令和6年度 東京科学大学 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 958 583 746 973 1423 2758 3848 5202 2502 276
当院の入院患者さんは、60歳以上の占める割合が、全体の61.4%、80歳以上が14.4%とご高齢の患者さんが多く入院されている一方で、20代以下が11.9%、10代以下は8.0%と若い世代(小児疾患など)の患者さんの入院治療も行っています。
当院ではご高齢の患者さんの慢性疾患や急性肺炎、脳血管障害など救急医療の受け入れが多く、また若年の患者さんには血液疾患、神経、炎症性腸疾患など入院治療を行っています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99xBxx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 Bあり 54 12.17 12.23 0.00 71.70
130030xx99x6xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 6あり 36 14.44 15.67 0.00 64.61
130030xx99x7xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 7あり 30 12.83 12.54 0.00 71.20
130030xx97x3xx 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 3あり 22 36.23 29.22 9.09 64.64
130010xx99x9xx 急性白血病 手術なし 手術・処置等2 9あり 21 14.81 12.45 0.00 79.29
当科では特定機能病院として悪性リンパ腫、急性白血病、多発性骨髄腫といった造血器悪性腫瘍を中心とし、再生不良性貧血、溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、凝固異常症などの疾患についてもバランスよく診療しています。
急性白血病については各症例に応じて同種造血幹細胞移植を含めた包括的な治療を行っています。非ホジキンリンパ腫についてはリツキシマブやポラツズマブを入院で導入したのち外来で治療を継続しています。
当科は関東でも数少ないCAR-T細胞療法認定施設であり、再発後にも自家末梢血幹細胞移植やCAR-T細胞療法や他の化学療法などの治療を患者さんの病気や状態に応じて積極的に行っています。悪性リンパ腫が最も多く、豊富な経験をもとに患者さん毎に最適な治療を提供させていただいています。多発性骨髄腫については新規薬剤を含む治療を入院で導入したのち、外来での治療に移行します。
また、若年の患者さんには自家末梢血幹細胞移植を積極的に行っています。
血液内科においても高齢の患者さんが増加しており、当院の特徴である歯学部との連携のほか、看護部、リハビリテーション部、臨床栄養部、心身医療科など多職種との連携を行い、一人一人の患者さんに最適な医療を行えるよう心がけています。外来化学療法による病床の効率的な利用、血液製剤の適正使用などにより、貴重な医療資源を有効活用して地域、社会に貢献しています。
膠原病・リウマチ内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070560xxxxx00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 204 14.95 14.93 2.45 60.50
070470xx99x0xx 関節リウマチ 手術なし 手術・処置等2 なし 31 15.45 15.00 6.45 70.71
040110xxxx00xx 間質性肺炎 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 29 9.41 18.68 0.00 61.93
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 15 18.67 16.40 13.33 83.53
070560xxxxx01x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり 10 16.90 24.07 0.00 67.60
当科では全身性自己免疫疾患である膠原病・リウマチ性疾患を主に診療しています。
その中には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎/皮膚筋炎、全身性強皮症、シェーグレン症候群、血管炎症候群、ベーチェット病、IgG4関連疾患、成人発症Still病などがあります。これらの病気は間質性肺炎や腎炎など全身に影響を及ぼすため、必要に応じて入院で検査・治療を行います。
当科は、都内の大学病院の中でも多くの膠原病・リウマチ性疾患の患者さんを診療し、標準的治療では効果が不十分な重症・難治性の患者さんを多数受け入れています。
家族性地中海熱やその他のまれな自己炎症疾患の診療にも取り組んでいます。
糖尿病・内分泌・代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 1あり 112 12.60 13.77 0.89 65.77
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 なし 32 10.84 10.46 0.00 61.16
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 31 5.71 5.35 0.00 53.68
100260xx99100x 下垂体機能亢進症 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 29 7.41 5.04 0.00 50.55
100202xxxxxx0x その他の副腎皮質機能低下症 定義副傷病 なし 13 8.00 8.86 0.00 50.46
当科では従来より糖尿病・内分泌疾患の診療に力を入れています。
糖尿病については教育入院プログラムを準備しており、インスリン導入や手術前の血糖コントロールなどそれぞれの病態・状況に応じた入院診療を行っています。また、24時間持続血糖モニタリングやインスリンポンプ治療などの専門的な医療も行っており、日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医、糖尿病療養指導士の資格を有する看護師、管理栄養士、薬剤師の専門チームで連携して診療にあたっています。
内分泌疾患では原発性アルドステロン症を中心とする副腎疾患や下垂体疾患に対する内分泌負荷試験および副腎静脈サンプリング検査のための短期入院を積極的に行っています。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 64 11.73 11.35 0.00 70.66
110280xx03x0xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 内シャント血栓除去術等 手術・処置等2 なし 42 1.45 3.82 2.38 71.83
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 34 7.09 7.38 0.00 71.44
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 34 15.88 13.75 2.94 67.74
110260xx99x3xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2 3あり 30 2.27 4.97 0.00 50.97
慢性腎臓病(CKD)は様々な原因から腎臓の機能が低下し、最悪の場合透析に至ってしまう病気です。わが国では透析患者数約34万人、透析関連医療費は1兆6千億円程度を要しており、CKDの早期診断と適切な治療介入による透析予防は喫緊の課題であると言えます。それを裏付けるように、当科で最も多いのは慢性腎臓病の診断、治療、教育に関する入院で、透析導入予防策に尽力しています。一方、維持透析患者さんの様々な合併症への対応も必要不可欠であり、透析導入患者さんのために新たに手術を行うケースを含め、当科では血液透析用内シャント関連手術や腹膜透析関連手術を積極的に実施しています。このように当科入院目的の第2〜4位はシャント関連手術ならびに透析導入が占めています。
当科では患者さんやスタッフに放射線被ばくのない超音波ガイド下シャントPTA(経皮的血管拡張術)を採用しています。
その他、尿蛋白や尿潜血を伴い腎機能が悪化する糸球体腎炎、尿蛋白が大量に漏出してしまうネフローゼ症候群などに対して腎生検や遺伝子検査による診断と治療を行っています。最近では主にネフローゼ症候群や血管炎に対して、ステロイドに比べ比較的副作用の少ないリツキシマブの点滴治療を行うための入院が増加傾向にあり、第5位という結果でした。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 152 3.39 2.57 0.00 68.86
060035xx03xxxx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 103 6.44 6.39 0.00 65.66
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 83 7.27 7.45 0.00 72.82
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 35 12.54 8.88 2.86 67.66
060180xx01x0xx クローン病等 痔瘻根治手術等 手術・処置等2 なし 34 5.91 6.62 0.00 42.06
当科では炎症性腸疾患、肝疾患、内視鏡治療に重点を置き、診療を行っています。
当科の炎症性腸疾患・受診者数は全国有数の規模であり、常に最新の治療を取り入れ、QOLを重視した質の高い外来診療を推進しています。これにより入院に至る症例が少ないこと、また入院した場合でも長期入院が少ないことが特徴です。肝疾患はウイルス肝炎のみならず、脂肪肝炎などの非ウイルス性肝疾患や肝硬変・肝がんを対象とした治療を積極的に行っています。肝がんの治療では病状に応じてラジオ波焼灼術・肝動脈化学塞栓術・全身薬物療法等、患者さん一人一人により適切な方法を選択し、治療を行っています。内視鏡はシングルバルーン内視鏡を駆使して小腸疾患の診断や狭窄拡張術・病変切除、止血術等を行っています。併せて上部・下部内視鏡を用いた消化管悪性腫瘍に対する内視鏡的切除(EMRやESD等)や胆膵疾患に対する精査治療を行っています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx03x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 444 4.41 4.47 0.23 63.54
