大学公開講座 2021

大学公開講座 2021

2021年度公開講座は、全日程を終了しました。ありがとうございました。

「健康を考える」 11/3~12/8全6回開催

参加費無料・オンライン参加者募集
(ビデオ収録した講義を視聴後、ライブ配信で講師が質疑応答します)

応募方法、概要

応募方法:以下のURLにアクセスの上、応募フォームに必要事項をご記入の上、送信してください。
https://www.ocans.jp/tmd?fid=hzYHDMH4
応募締切:各回開催日 前日16 時
参加方法:応募者全員にオンライン(Web)配信の参加ページ情報(URL)をメールでお知らせします。そこからご参加ください。感染対策上、大学内での講義は行いません。ご了承ください。
お問い合わせ:
東京医科歯科大学広報部(総務部総務秘書課広報係)
TEL:03-5803-4014(平日10:00 ~ 16:00)
E-mail:kouhou.adm@tmd.ac.jp
応募・講座詳細HP https://www.tmd.ac.jp/for-general/open-lecture/daigaku2021/

第1回 11月3日(水・祝日)

テーマ:認知症最新知見と「認知症予防外来」の設立
司会:横田 隆徳(よこた・たかのり)先生
(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 脳神経病態学分野 教授)


講演1:認知症予防の時代の始まり 
講師:山田 正仁(やまだ・まさひと)先生
(国家公務員共済組合連合会 九段坂病院・副院長、東京医科歯科大学・特命教授、金沢大学・名誉教授)

【概要】
今、認知症診療は大きく変化しようとしています。認知症の原因の2/3を占めるのはアルツハイマー病です。アルツハイマー病では、正常だった認知機能が徐々に低下し、正常と認知症の中間的な状態である軽度認知障害になり、さらに進行して認知症になります。アルツハイマー病の治療には、薬と薬以外(ケアやリハビリなど)があります。薬については、従来、アルツハイマー病による認知症の症状を改善する薬が使われてきました。しかし、最近、アルツハイマー病の脳にたまるアミロイドβというタンパク質を取り除く新薬が米国で承認され、根本的な治療効果が期待されています。重要な点は、新薬の対象は主に軽度認知障害であり、認知症が進行してしまった段階では効果が期待できないことです。すなわち、軽度認知障害の段階でアルツハイマー病を発見して認知症への進行を予防する時代が始まっています。講演では、こうした認知症診療の最新情報をお話しします。

講演2:東京医科歯科大学附属病院・九段坂病院 認知症予防外来の開設
講師:三條 伸夫(さんじょう・のぶお)先生
(東京医科歯科大学脳神経内科・クロスアポイントメント特任教授、国家公務員共済組合連合会 九段坂病院・内科部長)

【概要】
東京医科歯科大学医学部附属病院脳神経内科では、2005年に認知症専門外来として「もの忘れ外来」を単独で開設し、2014年からは旧老年病内科、精神科、脳神経外科を含めた4科が合同で認知症の予防から発症後の初期から中等症まで幅広く診療を行う診療体制で認知症診療を行ってきました。今年6月より九段坂病院と合同で「東京医科歯科大学附属病院・九段坂病院 認知症予防外来」として新たな診療体制を行うこととなりました。これにより東京都中央部を中心に幅広く御高齢の方々に受診していただき、認知症前段階である軽度認知機能障害や自覚的なもの忘れから認知症になることを予防し、認知症の診断をうけておられる方が悪化しないように予防する診療をご提供してゆきます。講演では、受診される方を正確に診断するために必要な検査の種類や受診の方法などをご紹介させていただく予定です。

【配布資料】※開封パスワードは前日の案内メールに記載しておりますので、そちらをご入力の上ダウンロードしてください。

テーマ:実は世界で一番多い疾患だった歯科疾患の意外な事実
講師:相田 潤(あいだ・じゅん)先生
(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野 教授/東京医科歯科大学病院 歯系診療部門 歯科総合診療科 息さわやか外来 教授)

