感染予防に役立つ 手洗い・手指消毒・マスク・咳エチケット
by東京医科歯科大学病院 医科(医系診療部門) 感染制御部
はじめに
この時期は例年、インフルエンザや感染性胃腸炎など、季節柄の感染症が流行る傾向にあります。 予防法としては咳エチケットや手洗いなどを一般的な衛生対策として行うこと。そこで、東京医科歯科大学病院 医科(医系診療部門)感染制御部に、正しいマスクの使い方、手洗い・手指消毒、咳エチケットについて聞きました。
手洗いの重要性
人の手に存在する常在菌や、咳やくしゃみを抑えたときに手に付着したウイルスは、洗わなければ手に付着したままです。手洗いせずにあちこちを触るのは、病原菌をまき散らしているのと同じこと。手洗いでしっかりと洗い流しましょう。
手洗いの手順
石鹸と流水で手を洗う場合、
流水で十分に手をぬらします。
石鹸を手のひらに適量とります。
石鹸を泡立てて手の平を洗います。
手の甲の皮膚表面を広げ伸ばすように石鹸で洗います。
指の間も念入りに石鹸で洗います。
指先・爪の間を洗います。
親指・親指の付け根を洗います。
手首を洗います。
流水で石鹸をよく洗い流します。
ペーパータオル、清潔なハンカチなどで水分を十分に拭き取り、手を完全に乾かします。
手指用アルコールによる消毒の効果
アルコール消毒は、手洗いよりも短時間かつ手軽に微生物を殺すことができ、手洗いより効果的です。インフルエンザウイルスは、アルコールによって「エンベロープ」という外膜を壊すことで死滅させることができ、アルコールによる手指消毒や拭き取り消毒の効果があります。しかし、ノロウイルスなどアルコール消毒が効かない病原体も一部に存在するため、特にトイレの後などは石鹸を使った手洗いを念入りにする必要があります。
手指用アルコール消毒の手順
アルコール消毒剤を片方の手の平に取ります。
初めに両手の指先に消毒剤をすり込みます。片方の手のひらの上でもう一方の指先や爪の間にアルコール消毒剤をすり込みます。
両方の手のひらにアルコール消毒剤をすり込みます。
手の甲にもアルコール消毒剤をすり込みます。
指の間は両手の指を組んですり広げます。
親指、特に親指の付け根も忘れずにすり広げます。
両手首までしっかりとすり広げます。
手指表面全体を覆うように両手で手が乾くまで擦り込みます。製剤の使用量は各メーカーの指示に従いましょう。
マスクの重要性
ウイルスは、咳やくしゃみの飛沫と一緒に空気中に放出されます。マスクをする目的は、この飛沫の拡散を防ぎ、人に移すしたり移されたりする流れを断ち切ることなのです。インフルエンザ、かぜ、胃腸炎などの感染拡大防止には予防には、手洗い・手指消毒、うがい、感染の拡大を防ぐには、マスクや咳エチケットを守ることが大切です。
マスクの付け方
マスクから鼻が出ていたり、顔との間に隙間が空いていると、そこからウイルスが入り込んでしまうので注意!
マスクの取り扱い
マスクの外面・内面は汚染されているので、そこには触れないようにしましょう。また、一度つけたマスクはすぐに捨てて、新しいものをつけるようにしましょう。
咳エチケット
◆使用したティッシュはすぐにゴミ箱に捨てる
◆鼻をかんだ後やくしゃみを押さえた手は、すぐに手指消毒または石鹸でよく洗う
取材協力:東京医科歯科大学病院 医科(医系診療部門)感染制御部
貫井 陽子(感染制御部長)、渡邉 由香(副看護師長)、渡邊 文子(看護師)
【感染制御部ホームページ】
http://www.tmd.ac.jp/medhospital/medical/section/kansen.html