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 125 4.41 4.18 0.00 69.42
050050xx9920xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 なし 122 3.04 3.27 0.00 68.55
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1 なし、1,3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 80 11.65 9.59 1.25 71.92
050070xx9700xx 頻脈性不整脈 その他の手術あり 手術・処置等1 なし、1,3あり 手術・処置等2 なし 42 11.21 10.68 0.00 64.74
当科では、心房細動や心室頻拍などの頻脈性不整脈に対し、患者様の病状に合わせたさまざまな手法を用いたカテーテル治療を数多く行っています。出血リスクの高い心房細動の患者様には、脳梗塞の原因となる血栓形成を防ぐため、経皮的左心耳閉鎖術にも対応しています。
また、徐脈性不整脈や致死的不整脈、重症心不全に対しては、ペースメーカ、植込み型除細動器(ICD)、両室ペースメーカ(CRT)などのデバイス治療を幅広く行っており、患者様一人ひとりの病態や背景に応じて最適な機器を選択しています。感染などでデバイスの抜去が必要となった場合には、経静脈的リード抜去術を内科的に行っています。
さらに、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患に対しても、多彩な機器を用いたカテーテル検査・治療を実施しており、それぞれの病変に合わせた適切な治療を提供しています。大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症といった弁膜症に対するカテーテル治療も年々増加しており、幅広い分野において安全で最適な医療を患者様にお届けできる体制を整えています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1 あり 149 2.00 2.02 0.00 61.07
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 128 3.11 3.03 0.78 72.14
040110xxxx00xx 間質性肺炎 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 92 16.73 18.68 6.52 72.64
040110xxxx10xx 間質性肺炎 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 74 8.73 10.66 0.00 67.04
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 60 10.03 8.16 1.67 70.90
呼吸器内科の入院診療実績は主に間質性肺炎、肺がん、睡眠時無呼吸症候群が中心となっています。
間質性肺炎の中でも過敏性肺炎については、当科で蓄積した基礎からトランスレーショナル研究の成果をもとに専門的な検査を行い診断・治療を行っており、全国からご紹介をいただいています。肺がん診療においては、がんゲノム医療拠点病院の強みを活かして積極的にがんゲノム解析を行い進行期胸部悪性腫瘍の治療選択肢拡大に努めています。また標準治療が定まっていない間質性肺炎合併肺がんなど、多くの併存疾患を有する悪性腫瘍の症例においても安全で質の高い治療を提供しています。睡眠時無呼吸症候群の診療においては、当科、耳鼻咽喉科、精神科、歯科から構成される快眠センターを有し、多面的な睡眠障害の治療にあたっています。
また、喘息における生物学的製剤の導入や昨今拡大している非結核性抗酸菌症への薬剤選択なども行っており、幅広い領域において多数の患者様を紹介頂いています。
臨床腫瘍科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
03001xxx99x70x 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 7あり 定義副傷病 なし 10 8.40 6.52 0.00 69.60
060020xx9903xx 胃の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 3あり 10 5.60 6.17 0.00 64.30
03001xxx99x40x 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし - - 8.80 - -
060035xx99x0xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 なし - - 7.91 - -
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし - - 8.61 - -
当科では、主に消化器がんおよび頭頚部がんの薬物療法を実施しています。
治療の大半は外来化学療法で行っておりますが、一部のレジメンでは継続的に入院で治療を実施する場合もあります。入院を要する化学療法はシスプラチンなどのプラチナ系薬剤を含む治療です。
また、がん救急、副作用、症状緩和目的に入院を要することもあり、苦しんでいる患者さんの症状を改善するため様々な対応を行っています。
食道外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060010xx04xxxx 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 内視鏡的食道粘膜切除術等 80 4.30 7.39 0.00 69.55
060010xx02x1xx 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 食道悪性腫瘍手術(消化管再建手術を併施するもの) 頸部、胸部、腹部の操作によるもの等 手術・処置等2 1あり 49 25.98 31.92 6.12 68.71
060010xx99x41x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 あり 36 13.19 14.40 0.00 66.92
03001xxx01xxxx 頭頸部悪性腫瘍 鏡視下咽頭悪性腫瘍手術(軟口蓋悪性腫瘍手術を含む。)等 33 5.00 11.79 0.00 69.33
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 32 9.56 8.61 0.00 68.72
食道がんに対するすべての治療(内視鏡治療、外科手術、薬物療法、放射線治療)を当科が中心となって行っています。薬物療法は臨床腫瘍科と、放射線治療は放射線治療科と協力して集学的治療を行っています。
手術に際しては、形成外科、頭頚部外科、呼吸器外科、心臓血管外科などとの協力しながら、高度な外科治療を実施しています。特に頸部食道がんに対する喉頭温存・胃温存手術や食道胃接合部がんに対する逆流防止機能を有する再建術などの機能温存を手術を積極的に行っています。通常の食道がん手術においても、ロボット支援手術を含む胸腔鏡手術を積極的に行う一方で、非開胸の縦隔鏡手術も根治術式として採用しており、双方のアプローチを使い分けているのが特徴です。
内視鏡治療はできる限り食道温存が達成しうるように迅速に治療を行っています。全周性病変に対する高度狭窄予防のための計画的分割切除や、下咽頭と頸部食道境界領域におよぶ表在がんに対するELPS併用の内視鏡治療など、特徴を有する内視鏡治療を行っています。
胃外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 49 12.47 18.48 0.00 70.86
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 41 3.02 4.54 0.00 72.63
060170xx02xx0x 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等 定義副傷病 なし 27 4.37 6.85 0.00 66.63
060020xx9900xx 胃の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし - - 11.13 - -
060020xx01xxxx 胃の悪性腫瘍 胃全摘術 悪性腫瘍手術等 - - 22.56 - -
当科で扱っている疾患は胃がんが中心ですが、胃粘膜下腫瘍(GISTなど)や胃・十二指腸潰瘍なども対象として扱っています。
手術による治療だけでなく、早期胃がんや良性腫瘍などを中心に、病気や進み具合に応じて内視鏡治療も積極的に取り入れています。
胃の手術には様々な術式がありますが、病状に合わせた適切な術式を選択しています。最も古くから日本で腹腔鏡下胃切除術を始めた施設であり、様々な術式を腹腔鏡下手術で行なう技術を有しています。ロボット手術も保険診療で行なうことが可能であり、現在、胃がん手術のほとんどはロボット手術で行っています。また、正しい診断を行なうために、審査腹腔鏡手術を積極的に行っていることも特徴の1つです。2001年より胃がん診療にクリニカルパスの導入を開始したこと、手術合併症が少ないことなどから、術後在院日数が非常に短いことが特長で、全国でも有数の成績となっています。
また鼠径ヘルニアや腹壁瘢痕ヘルニアといった腹壁ヘルニアの低侵襲治療にも力を入れています。
大学病院という特性を活かして、基礎疾患を多く抱える方も安心して治療が受けられるような体勢を整えています。安全確実な治療と早期の社会復帰を提供できるよう診療を行っています。
大腸・肛門外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 93 11.10 14.81 0.00 69.26
060040xx0300xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 直腸切除・切断術 切除術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 50 11.06 14.91 2.00 65.30
060040xx9700xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 41 8.78 12.62 0.00 61.59
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 25 8.60 9.08 0.00 66.96
060040xx0310xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 直腸切除・切断術 切除術等 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 23 13.78 22.75 0.00 63.61
