生物学教室の提供する教育

 


更新日:2001/03/16

  
目標
開講科目の概要
   細胞の生物学(担当:和田 医学科・歯学科1年生)
   遺伝子の生物学(担当:服部 医学科・歯学科1年生)
   生物学(担当:高田 保健衛生学科)
   生物学実験
   生命科学基礎c(担当:服部、和田 医学科・歯学科2年生)

   講義と実習によるバイオサイエンス(担当:服部)
   発生学の基礎(担当:和田)
   人の生物学(担当:楢崎)


目標

 生物学は、生命現象を科学的に明らかにしようとする学問である。しかしながら、生命現象は多岐に渡るので、生物学があつかう範囲はとても広い。高校の教科書を見てもわかるように、蛋白質や核酸、細胞、組織や器官から個体群まで、あるいは発生、生理から行動までと、覚え なければならないことがたくさんあった。一方、新聞の科学欄などには、注釈なしにDNAや RNAなどの記号が使われるようになった。また、生化学はあたりまえで、物理学の分野にも生物物理学が生まれ、工学部にも生命工学あるいは生物工学という分野が生まれ、生命現象を 取り扱っている。そのような意味では、生物学はいまや常識として知っておかなければならない分野だと言えるのかもしれない。生物学の個々の事実を覚えるのはともかく、すくなくとも生物学的な「モノノミカタ」を持っていることが必要なのである。「食物連鎖」と「生物濃縮」 というキーワードがよく理解されていれば、水俣病の悲劇はあれほど大きくはならなかったろう。われわれは、地球という太陽系の一惑星の乗組員として、同じような過ちを繰り返さないために、生物学を学ばなければならない。環境の破壊は我々が考えているよりはずっと進んでいるような気がするからである。

 一方、諸君がこれから進もうとしている医学歯学の道は、まさにこの生命現象を、直接あつかう分野である。医学歯学に携わるものとして、正常な生命現象を理解した上で、その異常と して起こる「病い」を研究したり、治療したりしなければならない。臨床の各専門分野は、そのまえに学習する解剖学、生理学、生化学、薬理学など基礎科目の上になりたっているし、解剖学、生理学、生化学、薬理学など基礎科目は生物学の知識を必要とする。

  限られた時間の中で、上に述べた2つの目的をバランスよく学習するために、生物学科目では、選択科目と必修科目を配置してあるので、授業に積極的、能動的に参加するとともに、ふだんから広く知識を吸収しようと心がけてほしい。いろいろな知識や学習したことを、断片と してそのまま飲み込むのではなく、つなぎあわせて紡いでゆく作業を諸君がおこなってゆけば、結局はすべて繋がっているのだということがわかるはずである。

  必修科目としては、細胞生物学、系統生物学、生命科学基礎cの講義と、生物学実験が課せられている。選択科目としては、発生学の基礎、講義と実習によるバイオサイエンス、人の生物学が開講される。


開講科目の概要:

細胞の生物学

  この科目では、すべての生物の基本的な単位である細胞がどのような物質からできているか、どのようにエネルギーを獲得しているか、どのように必要な物質を合成しているかを知り、生きているとはどのようなことかを学ぶ。動物の細胞生物学の基礎 (Introduction to cell biology)といったところになる。


遺伝子の生物学


生物学


生物学実験

  生物学実験は、講義で学習する細胞生物学や生命科学基礎の事実が、どのようにして得られたのかを身を持って習得するするためにおこなわれる。もちろん、時間の制約や各自の持つ技術の制約のために、最先端の実験がおこなわれるわけではない。むしろ生物学の基本的な考え 方やモノノミカタを習得するために、基礎的な項目が配置されている。しかしながら、各自が手を動かし、自分の目で確かめ、推論し結論を出す過程は、研究者がおこなう実験と基本的な点でなんら変わるところはない。事前にじゅうぶん該当する項目を読み下調べをして、実験に臨むことが必要である。


生命科学基礎c

  1年次の生物関連の講義では、生命の基本的な単位である細胞に関して学習した。生命科学基礎Cでは、基本となる細胞がどのように構築されて個体になるのか、多細胞の個体がどのように、全体として調和のとれた活動ができるのかを学ぶ。動物の発生学(Developmental Biology)や生理学(Physiology)の基礎といったところになる。


講義と実習によるバイオサイエンス


発生学の基礎

  この科目では発生学に関する文献輪読をおこない、週末(日時未定)に2泊3日で本学館山大賀寮に宿泊しながら、大賀寮近くにあるお茶ノ水女子大学館山臨海実験所で、バフンウニの発生の観察を行う。この2つはセットになっているので、両方に参加しなければ履修完了とは認めない。

  文献輪読:生物学で習う事実がどのような実験手技によって証明されたかは、通常の講義では、時間のつごうなどでなかなか説明できない。具体的にどのような手続き、実験によって生物学的な事実が検証されるかを、オリジナルペーパーを読んで確かめてゆく。そのため、 受講者は英語の論文を読むことが要求される。論文を割り当てて、順番に発表してゆきながら、発生学の知識を身につけてゆく。この手続きをクリアーしないと、次の実習への参加はできない。

  臨海実習:ウニは初期発生が同調して進むので、発生学の材料として長い間使われてきた。この時期だとバフンウニが使える。そこで、お茶ノ水女子大学の館山臨海実験所を借りて、バフンウニの初期発生の観察を、泊まり込みで行う。自分の覗いている顕微鏡の下で、 新しく個体が誕生する瞬間である受精が起こり、卵割が進んでゆくのを観察できるのはなかなか感動的である。実験所近くの大賀寮に泊まって実習を行いますので、普段とは違った雰囲気で 実習を行うことがでる。


人の生物学


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