7号)
「肥満および糖尿病の病因候補遺伝子の遺伝子型疫学研究」
実施責任者:村松 正明 教授 (分子疫学)

既採取試料(試料群1)と研究期間内に採取した試料(試料群2)に分けて、インフォームドコンセントのための手続き方法、同意文書が示され、山形大学医学部での倫理審査状況資料が提示された。また、対象検体数は約2,000検体であるとの説明があった。本件試料提供元での適切な倫理審査を受けていることが確認されたため、以下の条件で研究を承認することとした。

1. 対象検体数は約2,000検体に限ること
2. 研究範囲は山形大学医学部倫理審査委員会で承認した範囲に限ること
3. 遺伝子解析ガイドラインを遵守すること

7. 第7号(前回第8号)
「脳血管障害に関係する病因候補遺伝子の遺伝子型疫学研究」
実施責任者:村松 正明 教授 (分子疫学)

認識障害を起こしたケースなど有効なインフォームドコンセントを受けることが困難な者からの試料提供はないことが説明され、山形大学医学部での倫理審査状況資料が提示された。本件試料提供元での適切な倫理審査を受けていることが確認されたため、以下の条件で研究を承認することとした。

1. 有効なインフォームドコンセントを受けることが困難な者は解析対象としないこと
2. 研究範囲は山形大学医学部倫理審査委員会で承認した範囲に限ること
3. 遺伝子解析ガイドラインを遵守すること

8. 第8号(前回第9号)
「パーキンソン病および筋萎縮性側葉硬化症の遺伝的要因に関する分子疫学的研究」
実施責任者:村松 正明 教授 (分子疫学)

本研究では既採取試料を対象としないこと、家族性症例は対象としないことが説明された。また山形大学医学部での倫理審査状況資料が提示された。本件試料提供元での適切な倫理審査を受けていることが確認されたため、以下の条件で研究を承認することとした。

1. 家族性症例は対象としないこと
2. 研究範囲は山形大学医学部倫理審査委員会で承認した範囲に限ること
3. 遺伝子解析ガイドラインを遵守すること
   

9. 第9号(前回第10号)
「慢性閉塞性肺疾患(COPD)・遺伝的多型解析とその意義の解明」
実施責任者:村松 正明 教授 (分子疫学)

本研究では既採取試料を対象としないことが説明された。また山形大学医学部での倫理審査状況資料が提示された。本件試料提供元での適切な倫理審査を受けていることが確認されたため、以下の条件で研究を承認することとした。

1. 研究範囲は山形大学医学部倫理審査委員会で承認した範囲に限ること 2. 遺伝子解析ガイドラインを遵守すること

なお、第3号から第9号までは、いずれも山形大学医学部およびヒュービッドゲノミクス社との共同で実施される遺伝子解析研究であるが、それぞれの課題について、研究計画書に記載された研究期間、各機関の倫理審査委員会によって承認された研究期間、研究継続に関する倫理審査状況についての一覧表をまとめ、これを委員長が確認することとした。

10. 第10号(第11号)
「活性化Tリンパ球投与による造血幹細胞移植患者の治療と活性化T細胞の作用機序に関する研究」
実施責任者:清水 則夫 助教授 (ウィルス感染学)

治療研究に関する被験者への説明文書および同意書のひな型、被験者への治療を行う東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会への研究計画申請書、感染症チェック項目、公的ドナーバンクにおけるドナーへの説明文書のひな形などの資料が提示された。また、臍帯血バンク由来試料を用いた動物実験に関する研究計画の説明があった。本件は多岐に渡る実験計画であるため、迅速審査での承認は以下の範囲とした。

1.活性化Tリンパ球投与による造血幹細胞移植患者の治療研究計画については、東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会の承認範囲に限り、これを承認する
2.東京医科歯科大学医学部以外で行われる治療研究計画について、当該研究機関における倫理審査委員会の承認範囲を確認した上で、その範囲に限りこれを承認する
3.臍帯血バンク由来試料を用いた動物実験に関しては、前回の倫理審査委員会には提出されていなかった。今回初めてその内容が説明されたが、包括的な研究内容を含むものであり、必ずしも本研究計画と不可分なものではないと判断される。このため、本研究とは別途研究計画を申請すべきものであり、本迅速委員会の審議対象外とする

11. 第11号(第12号)
「緑内障に関連する遺伝子の検索」
実施責任者:田中(光) 教授 (分子神経科学)

新潟大学医学部における研究計画の倫理審査、承認に関する資料が提示された。また、試料提供者への説明文書に共同研究機関(ヒュービッド社および本研究所分子疫学分野)とその共同研究者を加えたこと、同意書の宛名が試料収集責任者であること、遺伝子解析は新潟大学医学部では実施しないことが示された。さらに、検体数は患者、対照各50件程度であるとした研究計画書が提出された。種々協議の結果、以下の条件で研究計画を承認するものとした。

1. 検体の匿名化について、試料提供元の個人情報管理者と協議すること
2. 必要な際に適切な遺伝カウンセリングが行えることを被験者への説明文書に加えること
3. 研究範囲は新潟大学医学部倫理審査委員会で承認した範囲に限ること
4. 遺伝子解析ガイドラインを遵守すること