当科では大腸がん(結腸がん/直腸がん)を中心とする大腸悪性疾患、潰瘍性大腸炎/クローン病のような難治性炎症性腸疾患、虫垂炎/憩室炎/腸閉塞などの良性疾患、また痔核や痔瘻などの肛門疾患を持つ患者さんの診療を担当しています。
当科の特徴は、大腸がんは原則として全てロボット支援手術で行っていることや、潰瘍性大腸炎/クローン病に対してはほぼ全例で腹腔鏡手術で行っていることが挙げられ、低侵襲手術を積極的に行っています。また、これらの手術においては、合併症が極めて少ないため、早期の退院が可能となっており、術後在院日数の短縮を達成しています。直腸がんに対する手術治療では、肛門温存率が高いことも当科の特徴の一つです。
安全かつ確実な治療を行い、患者さんが早期に社会復帰できるよう日々の診療に取り組んでいます。
乳腺外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1 なし 116 11.85 9.77 0.00 61.10
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 70 4.93 5.50 0.00 57.86
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍 手術あり 10 3.90 3.94 0.00 44.30
090010xx011xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1 あり - - 14.76 - -
090010xx99x0xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 なし - - 9.75 - -
当科は乳がんの手術および薬物療法を主に担当しています。手術は、部分切除、乳房全切除、乳頭乳輪温存乳房全切除、センチネルリンパ節生検、腋窩リンパ節郭清を行い、形成外科と合同で同時乳房再建も実施しています。さらに低侵襲な選択肢として内視鏡手術(内視鏡補助下の乳房・腋窩手術)を開始し、腫瘍に対する局所治療としてラジオ波焼灼療法(RFA)も導入しました。いずれも適応と安全性を十分に確認したうえで実施します。
術式の決定は、放射線診断科、放射線治療科、形成外科、病理診断科と連携し、合同カンファレンスで個々の症例に最適な方法を検討しています。進行・再発乳がんに対しては、化学療法や内分泌治療、放射線治療を組み合わせた集学的治療により、病勢コントロールとQOLの維持を目指します。薬物療法では、CDK4/6阻害薬、PARP阻害薬、抗体薬物複合体(ADC)など、最新のエビデンスに基づく治療を積極的に取り入れています。
また、専門看護師・薬剤師・化学療法室スタッフ・患者サポートセンターの職員と定期的に多職種カンファレンスを開催し、再発治療中の患者さんについて継続的な症例検討と支援体制の確認を行っています。遺伝性乳がん卵巣がん症候群に対しては、女性科および遺伝子診療科と協働し、診断から治療・フォローまで切れ目のない診療を提供しています。
小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 21 1.29 2.96 0.00 1.81
060160x101xxxx 鼠径ヘルニア(15歳未満) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 11 1.27 2.73 0.00 2.64
060170xx02xx0x 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等 定義副傷病 なし - - 6.85 - -
11022xxx01xxxx 男性生殖器疾患 精索捻転手術等 - - 3.53 - -
14044xxx99x0xx 直腸肛門奇形、ヒルシュスプルング病 手術なし 処置2なし - - 5.83 - -
当科開設後9年が経過し、小児の専門病院で研修を積んだスタッフも充実しております。小児での疾患数が多い、鼠経ヘルニア根治術や停留精巣手術は、腹腔鏡下手術も含めて「日帰り」での入院・手術を安全に行っています。新生児手術も安全に行っており、合併症率が非常に少ないことが当科の特徴です。腹腔鏡も併用しながら、それぞれの小児患者さんに最適な術式を選択し、低侵襲で創が目立たない手術を第一に考えています。当院は小回りが利く組織であることを活かして、小児科をはじめ、小児麻酔科、周産期科、小児整形外科、小児歯科などの小児関係科が密接に連携しながら患者背景に合わせたオーダーメイド的な治療を的確に選択しています。それにより合併症の少ない安全な治療を行うことが可能となっています。最近は、新生児手術や小児がんに対する手術も増加しています。
末梢血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 71 5.20 5.15 2.82 71.39
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 41 2.05 2.66 0.00 69.34
050170xx03001x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり 40 12.35 9.29 10.00 76.62
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 なし 31 11.77 10.18 3.23 77.26
050200xxxxxxxx 循環器疾患(その他) 17 7.00 7.71 0.00 58.06
年々増加傾向にある下肢閉塞性動脈硬化症は全身の動脈硬化症の一部であり、この病気を持つ患者さんは、脳・心臓等他の部位での動脈硬化症の合併も多いため、治療においては全身的な管理、治療が必要となります。そのため、より体に負担の少ない治療、低侵襲治療が望ましく、当科でも体に優しい治療(カテーテル治療=足の付け根から細い医療用器具を血管内に進めて目標の血管を治療する方法)を積極的に行っています。一方で、この治療だけでは不十分である重症の患者さんに対しては、バイパス手術を含めた外科的治療も行っています。
また本邦での高齢化に伴い、動脈が膨らむ病気、すなわち胸部・腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤も多くみられるようになりました。この治療に対しても従来は外科的治療が主流でしたが、高齢の患者さんや他に余病のある患者さんに対してはより負担の少ない治療としてカテーテル治療(ステントグラフト内挿術)を行っています。動脈瘤の治療は、患者さんの状態や動脈瘤の形に応じた適切な治療方法を選択しており、手術前に十分な全身状態および動脈瘤の評価を行い、術式を決定しています。
肝胆膵外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060050xx020xxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 肝切除術 部分切除等 手術・処置等1 なし 52 11.62 13.83 0.00 68.02
06007xxx9909xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 9あり 45 2.29 3.19 0.00 57.11
06007xxx9900xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 43 12.60 11.01 2.33 69.98
06007xxx010xxx 膵臓、脾臓の腫瘍 膵頭部腫瘍切除術等 手術・処置等1 なし 37 26.68 27.83 0.00 65.11
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 36 5.69 5.99 0.00 59.50
当科は肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、脾臓などの疾患に関する手術や薬物療法を含めた集学的治療を行う診療科です。
当科は、肝切除術と膵切除術の手術件数が多いハイボリュームセンターとして知られ、大学病院の特長を活かして、手術以外の化学療法や放射線治療を組み合わせた集学的治療の取り組みにも力を入れています。特に肝切除、膵切除においてロボット支援下手術を含めた低侵襲手術を積極的に行っています。
また当科では、希少疾患である神経内分泌腫瘍を専門的に診療する外来を併設しており、全国から多くの患者さんが受診されています。
DPCコードの1番目は肝腫瘍に対して低侵襲肝切除を受けた患者数の一部を示しています。DPCコードの2番目は神経内分泌腫瘍に対する新たな治療法であるペプチド受容体核医学内用療法(PRRT)を受けた患者数を示しています。DPCコードの4番目は、膵臓がんに対する手術を受けた患者数を示しています。良性疾患である胆のう結石症や肝嚢胞に対する腹腔鏡手術も行っており、合併症が少なく、体への負担も軽減される治療を多く行っています。DPCコードの5番目は腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けた症例数を示しています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 56 13.27 20.84 1.79 64.71
050161xx01x1xx 大動脈解離 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 手術・処置等2 1あり 16 26.25 29.35 6.25 71.88
050050xx0111xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 手術・処置等1 1,2あり 手術・処置等2 1あり 15 24.20 26.24 0.00 69.07
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 手術・処置等2 1あり 15 24.73 27.01 6.67 68.60
050163xx03x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 1あり 12 18.08 14.96 16.67 77.17
当科では弁膜症、冠動脈疾患、大動脈疾患をはじめ、先天性心疾患や重症心不全まで、外科治療の対象となる心臓大血管疾患すべての治療を行っており、特に低侵襲治療や先進医療に力を入れて取り組んでいます。他院で治療が難しいとされた患者さんへも先進的で質の高い医療を提供します。
弁膜症における小開胸アプローチ、ロボット支援下手術をはじめとして、大動脈疾患と冠動脈疾患に対するハイブリッド治療を取り入れ、全国平均を大きく下回る平均在院日数を達成しています。緊急手術にも24時間体制で受け入れを行っています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx02x0xx 肺の悪性腫瘍 肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの等 手術・処置等2 なし 180 9.58 9.82 0.00 71.07
