高気圧治療部

東京医科歯科大学病院高気圧治療部では、日本最大の16名同時に収容可能な治療装置を擁し、気圧と酸素濃度を高める高気圧酸素治療(HBO)の臨床と研究を行っています。

      

HBOは末梢組織の低酸素環境の改善、気体の圧縮作用のほか創傷治癒促進効果などがあり、減圧症、末梢循環不全による足趾潰瘍、放射線照射後の晩期障害のほか、スポーツ外傷の軟部組織外傷などに適用されます。特に、軟部組織外傷に対する基礎研究を積極的に取り組んでいます。

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高気圧酸素治療とは

圧力の高い部屋(高気圧治療装置)で100%酸素を吸入し、全身に酸素を供給する治療を「高気圧酸素治療」といいます。
世界的にも確立した治療法で、日本高気圧環境・潜水医学会や厚生労働省の基準では、2絶対気圧(大気圧の2倍、水深約10mの圧力)で1時間以上の100%酸素を呼吸することを「高気圧酸素治療」としています。

血液中(動脈血中)では、通常赤血球内にあるヘモグロビンの95%以上が酸素と結びついています。ヘモグロビンと結びついている酸素を「結合型酸素」といいます。

たとえば、病院などで100%酸素を吸うと、ヘモグロビンがほぼ100%、酸素と結び付きます。さらに、「高気圧酸素治療」では高気圧環境下で酸素を吸入することで、圧力に応じて血液の液体成分である血清に酸素が溶け込みます(肺胞酸素分圧に比例して酸素が血清に溶解します)。これを「溶解型酸素」といいます。

高気圧酸素治療では、特にこの「溶解型酸素」により治療効果を発揮し、減圧症・末梢循環不全・損傷組織の創傷不全・感染症等に対して有効な治療法です。