倫理審査委員会

平成14年度
第2回難治疾患研究所倫理審査委員会

日時:平成14年10月1日(火) 13:00〜16:00
場所:難治疾患研究所 所長室
出席:平岡、山上、木村(以上 内部委員)、稲葉、徳永、松岡(以上 外部委員)

議事

新任委員の紹介
本委員会の委員として新たに選任された松岡委員が就任した。

前回議事要旨の承認
平成14年度第1回本委員会議事要旨について確認し、承認した。

迅速審査案件

第1号(前回第7号継続)
「神経・筋疾患モデル動物の作成に関する分子細胞遺伝学的研究」
実施責任者:斎藤(小原)深美子助手(分子細胞遺伝)

リソースネットワークにおける患者さんへの説明文書、同意書の例示、共同研究施設の役割分担、責任者氏名および職名に関する追加資料が提示され、これに基づいて質疑応答の上審議した。本件はリソースネットワークにおける同意の範囲内であり、目的外使用ではないことが確認されたため、以下の条件で実験計画を承認した。
 リソースネットワークよりの試料取得においては各件ごとに試料提供の承諾書を取得すること
 遺伝子解析ガイドラインに従うこと
 承認する

第2号(前回第5号継続)
「マイナー組織適合抗原の同定及び移植片対宿主病・抗腫瘍効果に関わる研究」

実施責任者:村松正明教授(分子疫学)
個人識別情報の削除項目、臨床保存情報、匿名化手法、本学における個人識別情報管理者の設置などについて、追加資料に基づき説明があり、質疑応答と審議の結果、以下の条件で実験計画を承認した。

1. 用いる診療情報はH13.3.29以前のものに限る。
2. 可能な限り改めて同意を得ることに努める。但し、試料提供者の消息が不明な場合にはその限りでない。
3. 遺伝子解析ガイドラインに従うこと。

継続審議案件

第7号(前回第6号継続)
「ヒト胚性幹(ES)細胞から肝細胞への分化誘導と肝細胞移植治療に向けた基礎研究」
実施責任者:寺岡弘文教授(病態生化学)

(1)ヒトES細胞使用に際して守るべき技術的・倫理的な規則、(2)細胞の保管方法、施錠法、鍵の管理法などについての具体的取り決め、(3)実験室の整備、入退室の管理に関する具体的な説明について、それぞれ資料が提出され、これに基づいて質疑応答と審議を行った。マウスES細胞使用の業績に関する追加説明があり、また実験室が開設された(現在は設備の選定中)こと、実験においては肝細胞への分化のみを目的とすること、生細胞としては実験室外に持ち出さないことを確認した。また、マウスへの移植実験は行わないとした実験計画の部分変更の説明を受けた。さらに、研究終了後の取り扱いについてES細胞は供給元に戻すことを確認した。審議の結果、実験室運営委員会が未設置であること、入退室管理方法が未定であることなどにより、本件はさらに継続審議とした。

前回第4号継続審議について
「離島における薬物応答遺伝子多型に関する情報の体系的収集と解析の試み」
実施責任者:小池勇一助教授(予防医学)

前回の継続審議事項に関する説明資料の提出がないため、審議未了とした。

新規審議案件

第3号
「久山町における生活習慣病に関するゲノム疫学研究とそれに基づくEBMデータベースの開発とテーラーメイド医療の実現」
実施責任者:村松正明教授(分子疫学)

資料に基づき、共同研究先(試料供給元)における倫理審査状況、遺伝子解析範囲、研究機関内に実施可能な研究領域、同意文書における結果開示時期、試料提供者(疫学研究対象)への説明体制などを含めて研究計画に関する説明があり、質疑応答を行なった。
 種々審議の結果、以下の内容についての資料を求めることとし、継続審議とした。
 試料提供元(九州大学医学部)における実験計画についての倫理審査委員会の議事要旨と研究承認範囲について
 本共同研究における個々の研究組織の役割分担の明確化
 説明と同意の内容が異なる既存試料群について、試料群ごとの同意内容と解析内容および解析方法のフローチャート

第4号(木村)
「韓国における循環器疾患関連遺伝子の解明に関する研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

申請書に基づき実験計画の説明があり、質疑応答の上審議した結果、以下の内容についての資料の提出を受けて、迅速審査を行うこととした。なお、本件は委員より申請された案件であるため、審議の際に当該委員は退席した。
 試料提供元における、同意書のサンプルおよび倫理審査委員会による研究計画の承認内容等についての説明資料
 本研究所における遺伝子解析研究に関しても試料提供元における倫理審査委員会の承認を得ることが望ましい。

第5号(木村)
「アジアオセアニア地域民族の遺伝的特性に関する研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

申請書に基づき実験計画の説明があり、質疑応答の上審議した結果、以下の内容についての資料の提出を受けて迅速審査を行うこととした。なお、本件は委員より申請された案件であるため、審議の際に当該委員は退席した。
 1.各共同研究者(試料提供元)より、被験者への研究内容説明、同意範囲などに関する説明資料

6.その他の審議案件

1)追加申請(木村)
 平成13年1月18日付承認「難治性動脈炎の病因と病態形成機構の究明に関する研究」(実施責任者:木村彰方教授(分子病態))の研究対象に、千葉大学医学部より提供される試料(千葉大学医学部倫理審査委員会での承認済み案件)を加えることについて審議し、これを承認した。なお、本件は委員より申請された案件であるため、審議の際に当該委員は退席した。
2)研究遂行者の追加申請(木村)
現在進行中の以下の遺伝子解析研究(いずれも実施責任者は木村彰方教授(分子病態))について、各研究に深く関与するポスドクを追加する件について審議し、これを承認した。なお、本件は委員より申請された案件であるため、審議の際に当該委員は退席した。
「心筋梗塞の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
(平成13年1月18日付け承認)
「高血圧の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
(平成13年6月5日付け承認)
「HIVウイルス感染防御機構の究明に関わる研究」
(平成13年8月28日付け承認)

7.その他
第6号(実施責任者:田中光一教授(分子神経))
 本件は外部機関との共同研究であるが、共同研究先(試料提供元)における倫理審査中であり、資料を追加して改めて申請するとの申し出があった。このため、改めての申請を受けて審議することとした。