040040xx01xx0x 肺の悪性腫瘍 肺悪性腫瘍手術 隣接臓器合併切除を伴う肺切除等 定義副傷病 なし 15 18.33 16.12 0.00 69.40
040050xx97x0xx 胸壁腫瘍、胸膜腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 なし - - 12.96 - -
040310xxxxxxxx その他の呼吸器の障害 - - 10.67 - -
040020xx97xxxx 縦隔の良性腫瘍 手術あり - - 7.70 - -
わが国のがん死亡原因の1位は肺がんです。当科では最大対象疾患として肺がんの外科治療を積極的に行っています。原発性肺がんに対して治癒を目指す外科治療を提供します。早期肺がんに対しては低侵襲の完全鏡視下手術(胸腔鏡またはロボット支援)で早期回復早期退院を目指します。局所進展肺がんに対して隣接臓器合併切除の拡大手術を行います。予後の悪い局所進行肺がんに対して術前化学療法、放射線療法ののちに完全切除を目指す集学的治療を行います。気胸や低悪性度の縦隔腫瘍に対して低侵襲な鏡視下手術(胸腔鏡またはロボット支援)を行います。
難治性の縦隔悪性腫瘍や悪性胸膜中皮腫に対して外科的完全切除や胸膜全摘除術に化学療法や放射線療法を加える集学的治療を行います。いずれの外科治療においても在院期間の短縮に努めています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 187 2.32 2.45 0.00 70.13
110070xx02xxxx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術+術中血管等描出撮影加算 116 6.62 6.75 0.00 72.78
110070xx99x20x 膀胱腫瘍 手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 91 9.49 8.64 0.00 69.14
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2 なし 65 7.55 6.81 0.00 74.15
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病 なし 57 6.79 5.16 0.00 63.65
当科では泌尿器がんに対する診療に特に注力しており、前立腺がん、膀胱がん、腎盂尿管がん、腎臓がんに対してロボット支援手術を幅広く施行しています。
前立腺がんに対しては、最新のMRI超音波融合生検により、診断率を向上させるだけではなく、個々の患者さんのがんのリスク評価を高い精度で行っています。リスク分類や患者さんの状態に基づき、積極的監視療法、密封小線源療法による前立腺部分治療、IMRTによる放射線治療、手術などを適切に選択しています。
筋層非浸潤性膀胱がんに対しては、再発、進展を予測する新しいモデルを開発し、適切な診療方針決定に役立てています。また、アラグリオによる光線力学診断(PDD)を用いた経尿道的膀胱腫瘍切除術を行っています。筋層浸潤性膀胱がんに対しては、適切な症例選択のもと、化学放射線療法とミニマム創内視鏡下膀胱部分切除を組み入れた膀胱温存療法の開発と実践に取り組んでいます。
腎臓がんに対しては、ロボット支援腎部分切除、ミニマム創内視鏡下無阻血腎部分切除の両者を行い、高い安全性、低侵襲性、機能温存の達成に取り組んでいます。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 63 4.03 3.58 12.70 31.41
161060xx99x0xx 詳細不明の損傷等 手術なし 手術・処置等2 なし 30 2.47 2.63 6.67 36.73
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 29 2.14 7.99 3.45 44.41
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 23 3.35 6.89 13.04 43.39
060210xx9700xx ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術あり 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 21 14.48 14.13 9.52 64.24
当科の特徴として、他病院での対応が難しい精神科的な介入を要する薬物中毒症例、複数にまたがる多発外傷症例、他院で対応困難な夜間休日を主とする緊急手術症例などの割合が多いことが挙げられます。その中にはバイタルサインが不安定なケースなど、初期蘇生およびその後の全身集中治療管理が必要な重症疾患をもつ患者さんも多く、人工呼吸器やECMOなどの治療を要する重症例も含まれます。脳卒中や痙攣重積状態、頭部外傷といった神経救急においても当科が各科と合同で初期診療にあたり、重要な全身管理を担っています。当科では他科と連携を密にとりながら、初期対応から手術などの処置、その後の全身管理まで行う事により、患者さん第一につながる一貫した治療を行っています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 967 2.30 2.49 0.00 70.23
020220xx97xxx0 緑内障 その他の手術あり 片眼 245 3.54 4.52 0.00 71.20
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 93 5.18 5.47 0.00 68.55
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 片眼 87 6.54 7.53 1.15 57.29
020350xx97x0xx 網脈絡膜の疾患 手術あり 手術・処置等2 なし 46 5.72 6.23 0.00 64.33
白内障、水晶体の疾患に対する手術は、主にいわゆる白内障手術を指します。当院では眼合併症や全身合併症を有する患者さんが多く、近視、ぶどう膜炎、緑内障、網膜外来など難治性疾患に力を入れており、入院での加療を原則としています。乱視矯正レンズ、多焦点眼内レンズも数多く扱っています。
緑内障手術は眼圧下降を目的とした手術で、濾過手術は緑内障に対する手術加療として最も多く用いられる術式です。眼内法による流出路再建術は、短時間の手術で良好な手術成績を収めており、術後の入院期間も短縮することができています。濾過手術では、従来の術式に加えて新しい術式も積極的に取り入れています。他の眼科疾患に引き続いて起こる続発緑内障に対する手術が多いことも特徴です。
網膜剥離手術には、硝子体手術、強膜バックリング手術のいずれかまたは両者が行われます。極小切開創による硝子体手術を行っており、入院期間をより短くできています。黄斑、後極変性手術は、主に網膜前膜や黄斑円孔を対象として行われる手術で、強度近視やぶどう膜炎といった眼疾患に合併する病態にも多数例の手術を行っています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
03001xxx99x3xx 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 3あり 172 8.03 26.52 0.00 59.69
03001xxx0200xx 頭頸部悪性腫瘍 頸部悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 88 9.53 12.45 0.00 60.64
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 67 4.21 5.84 0.00 54.79
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 65 6.12 6.68 0.00 52.95
03001xxx97x0xx 頭頸部悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 63 7.54 10.88 0.00 64.27
当院はあらゆる頭頸部がん治療を行うことが可能です。
特に他院で治療が難しいとされる頭蓋底腫瘍や外耳道がんについては国内屈指の手術数を誇っています。
局所進行がんの手術では形成外科や脳神経外科と連携して同時再建手術を行っています。咽喉頭の表在がんに対しては鏡視下の咽頭悪性腫瘍手術(ELPS)を食道外科と合同で行っています。鼻副鼻腔がんに対しては一般的な頭蓋底手術より、低侵襲な経鼻内視鏡頭蓋底手術を積極的に行っています。
一方、手術による機能低下が著しい場合は化学放射線療法による治療を行っています。本治療では肺炎や脱水による緊急入院が問題になりますが、当院では一時的な胃瘻を作成することでこれを予防しています。
耳科手術においては冒頭で述べた外耳道がんの他にも、側頭骨腫瘍や頸静脈孔腫瘍など難易度の高い頭蓋底手術を多数施行しています。また中耳炎に対する中耳手術、人工内耳やめまい手術などの内耳手術、副鼻腔炎に対する内視鏡手術も多数行っています。
近年では顕微鏡に代わり4K3D外視鏡や4K内視鏡を用いた、より低侵襲な手術を行っています。高難易度手術においては術中CTによる高精度ナビゲーションを導入して安全性を担保しています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080220xx99xxxx エクリン汗腺の障害、アポクリン汗腺の障害 手術なし 280 2.83 3.15 0.00 36.89
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 73 2.53 3.58 0.00 51.96
080270xxxx0xxx 食物アレルギー 手術・処置等1 なし 60 1.67 2.52 0.00 39.25
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし 31 6.23 6.92 0.00 76.45
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 なし 22 4.18 3.77 0.00 52.09
当科ではアレルギー先端治療センターを担っており、入院管理下においては薬物アレルギーや食物アレルギーの原因同定検査(プリックテスト、皮内テスト、負荷試験)の患者さんが多くなっています。
発汗異常に関しては全国でも有数の患者数であり、厚生労働省指定難病の一つである特発性後天性無汗症の診断・治療のための入院を積極的に行っています。
その他、痒疹・アトピー性皮膚炎、水疱症、血管炎や膠原病といった多種多様な免疫アレルギー疾患の入院加療とともに、下肢潰瘍に対しても、原因検索とともに、植皮術・陰圧閉鎖療法、高気圧酸素療法といった集学的治療を行っています。
腫瘍も多く取り扱っており、皮膚の良性腫瘍、悪性腫瘍に対して、診断から手術、化学療法、がん免疫療法と一貫した治療を行っています。
形成・美容外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 42 8.40 6.48 0.00 50.48