2003年北海道大学歯学部歯学科卒。2004年国立保健医療科学院専門課程修了。2007年北海道大学大学院歯学研究科博士課程修了。歯科医師、歯学博士。東北大学大学院歯学研究科、University College London、宮城県 保健福祉部(兼務)、東北大学大学院歯学研究科、東北メディカル・メガバンク機構(併任)を経て、2020年東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科健康推進歯学分野教授に就任。研究分野は歯科公衆衛生、社会疫学、健康格差、ソーシャル・キャピタル、災害疫学 等。
【概要】
 2021年5月、世界保健機関(WHO)の第74回世界保健総会で、口腔保健の決議が採択されました。この採択は、近年いくつかの角度から、歯科口腔保健の重要性が明らかになったことがきっかけで実現されたものです。例えば重要性の1つとして、約300の疾患の多さ(有病率)を調べた研究で、治療が必要なむし歯が最も多かったという結果から、歯科疾患が多いということが挙げられています。日本では、子どものむし歯は近年減少していますが、それでも他の多くの疾患よりも有病率は高い状況にあります。また高齢者ではむし歯を有する人が増加しています。さらに、口腔の健康が全身の健康に影響することも、近年の研究から明らかになってきた重要性です。口腔は食や会話を通じて、また歯肉の炎症や口腔内細菌を通じて、全身に様々な影響を及ぼしています。本講座ではこれらの重要性を解説します。

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テーマ:災害に備える~持病のある人も安心して災害後を過ごすために~
講師:佐々木 吉子(ささき・よしこ)先生
(東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科 災害・クリティカルケア看護学分野 教授)

1997年東京医科歯科大学医学部保健衛生学科看護学専攻卒。2002年同大学院保健衛生学研究科修士課程修了。2005年同博士課程修了。看護師、保健師、修士(看護学)、博士(看護学)。大阪府立千里救命救急センター、九段坂病院、社団法人日本看護協会を経て、2014年東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科共同災害看護学専攻教授、2020年より同大学院保健衛生学研究科 災害・クリティカルケア看護学分野教授に就任。研究分野は災害看護、救急看護、クリティカルケア 等。
【概要】
 皆様ご承知のとおり、太古の昔から災害は繰り返し起こっています。長い歴史上の事実や、近年の地殻変動の様子から、内閣府は今後大地震が起こる確率を、南海トラフと根室沖の大地震は今後50年以内に80%、首都直下地震は今後30年以内に70%と公表しています。また近年では、地球規模での気候変動による豪雨災害も毎年のように頻発しています。これらに対して、建物の耐震化や免震化、河川の決壊や津波から命を守るための堤防や防潮堤の補強や、住居等の高台移転などが進められおり、災害から逃げ切ることのできる可能性は高まったかもしれません。しかし、災害時に本当に大変なのは、助かってからの生活です。被災後に安心安全に過ごすためには個人で備えておくことが肝心です。持病のある人もない人も、災害をイメージし、安心安全に災害後を過ごすための備えについて考えてみましょう。

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テーマ:メッセンジャーRNA(mRNA)はクスリにもなります
位髙 啓史(いたか・けいじ)先生
(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 生体材料機能医学分野 教授)

1991年東京大学医学部医学科卒。2003年同大学院医学系研究科博士課程修了。医師、医学博士。三井記念病院、東京大学医学部附属病院、同大学院医学系研究科、Harvard Medical School Massachusetts General Hospital等を経て、2017年東京医科歯科大学生体材料工学研究所生体材料機能医学分野教授に就任。研究分野は整形外科学、核酸医薬、遺伝子治療、再生医療、薬物送達システム 等。
【概要】
 新型コロナウイルスのワクチンで、メッセンジャーRNA(mRNA)という言葉をよくお聞きになりませんでしょうか?既にワクチンについては、テレビや新聞雑誌等でもいろいろ解説されているのでご存知の方も多いと思います。一方、mRNAは普通のクスリの材料としても有望であることをご存知でしたでしょうか?本講座では、このmRNAのクスリとしての可能性に焦点を当てて、「mRNAとは何ぞや?」ということから、これをクスリとして用いる場合の特徴や今までのクスリとの違いなどをお話しします。既に動物を用いた基礎研究ではいろいろな疾患の治療に向けた試みが進められていますが、特に東京医科歯科大学では、世界に先駆けてmRNAを用いた膝軟骨再生治療の実用化を目指した取り組みがスタートしており、詳しくご紹介します。

