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4.EBV陽性gdT細胞株の解析
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近年、EBVはバーキットリンパ腫、ホジキン病、鼻性T/NKリンパ腫、そして慢性活動性EBV感染症などさまざまなリンパ増殖性疾患の発生に強く関与していると考えられている。しかし、EBVのT/NK細胞への感染機構やそれらの疾病におけるEBVの役割はほとんどわかっていない。本研究ではgdT細胞とEBVの相互作用を明かにすることを目的とし、EBV陽性gdT細胞の培養と解析を行った。EBV陽性gdT細胞株として、鼻性T/NKリンパ腫由来の細胞株SNT8(Blood,97:708-713,
2001)と新たに得た2種の慢性活動性EBV感染症(CAEBV)患者末梢血由来の細胞株、SNT13、SNT15を用いた。細胞表面抗原はフローサイトメーターにより解析した。T細胞リセプター(TCR)遺伝子再構成をPCRにより解析した。EBV陰性gdT細胞株としてMolt-14、Peer、Loucyを用いた。
3種のEBV陽性gdT細胞株において、EBVはTRの解析よりモノクローナルであった。TCRV領域の発現をフローサイトメトリーにより解析したところ、全てのEBV陽性gdT細胞株は抗Vg9および抗Vd2モノクローナル抗体に対して陽性であったが、EBV陰性gdT細胞株ではこれらのTCR発現は陰性だった。TCR遺伝子のPCRによる解析では、全てのSNT細胞株においてVd2-Jd3の再構成を示した。
細胞株
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VγI
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Vγ9
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Vδ1
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Vδ2
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Vδ3
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SNT-8
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+++
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+++
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SNT-13
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+++
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+++
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SNT-15
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+++
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+++
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Molt-14
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+
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+++
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Peer
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++
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Loucy
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+
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+
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抗体反応:+++, >90%
陽性、++, 50%〜90% 陽性、+, 15%〜50% 陽性 -, 陰性
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PCRによるTCRd鎖V-J結合領域の解析
PCRの解析により、3腫のSNT細胞株における同一のVd2-Jd3
TCR遺伝子再構成が示された。Vd2センスプライマーとJd3アンチセンスプライマーの組み合わせでのみ、ほぼ100-bpのPCR産物が増幅された。レーン1(SNT-8)、レーン2(SNT-13)、レーン3(SNT-15)を示す。EBV陰性gd細胞株である、レーン4(Molt-14)、レーン5(Peer)、レーン6(Loucy)ではバンドが検出されなかった。
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これらの結果より、EBV陽性gdT細胞のTCR発現パターンとTCR遺伝子再構成パターンには高い共通性があることが示唆された。この共通性はEBV陽性gdT細胞に特有で、EBV陰性gdT細胞には全く認められなかった。現在TCR遺伝子の再構成パターンをサザンブロッティングによる詳細な解析を行っている。
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