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2 なし 34 2.59 2.74 0.00 67.38
090040xx97xxxx 乳房の形態異常、女性化乳房、乳腺症など 手術あり 20 5.80 4.59 0.00 35.25
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 手術あり 手術・処置等1 なし 13 3.92 4.65 0.00 46.77
140140xxxxxx0x 口蓋・口唇先天性疾患 定義副傷病 なし 13 7.54 8.18 0.00 9.23
当科では自科単独で行う治療とともに、他科と連携して行う治療も重要な比重を占めます。本学の外科系各科のアクティビティーの高さを反映し、乳がんなど腫瘍切除後の再建手術、その後の二次再建手術の症例数が多いのが特徴です。
乳房再建は20年以上の実績があり、遊離皮弁移植のほか、脂肪注入なども含めた一貫した治療が可能です。女性化乳房手術も多く手掛けています。顔面の変形では、眼瞼下垂・眼瞼けいれんなどの眼形成外科、鼻・耳の変形、歯科と協力した唇顎口蓋裂治療などを得意とします。顔面外傷の症例も多く、顔面骨骨折や軟部組織損傷の治療にも積極的に携わっています。
腫瘍性疾患としては、母斑・血管腫などに対するレーザー治療、良性腫瘍の整容的な切除のほか、皮膚科と連携した皮膚悪性腫瘍の外科的治療も数多く行っています。
「創造する外科」がテーマであり、体表の整容性と良好な機能を追求し、患者さんのQOL向上に寄与しています。
また、閉塞性動脈硬化症や糖尿病を基礎として発症した下肢潰瘍により大切断の危機に瀕した病態に対する下肢救済療法を積極的に施行しています。
再建形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2 なし 14 2.79 2.74 0.00 70.00
090040xx97xxxx 乳房の形態異常、女性化乳房、乳腺症など 手術あり 11 5.09 4.59 0.00 35.73
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし - - 6.92 - -
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 なし - - 6.48 - -
080005xx01x0xx 黒色腫 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし - - 11.59 - -
再建形成外科という診療科は対象とする疾患や部位、治療法が多岐にわたります。なかでもがんの切除などによって失われた身体の組織を修復し機能と整容性を取り戻す治療を再建手術と言います。当科は、当院で特に多く行われる頭頸部領域の再建手術を専門に行う診療科として、2022年より独立、稼働しています。
当科はマイクロサージャリーを用いる組織移植手術を日常的に行う高い技術を持っています。頭頸部を中心に、失われた身体組織の機能と形態の再建を目指します。さらにその技術を生かし、皮膚悪性腫瘍進行例の外科的治療、血管ネットワークを含む組織移植による難治性潰瘍治療、静的および動的再建による顔面神経麻痺治療などにも力を入れています。難易度の高い再建手術を必要とする患者様の治療に積極的に取り組んでいます。もちろん、その他の形成外科一般診療にも対応しています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 168 16.77 18.76 8.93 66.99
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。) 腱縫合術等 81 10.00 12.71 0.00 27.93
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等2 なし 72 21.07 19.60 9.72 73.08
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 65 22.58 21.38 38.46 71.88
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等1 なし 56 22.52 19.40 17.86 67.18
当科では脊椎、膝、スポーツ、上肢、股関節、外傷、小児、腫瘍すべての整形外科領域において、先進的な治療を行っています。
頚椎、腰椎に生じる脊柱管狭窄症に対しては、適切な術式選択を行ったのち、除圧術や固定術を行っています。また変形脊椎に対しても、矯正固定術を積極的に行っています。高齢化社会に伴って増加する下肢の変形性膝関節症と変形性股関節症に対しては、早期に日常生活動作と除痛を獲得できるように人工関節置換術を行い、良好な治療成績を得ています。また、若年者や比較的変性の程度が軽い方に対しては、関節温存手術である骨切り手術を行っています。さらにスポーツによる肩・膝関節の障害に対しての治療も得意としており、多くのスポーツ選手の手術を行い、競技復帰をサポートしています。運動器疾患の幅広いニーズに対して、最適の治療を提供いたします。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 141 6.32 6.11 0.00 0.12
140010x197x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術あり 手術・処置等2 なし 42 7.00 7.97 0.00 0.00
070480xxxxx2xx 脊椎関節炎 手術・処置等2 2あり 30 1.97 13.63 0.00 5.30
010230xx99x4xx てんかん 手術なし 手術・処置等2 4あり 25 3.56 5.90 0.00 7.60
070560xxxxx00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 25 11.92 14.93 0.00 8.80
小児科では7つの領域(血液・免疫・腫瘍、腎膠原病、循環器、神経、内分泌・代謝、アレルギー、新生児)の専門医と、看護師、チャイルドライフスペシャリスト、病棟保育士などを含めたチームで、希少疾患、難治疾患に対する高度医療を中心に診療を行っています。
地域周産期母子医療センターとして、新生児集中治療室では、超低出生体重児から正期産病的新生児、小児外科・小児心臓外科手術が必要な新生児まで、幅広い医療を提供しています。
リウマチ性疾患、自己炎症性疾患の患者さんに対して、詳細な免疫学的評価を行い、生物学的製剤を用いた先進的な治療を行っています。小児リウマチ専門医が複数在籍し、国内でも屈指の診療実績を誇る小児リウマチ診療中核施設となっています。
難治性てんかんの患者さんに対しては、長時間ビデオ脳波、機能画像などの精査を行い、内科的治療のほか脳神経外科と協力して外科的治療も行っています。
その他、血液腫瘍や免疫異常症の患者さんには造血細胞移植を行っており、日本の中心的診療施設となっています。
周産・女性診療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 112 5.83 5.88 0.00 43.71
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 55 2.55 4.07 0.00 59.91
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 51 9.20 9.40 0.00 35.98
120010xx99x30x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 3あり 定義副傷病 なし 43 2.47 4.12 0.00 67.19
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 33 6.15 5.97 0.00 40.73
当科は新生児集中治療室を備えた地域周産期母子医療センターを担っており、正常分娩だけでなく、妊娠27週以降の早産症例や緊急性の高い母体搬送も受け入れています。母体合併症や胎児異常を有するハイリスク症例では、様々な診療科と連携をとりながら妊娠・分娩管理を行っています。また2020年度より医学的適応のある患者さんだけではなく、患者さんの希望による無痛分娩を提供しています。分娩件数は、帝王切開件数も含めて近年増加傾向にあります。
婦人科良性疾患や初期の子宮体がんに対して低侵襲手術(腹腔鏡手術やロボット支援手術)を主に行い、在院日数は短く早期退院が可能で患者さんの負担軽減に取り組んでいます。ロボット支援手術件数は増加傾向です。開腹を必要とする良性疾患、悪性疾患の手術も積極的に行っており、子宮頸がん前がん病変に対する腟式手術、経腟的腹腔鏡下手術(vNOTES)も行っています。不妊の原因となる子宮筋腫、子宮内膜ポリープなどに対する子宮鏡手術、また高度生殖補助医療(体外受精・顕微授精)、妊娠成立後の妊娠・分娩管理を同一施設で一貫して行い、患者さんに安心いただけるスムーズな治療を提供しています。乳がんや造血器悪性腫瘍などのために妊孕性温存を希望される方に対しては、卵子凍結、胚凍結を積極的に行っています。また当院では希望される方に、プレコンセプションケア(将来の妊娠を考えたケア)を行っています。妊娠について考えることでクライアント自身の健康管理を目指していくことを目標に、様々な科と連携しながら包括的かつ専門的な医療を提供しています。さらに、中高年女性の健康管理を専門とする外来を設け、多様な健康問題に対してQOLを主眼とした治療・健康管理を行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010010xx03x00x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 32 21.50 19.89 15.63 56.56
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 22 11.41 9.83 9.09 71.36
160100xx99x01x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり 18 11.94 19.12 16.67 60.39
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 17 22.18 18.68 52.94 60.06
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 16 5.44 7.99 25.00 60.94
当科では外科的治療を要する脳・脊髄神経の疾患全般を対象に、高度な医療を提供しています。