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テーマ:健康と医療のために知っておきたいゲノム研究最前線
稲澤 譲治(いなざわ・じょうじ)先生
(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 分子細胞遺伝分野 教授/同 統合研究機構 研究基盤クラスター 疾患バイオリソースセンター センター長)

1982年京都府立医科大学医学部医学科卒。医師、医学博士。同附属病院、同医学部、東京大学医科学研究所を経て、1998年東京医科歯科大学難治疾患研究所分子細胞遺伝分野教授に就任。同硬組織疾患ゲノムセンターセンター長、同学長特別補佐、同副理事等を歴任。研究分野は癌、遺伝疾患、ゲノム医科学 等。
テーマ:健康と医療のために知っておきたいゲノム研究最前線
【概要】
 ゲノム研究の急速な進歩により、日々、新しい成果が得られています。大量のゲノム情報をもとに、私たち一人一人に「ゲノム多様性」と呼ばれる配列や構造の違いがあること、がん細胞に起きる複雑なゲノム変化には意味のある異常とそうでないものがあること、さらに、人の体細胞でゲノム異常が起こり加齢とともに蓄積するという不都合な事実などが明らかになっています。また、ゲノム技術の革新により解析コストの価格破壊がもたらされ、タンパク質をコードする2万種類の遺伝子の全塩基配列も今ではわずか5万円で決定できる状況です。このように成熟しつつあるゲノム情報社会において、健康を維持し、適切な医療を受けるためにも、ゲノムの知識を深め、ゲノム情報を上手に活用することが肝要になっています。 また、ゲノムの理解は持続可能社会に問われる多様性と包摂性の理解とも重なるものです。

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テーマ:腱の研究であなたの健康を堅持する
淺原 弘嗣(あさはら・ひろし)先生
(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 システム発生・再生医学分野 教授/同 統合研究機構 研究基盤クラスター リサーチコアセンター センター長)

1992年岡山大学医学部医学科卒。1997年同大学院医学研究科博士課程修了。医師、医学博士。ハーバード大学、ソーク研究所、国立成育医療センター研究所等を経て、2011年東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科システム発生・再生医学分野教授に就任。同副理事、同副医学部長、同学長特別補佐等を歴任。研究分野は基礎医学、分子生物学、発生再生医学、システムバイオロジー、整形外科学、リウマチ学 等。
【概要】
腱と靱帯は、筋の力を正確に伝え、関節を駆動させる強靭な組織です。しかし、アキレス腱の損傷や膝関節の靱帯損傷など、腱と靱帯は傷害をうけると治療に時間がかかり、さらに完治は困難です。スポーツにおいては選手生命に関わることもあり、一般の方の日常生活においても、腱・靱帯の傷害を放置すると、関節の摩耗が進むことが知られています。また、カンガルーの跳躍力が僅かな筋のエネルギーをアキレス腱で増幅することで生まれるように、私たちの運動能力を促進し、それがいつまでも維持されるための鍵は、どうやら腱に大きく依存しているようです。私たちの体を繋ぎ合わせ、体を駆動する力を伝え、運動機能を高める「腱・靱帯」から、私たちの健康を堅持するための情報と、個人の運動能力の差異の潜む謎を、オリンピック・パラリンピックの余韻とともに、皆様と、紐解いていきたいと思います。