ハイブリッド医育成プログラムについて

膠原病・リウマチ性疾患の治療は新たな治療薬の開発により、小児、成人ともに大きく進歩を遂げてきました。しかし、小児期・成人期の膠原病・リウマチ性疾患診療は別個の枠組みで発展してきた経緯もあり、小児から成人への移行期の患者においては、その特性に配慮した適切な医療が十分に提供されていないのが実状です。近年は免疫難病に対する社会的関心の高まりもあり、小児から成人まで膠原病・リウマチ性疾患などの免疫難病をシームレスに診療する体制が求められています。

小児科医、内科医のメンバーからなる生涯免疫難病学講座はこのような状況に応えるため、2016年4月に開講されました。小児から成人、さらには高齢者までの一生涯にわたり膠原病・リウマチ性疾患をはじめとする免疫難病の診療体制の確立を目指し活動しています。この活動の一環として、東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科と小児科が連携して、小児から成人まで免疫難病を診療できる医師、つまり『ハイブリッド医』の養成プログラムを立ち上げます。

『ハイブリッド医』育成プログラム

『ハイブリッド医』育成プログラムは後期研修のプログラムです。小児科、内科、いずれのバックグラウンドの方も対象としています(ただし、小児科医の場合は後期研修を終え、小児科の基礎ができていることが望ましいです)。それぞれの背景やこれまでの経験にあわせて小児・成人両方の膠原病リウマチ性疾患の研修を提供します。ハイブリッド医プログラムは大きく3つのレベルに分けられます(表1)

Basicの部分はその名のとおり、基礎的な知識を得る学習機会であり、ハイブリッド医を目指す方を含めた後期研修医を対象にしています。これまでも膠原病・リウマチ内科の後期研修ではmorning report、毎日お昼の時間に開かれるlunch time lecture、毎月のgrand roundといった学習機会に力を入れてきましたが、この中に小児膠原病・リウマチ性疾患や免疫不全症のトピックを組み込み、小児や移行期を含めた膠原病・リウマチ性疾患についての知識を深めていただく機会としています(表2)。診断、治療など診療に関わる事項はもちろんのこと、社会的な側面についても十分な知識を得られるように充実させる予定です。このようなBasicな教育機会を提供することは、膠原病・リウマチ内科全体が小児期、移行期の患者に適切に対応できるように基本的知識の共有にも寄与しています。

Advanced courseとMaster course

ハイブリッド医を目指す方にはBasicの教育機会に日々触れつつ、実践的な研修を受けていただきます。実践的な研修については、目指すレベルによりAdvancedとMasterに分けています。

Advancedでは内科医であれば小児科医に、内科医であれば小児科医に膠原病・リウマチ性疾患の診療に関して具体的な助言が与えられるレベル、またそれぞれが移行期の診療をカバーできるレベルを目指します。膠原病・リウマチ内科外来、小児科外来での週1回程度の研修を中心として病棟研修も組み合わせて行います。

Masterは小児、成人いずれにおいても自信を持って独立して診療できる医師、文字通り小児・成人の膠原病・リウマチ性疾患の”Master”の育成を目標とします。そのため、小児科、膠原病・リウマチ内科いずれにおいても非典型例や複雑な症例に遭遇することの多い病棟研修の期間も十分に設けています。

 

表1. ハイブリッド医育成プログラムにおける3つのレベルとコンピテンシー
表1. ハイブリッド医育成プログラムにおける3つのレベルとコンピテンシー
表2. Basicな教育機会
表2. Basicな教育機会

このほかに、月1回のgrand round、他科との合同カンファレンスが不定期に開かれます。

ハイブリッド医育成プログラムにおける達成目標と評価

ハイブリッド医育成プログラムでは小児科、内科、いずれのバックグランドがある場合でも日本リウマチ学会リウマチ専門医の取得を最低限の目標としています。このプログラムではリウマチ専門医取得に十分な症例数を経験できます。ハイブリッド医育成プログラムではさらにこの症例数と年間の入院・外来症例数を参考に、成人・小児の重要な疾患を経験できるように経験すべき目標症例数を設定しています。具体的な知識、診療技術については設定したコンピテンシー(表1参照)に基づき、指導医から評価を受けます。

ハイブリッド医育成プログラムの期間

ハイブリッド医育成プログラムは経験年数や希望に応じて期間を設定しますが、基本となる研修期間は図1のとおりです。リウマチ専門医の取得に必要な5年間を当面の目標としますが、より短期間での研修も可能です。

最初の2年間は基本となる部分で、大学病院での研修、膠原病・リウマチ内科関連病院での研修を1年ずつ行います。関連病院にいる間でも大学で週1回の小児リウマチ外来研修を受けることができます。

3年目以降は希望に応じて大学院への進学、あるいは引き続き大学病院や関連病院での研修となります。大学院に進学する場合は最長の6年間となります。大学院生としても引き続き病棟、外来での研修を受けることができます。3年目以降は到達度に応じてより独立した形で外来診療を行います(図2, 3)。

研修期間を通じて指導医による達成度の評価をおこないながら、十分な症例数の経験、リウマチ専門医の取得、さらには目標とする医師像に近づけるようサポートします。

 

図1. ハイブリッド医育成プログラム期間
図1. ハイブリッド医育成プログラム期間
図2. 内科医の研修例
図2. 内科医の研修例

青字はMaster courseの場合

図3. 小児科医の研修例
図3. 小児科医の研修例

青字はMaster courseの場合

連絡先;生涯免疫難病学講座 平野史生 hirano.rheu(at)tmd.ac.jp

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