疾患の種類は、脳腫瘍、てんかん、頭部外傷、脳血管障害など多岐にわたり、最も患者数が多かった疾患は脳腫瘍でした。中でも悪性脳腫瘍では、手術のみならず放射線治療、化学療法などの集学的治療を駆使して治療を行っています。てんかんに対する外科治療も積極的に行っており、術前の焦点診断において重要なSEEG(stereotactic electroencephalography)を行う症例も増えています。経鼻的に内視鏡を使用して鼻から摘出する下垂体腺腫の症例も増加傾向です。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 61 18.38 15.45 8.20 58.18
010190xxxxx0xx 遺伝性運動失調症 手術・処置等2 なし 36 6.56 13.04 0.00 66.81
010155xxxxx00x 運動ニューロン疾患等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 29 11.07 12.28 3.45 57.83
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 28 15.71 17.95 14.29 68.82
010060xx99x20x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 27 14.85 16.94 22.22 76.33
当科ではギラン・バレー症候群や慢性炎症性脱髄性多発神経根炎といった免疫介在性の末梢神経障害、全身の筋力低下や筋萎縮の原因となる筋萎縮性側索硬化症をはじめとした運動ニューロン疾患、手足の筋力低下や視力障害の原因となる多発性硬化症及び視神経脊髄炎スペクトラム障害、歩行時のふらつきや呂律障害の原因となる運動失調症といった、神経難病(国の指定難病である疾患を含む)の診療に特に力を入れています。
また、複数の診療科が連携した神経難病先端治療センター、認知症予防外来、多発性硬化症専門外来など専門外来を設置することによって、外来診療から入院加療までトータルなケアを目指しています。
血管内治療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050170xx9910xx 閉塞性動脈疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 75 2.15 3.61 0.00 59.04
010030xx991xxx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 あり 62 2.15 2.86 0.00 64.18
010070xx9910xx 脳血管障害 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 38 2.63 3.23 0.00 73.13
010030xx02x0xx 未破裂脳動脈瘤 脳血管内手術 手術・処置等2 なし 35 9.09 8.63 0.00 66.57
050170xx97000x 閉塞性動脈疾患 その他の手術あり 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 29 7.59 10.20 0.00 59.21
当科の診断群分類別患者数では、頸動脈狭窄症や未破裂脳動脈瘤に対する脳血管造影撮影検査となっています。
頸動脈狭窄症や未破裂脳動脈瘤の術前に詳細な評価を行い、脳神経外科との連携のもと最善の治療法を提案しています。その中で脳血管内治療が適していると判断した症例に対して治療を行っています。特に、PIPELINE、Surpassなどのフローダイバーターステントを使用した巨大脳動脈瘤の治療件数は増加しています。
頸動脈ステント留置術などの虚血性疾患(脳梗塞など)の治療も積極的に行っています。
その他、脳卒中センターのカンファレンスにおいて診断や治療方針の決定が困難な症例に対しても連携をとりながら数多くの検査を行っています。
放射線治療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
03001xxx99x2xx 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 2あり 37 10.19 26.54 0.00 73.73
03001xxx99x0xx 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 なし - - 12.16 - -
03001xxx97x2xx 頭頸部悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 2あり - - 46.10 - -
040040xx9902xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり - - 18.87 - -
120030xx99x2xx 外陰の悪性腫瘍 手術なし 放射線療法 - - 6.12 - -
当科は低線量率密封小線源治療専用の病室を有しており、舌がんをはじめとした口腔がんや口唇がん、中咽頭がんに対して小線源治療を実施しています。局所麻酔で線源挿入が可能であり、体への負担が少ない治療であるとともに、早期がんの場合には手術と同等の治療効果が得られています。
外部照射治療中の患者さんは外来か、主科入院で継続することが多いですが、場合によっては当科入院の上実施することも可能です。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 118 17 16 14 28 1 8
大腸癌 119 47 125 35 - 43 1 8
乳癌 101 76 10 - 16 23 1 8
肺癌 145 44 77 70 10 122 1 8
肝癌 16 15 12 - 95 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
がんのうち患者数の多い上記5つの癌について、がんの進行度であるUICC※2病期分類という国際分類別に集計したものです。
当院はがん診療連携拠点病院※3に指定されており、専門的ながん医療の提供、がん診療の地域連携協力体制の構築、がん患者・家族に対する相談支援及び情報提供等を行っています。 当院ではがんゲノム医療拠点病院に指定されており、「がんゲノム診療科」を設立し、標準治療で進行または進行見込みの患者さんに対して、遺伝子変異を調べ、変異に基づいた治療を提供しています。2021年8月より血液からがんゲノム解析を行うリキッドバイオプシーも保険診療でできるようになり、当院でも2017年から臨床研究として行っているリキッドバイオプシーの経験を活かし、患者さんに提供をしています。保険診療での診断、治療の他にも、先進的な診断法、治療法の研究も行っています。その他にも緩和ケアの導入も含めた緩和医療の提供のために、緩和ケア部門が設立され、機能充実を図っています。

※UICC:1933年に設立された、世界的な広がりを持つ民間の対がん組織連合で、ジュネーブに本部を置き、現在は世界の155カ国から800団体が参加しています。
※2 UICC TNM分類:がんの進行度を一定の基準を設けて分類したものです。
  T=腫瘍、N=リンパ節、M=転移という意味で、腫瘍の大きさ、リンパ節にどれくらい転移しているか、他の臓器や組織に転移しているかという3つのカテゴリーから  
  Stage分類しています。

※3 がん診療連携拠点病院:全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう、全国にがん診療連携拠点病院を463箇所(都道府県がん診療連携拠点病院51箇所、地域がん診療連携拠点病院340箇所、地域がん診療連携拠点病院(特例型)12箇所、特定領域がん診療連携拠点病院1箇所、地域がん診療病院を59箇所)指定しています。(令和7年4月1日現在)
小児・AYA世代の患者についても、全人的な質の高いがん医療及び支援を受けることができるよう、全国に小児がん拠点病院を15箇所、小児がん中央機関を2箇所指定しています。(令和5年4月1日現在)
さらに、ゲノム医療を必要とするがん患者が、全国どこにいても、がんゲノム医療を受けられる体制を構築するため、全国にがんゲノム医療中核拠点病院を13箇所、がんゲノム医療拠点病院を32箇所指定し、がんゲノム医療連携病院を240箇所公表しています。(令和7年9月1日現在)
これらの医療機関においては、専門的ながん医療の提供、がん診療の地域連携協力体制の構築、がん患者・家族に対する相談支援及び情報提供等を行っています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 29 12.14 57.41
中等症 102 18.08 74.08
重症 23 21.65 79.96
超重症 12 16.58 84.58
不明 - - -
市中肺炎とは病院外で日常生活をしていた人が発症する肺炎です。市中肺炎は次の様に定義されます。
・90日以内に入院歴がない。
・療養病床に入院しておらず、介護施設に入所していない。
・介護を必要とする高齢者、身体障害者でない。
・継続的な血管内治療(透析、抗菌薬、化学療法、免疫抑制薬など)を受けていない。

重症度はこの病気で一般的に用いられているA-DROPスコアを使用します。年齢(Age)、脱水(Dehydration)、呼吸(Respiration)、意識(Orientation)、血圧(Pressure)の5つを点数化して病気の重症度を評価します。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 120 20.25 72.87 33.10
その他 22 16.82 75.45 4.23
脳梗塞とは脳を栄養する動脈が閉塞して起こる疾患です。閉塞した動脈により、麻痺や言語障害、認知機能障害、意識障害など多彩な 障害が出現し多くの後遺症が残ります。閉塞した血管をできるだけ早く再開通させることで、後遺症を取り除いたり、軽くしたりすることができるため、当院では脳血管障害に対して迅速に対応できる診療体制のもと、境界領域の困難な症例に対しても、複数の診療科が協力して積極的な治療を行っています。
一般的な脳梗塞の他に、もやもや病など特殊な脳血管疾患の治療も行っています。脳卒中地域連携パスを使用し、近隣のリハビリテーション病院や他病院と患者さんの情報を共有することで、よりスムーズにリハビリテーションや退院後の治療が提供できるようにしています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K922-2 CAR発現生T細胞投与 19 9.84 28.47 5.26 62.63
K921-31 末梢血単核球採取(採取のみ) 13 3.31 2.08 0.00 60.23
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) - - - - -
K6261 リンパ節摘出術 長径3センチメートル未満 等 - - - - -
K921-32 末梢血単核球採取(採取、細胞調整及び凍結保存) - - - - -
当科では特定機能病院として悪性リンパ腫、急性白血病、多発性骨髄腫といった造血器悪性腫瘍を中心とし、再生不良性貧血、溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、凝固異常症などの疾患についてもバランスよく診療しています。
多発性骨髄腫や難治性悪性リンパ腫に対しては、若年者であれば積極的に自家末梢血幹細胞移植を施行し、急性白血病に対しては同種造血細胞移植を施行しています。関東でも数少ないCAR-T細胞療法認定施設であり、輸血・細胞治療センターと協力してリンパ球採取、CAR-T細胞療法を行っています。
時として診断が困難な造血器腫瘍においても各科と連携しつつ生検など検査を行い、速やかな治療につなげています。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの 等 48 4.60 7.79 4.17 71.27
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 等 43 0.95 1.79 4.65 72.40
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 等 - - - - -
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 - - - - -
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) - - - - -
当科では保存期慢性腎臓病(CKD)から透析に至るまで我々腎臓内科医が包括的に治療を行う方針としています。
血液透析に必要な内シャント造設術は当科で実施しています。透析導入後のシャントトラブルついては「透析合併症外来」にてスクリーニング検査を施行し、シャント狭窄やシャント閉塞が疑われた際には、超音波ガイド下あるいは透視下にて経皮的血管拡張術(シャントPTA)を積極的に実施しています。この「透析合併症外来」では近隣の透析クリニックからの紹介もお受けしています。血管が乏しくシャント造設が困難なケースは末梢血管外科と協力して人工血管を用いた手術治療も行っています。
その他、腹膜透析を行うための腹膜灌流カテーテルの留置・抜去についても、当科で手術を実施しており、前年度より手術件数は増加しています。
また、耳鼻咽喉科の協力のもと、IgA腎症に対する扁桃摘出・ステロイドパルス療法も積極的に行っています。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 等 154 1.05 1.27 0.00 68.73
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 127 1.03 4.54 0.00 65.94
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 等 83 1.01 5.24 0.00 72.89
K735-2 小腸・結腸狭窄部拡張術(内視鏡によるもの) 等 40 0.98 4.10 0.00 42.28
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 34 3.41 9.15 2.94 71.53
当科では炎症性腸疾患、肝疾患、内視鏡治療に重点を置き、診療を行っています。
当科の炎症性腸疾患・受診者数は全国有数の規模であり、常に最新の治療を取り入れ、QOLを重視した質の高い外来診療を推進しています。これにより入院に至る症例が少ないこと、また入院した場合でも長期入院が少ないことが特徴です。肝疾患はウイルス肝炎のみならず、脂肪肝炎などの非ウイルス性肝疾患や肝硬変・肝がんを対象とした治療を積極的に行っています。肝がんの治療では病状に応じてラジオ波焼灼術・肝動脈化学塞栓術・全身薬物療法等、患者さん一人一人により適切な方法を選択し、治療を行っています。内視鏡はシングルバルーン内視鏡を駆使して小腸疾患の診断や狭窄拡張術、病変切除、止血術等を行っています。併せて上部・下部内視鏡を用いた消化管悪性腫瘍に対する内視鏡的切除(EMRやESD等)や胆膵疾患に対する精査治療を行っています。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 等 349 1.33 3.38 0.57 66.09
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 等 115 2.53 1.94 0.00 55.86
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 等 72 1.33 2.21 0.00 69.50
K5481 経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの) 高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルによるもの 等 41 1.29 2.29 0.00 72.39
K555-22 経カテーテル弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 等 33 6.06 10.36 9.09 83.58
当科では、心房細動や心室頻拍などの頻脈性不整脈に対し、患者さんの病状に合わせたさまざまな手法を用いたカテーテル治療を数多く行っています。出血リスクの高い心房細動の患者様には、脳梗塞の原因となる血栓形成を防ぐため、経皮的左心耳閉鎖術にも対応しています。
また、徐脈性不整脈や致死的不整脈、重症心不全に対しては、ペースメーカ、植込み型除細動器(ICD)、両室ペースメーカ(CRT)などのデバイス治療を幅広く行っており、患者さん一人ひとりの病態や背景に応じて最適な機器を選択しています。感染などでデバイスの抜去が必要となった場合には、経静脈的リード抜去術を内科的に行っています。
さらに、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患に対しても、多彩な機器を用いたカテーテル検査・治療を実施しており、それぞれの病変に合わせた適切な治療を提供しています。大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症といった弁膜症に対するカテーテル治療も年々増加しており、幅広い分野において安全で最適な医療を患者さんにお届けできる体制を整えています。
臨床腫瘍科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 等 35 2.46 10.60 0.00 66.43
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 11 9.82 21.09 0.00 64.00
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 - - - - -
K662-2 腹腔鏡下胃腸吻合術 - - - - -
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
当科の医師はがん薬物療法を担当しており、外科的処置やIVRなどは外科、消化器内科、泌尿器科などの専門の診療科と連携し治療を行っています。
具体的には、化学療法導入目的、緩和治療のために中心静脈ポート造設、腎後性腎不全に対する尿管ステント留置や腎瘻造設、そのほか、胸・腹水に対する体外ドレナージ、閉塞性黄疸に対する体外ドレナージ、内瘻ステント留置、また外科的処置の適応外のイレウスに対する腸管ステント留置などがあります。
化学療法導入のための処置以外は、患者さんの状態不良のことがほとんどであり、過度な侵襲が加わらないように配慮し、症状緩和にも努めています。
食道外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K526-22 内視鏡的食道粘膜切除術 早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術 等 75 0.11 3.23 0.00 69.15
K529-21 胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術(頸、胸、腹部操作・手術用支援機器使用) 等 38 2.58 20.11 2.63 67.24
K374-2 鏡視下咽頭悪性腫瘍手術(軟口蓋悪性腫瘍手術を含む。) 等 31 1.00 3.00 0.00 68.61
K529-5 喉頭温存頸部食道悪性腫瘍手術(消化管再建手術を併施するもの) 等 18 2.44 21.56 0.00 73.22
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 15 0.40 12.40 0.00 72.20
食道がんに対するすべての治療(内視鏡治療、外科手術、薬物療法、放射線治療)を当科が中心となって行っています。薬物療法は臨床腫瘍科と、放射線治療は放射線治療科と協力して集学的治療を行っています。
手術に際しては、形成外科、頭頚部外科、呼吸器外科、心臓血管外科などとの協力しながら、高度な外科治療を実施しています。特に頸部食道がんに対する喉頭温存・胃温存手術や食道胃接合部がんに対する逆流防止機能を有する再建術などの機能温存を手術を積極的に行っています。通常の食道がん手術においても、ロボット支援手術を含む胸腔鏡手術を積極的に行う一方で、非開胸の縦隔鏡手術も根治術式として採用しており、双方のアプローチを使い分けているのが特徴です。
内視鏡治療はできる限り食道温存が達成しうるように迅速に治療を行っています。全周性病変に対する高度狭窄予防のための計画的分割切除や、下咽頭と頸部食道境界領域におよぶ表在がんに対するELPS併用の内視鏡治療など、特徴を有する内視鏡治療を行っています。
胃外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K655-23 腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術)(内視鏡手術用支援機器使用) 等 37 2.46 7.70 0.00 72.19
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 27 1.00 1.04 0.00 69.67
K633-21 腹腔鏡下ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア 等 18 1.11 10.61 5.56 67.67
K6335 ヘルニア手術 鼠径ヘルニア 等 14 1.00 1.00 0.00 78.36
K655-53 腹腔鏡下噴門側胃切除術 悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 等 10 2.40 15.90 0.00 66.10
当科では胃がんを中心に胃粘膜下腫瘍(GISTなど)、胃・十二指腸潰瘍など胃の疾患を扱っています。胃がんでは近年増加している、食道胃接合部がんの切除・再建にも力を入れています。
手術による治療が主で、病状に合わせた適切な術式を選択し、それぞれの患者さんに最適な治療を提供しています。
腹腔鏡下手術に関しては、日本で最も古くから取り組んできた施設の1つであり、多くの経験を活かして病期に合わせた術式を選択しています。また、ロボット手術も積極的に導入しています。
2001年より胃がん診療にクリニカルパスの導入を開始したこと、手術合併症が少ないことなどから、術後在院日数が非常に短いことが特長で、全国でも有数の成績となっています。
また鼠径ヘルニアや腹壁瘢痕ヘルニアといった腹壁ヘルニアの低侵襲治療にも力を入れています。
基礎疾患の多い方でも安心して手術が受けられるよう、各診療科と協力して安全な手術を行っています。
大腸・肛門外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術(内視鏡手術用支援機器) 等 93 2.59 7.91 0.00 70.10
K7322ロ 人工肛門閉鎖術 腸管切除を伴うもの その他のもの 等 50 1.04 7.32 0.00 56.20
K740-22 腹腔鏡下直腸切除・切断術(低位前方切除術・手術用支援機器使用) 36 2.19 10.89 5.56 66.22
K740-21 腹腔鏡下直腸切除・切断術(切除術)(内視鏡手術用支援機器使用) 等 30 2.83 8.30 0.00 67.00
K7462 痔瘻根治手術 複雑なもの 等 25 0.80 1.88 0.00 30.40
当科では、小腸・大腸・肛門の良性疾患から悪性疾患まで、多彩な手術治療を担当し、2024年度は420件を超える手術を実施しました(National Clinical Databaseへの登録件数)。
大腸がんの原発巣切除手術は226件で、直腸がん・結腸がんともに全例でロボット支援手術を導入しています。低侵襲手術を積極的に取り入れて、安全に手術を行っており、術後合併症の低減と術後の早期退院を達成しています(平均術後日数参照)。潰瘍性大腸炎・クローン病といった炎症性腸疾患に対する腸切除手術も、ほぼ全例を腹腔鏡手術で行い(一部ロボット支援手術も導入)、低侵襲で合併症の少ない安全な治療を行っています。炎症性腸疾患に伴う肛門病変を合併している患者さんに対する肛門手術も経験が豊富で確実な治療を行っています。また、大腸ポリープ(腺腫などの良性腫瘍、早期大腸がん含む)に対する内視鏡治療も行っています。
乳腺外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 等 71 1.01 3.04 0.00 58.07
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 69 1.12 9.38 0.00 61.65
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 等 38 1.08 11.24 0.00 59.61
K4741 乳腺腫瘍摘出術(長径5cm未満) - - - - -
K4768 乳腺悪性腫瘍手術(乳輪温存乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) - - - - -
当科は乳がんの手術および薬物療法を主に担当しています。手術は、部分切除、乳房全切除、乳頭乳輪温存乳房全切除、センチネルリンパ節生検、腋窩リンパ節郭清を行い、形成外科と合同で同時乳房再建も実施しています。さらに低侵襲な選択肢として内視鏡手術(内視鏡補助下の乳房・腋窩手術)を開始し、腫瘍に対する局所治療としてラジオ波焼灼療法(RFA)も導入しました。いずれも適応と安全性を十分に確認したうえで実施します。
術式の決定は、放射線診断科、放射線治療科、形成外科、病理診断科と連携し、合同カンファレンスで個々の症例に最適な方法を検討しています。進行・再発乳がんに対しては、化学療法や内分泌治療、放射線治療を組み合わせた集学的治療により、病勢コントロールとQOLの維持を目指します。薬物療法では、CDK4/6阻害薬、PARP阻害薬、抗体薬物複合体(ADC)など、最新のエビデンスに基づく治療を積極的に取り入れています。
また、専門看護師・薬剤師・化学療法室スタッフ・患者サポートセンターの職員と定期的に多職種カンファレンスを開催し、再発治療中の患者さんについて継続的な症例検討と支援体制の確認を行っています。遺伝性乳がん卵巣がん症候群に対しては、女性科および遺伝子診療科と協働し、診断から治療・フォローまで切れ目のない診療を提供しています。
小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K836 停留精巣固定術 21 0.05 0.24 0.00 1.81
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 10 0.00 0.10 0.00 3.40
K6333 ヘルニア手術 臍ヘルニア 等 - - - - -
K6335 鼠径ヘルニア手術 等 - - - - -
K7322ロ 人工肛門閉鎖術(腸管切除を伴うもの)(その他) 等 - - - - -
当科開設後9年が経過し、小児の専門病院で研修を積んだスタッフも充実しています。小児での疾患数が多い、鼠経ヘルニア根治術や停留精巣手術は、腹腔鏡下手術も含めて「日帰り」での入院・手術を安全に行っています。新生児手術も安全に行っており、合併症率が非常に少ないことが当科の特徴です。腹腔鏡も併用しながら、それぞれの小児患者さんに最適な術式を選択し、低侵襲で創が目立たない手術を第一に考えています。当院は小回りが利く組織であることを活かして、小児科をはじめ、小児麻酔科、周産期科、小児整形外科、小児歯科などの小児関係科が密接に連携しながら患者背景に合わせたオーダーメイド的な治療を的確に選択しています。それにより合併症の少ない安全な治療を行うことが可能となっています。最近は、新生児手術や小児がんに対する手術も増加しています。
末梢血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 111 1.80 8.36 6.31 73.62
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 37 0.03 1.03 0.00 69.86
K5612ロ ステントグラフト内挿術 1以外の場合 腹部大動脈 等 28 1.43 16.96 7.14 77.54
K6146 血管移植術、バイパス移植術(膝窩動脈) 等 - - - - -
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) 等 - - - - -
年々増加傾向にある下肢閉塞性動脈硬化症は全身の動脈硬化症の一部であり、この病気を持つ患者さんは、脳・心臓等他の部位での動脈硬化症の合併も多いため、治療においては全身的な管理、治療が必要となります。そのため、より体に負担の少ない治療、低侵襲治療が望ましく、当科でも体に優しい治療(カテーテル治療=足の付け根から細い医療用器具を血管内に進めて目標の血管を治療する方法)を積極的に行っています。一方で、この治療だけでは不十分である重症の患者さんに対しては、バイパス手術を含めた外科的治療も行っています。
また本邦での高齢化に伴い、動脈が膨らむ病気、すなわち胸部・腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤も多くみられるようになりました。この治療に対しても従来は外科的治療が主流でしたが、高齢の患者さんや他に余病のある患者さんに対してはより負担の少ない治療としてカテーテル治療(ステントグラフト内挿術)を行っています。動脈瘤の治療は、患者さんの状態や動脈瘤の形に応じた適切な治療方法を選択しており、手術前に十分な全身状態および動脈瘤の評価を行い、術式を決定しています。
肝胆膵外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 76 1.43 4.16 0.00 60.70
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 59 3.32 10.92 5.08 75.68
K695-21イ 腹腔鏡下肝切除術 部分切除 単回の切除によるもの 等 21 1.81 7.86 0.00 65.86
K7032 膵頭部腫瘍切除術 リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍切除術の場合又は十二指腸温存膵頭切除術の場合 等 16 4.38 31.31 0.00 70.25
K702-21 腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術 脾同時切除の場合 等 16 2.50 14.56 6.25 62.56
当科では日本肝胆膵外科学会から認定された高度技能専門医を中心に高度先進的な医療に取り組んでいます。
肝胆膵領域の悪性疾患は進行した状態で発見されることも多いのですが、化学療法や放射線療法も含めた集学的な治療を行うことにより、これまで手術が不可能であった患者さんに対しても手術の可能性を探っていく先進的な治療や、身体への負担の少ない腹腔鏡手術、ロボット手術も積極的に行っています。手術の適応とならない場合も、複数科と連携して新規化学療法や遺伝子診断、放射線治療を導入し、病状に最も適した治療を提供しています。
当院での主な治療疾患は肝胆膵領域の悪性疾患ですが、良性疾患では胆のう結石症や肝嚢胞に対しての腹腔鏡手術なども行っており、合併症が少なく体への負担も少ない治療を数多く行っています。
当科では、希少疾患である神経内分泌腫瘍を専門的に診療する外来を併設しており、全国から多くの患者さんが受診されています。こちらでも内科的治療と外科的治療を有効に組み合わせた集学的治療を行っています。新たな治療法であるソマトスタチン受容体陽性神経内分泌腫瘍に対する抗体付加放射線源を用いた内照射療法であるペプチド受容体核医学内用療法(PRRT)の施行施設でもあります。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K554-21 胸腔鏡下弁形成術 1弁のもの 等 33 4.52 11.91 3.03 59.70
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの) 2吻合以上のもの 等 19 7.53 15.00 0.00 70.26
K5551 弁置換術 1弁のもの 等 17 2.65 15.12 5.88 66.82
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 等 16 1.56 24.81 18.75 75.44
K560-22ニ オープン型ステントグラフト内挿術 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術 その他のもの 等 12 3.00 33.17 8.33 67.50
当科では、低侵襲治療を積極的に取り入れ、特に弁膜症治療における小開胸手術、ロボット支援下手術では手術侵襲が小さく、術後入院期間の大幅な短縮が得られています。
冠動脈バイパス術では人工心肺を使用しないオフポンプ手術を基本とし、動脈グラフトを主に用いて長期予後も考慮した術式を選択しています。また、冠動脈手術や大動脈手術では、手術治療とカテーテル治療のハイブリッド手術も積極的に取り入れ、低侵襲化を図っており、患者さんの要望に応じて相談しながら術式の選択を行っています。
先天性心疾患や重症心不全治療も安定した成績を残し、循環器科や小児科、麻酔科、看護部、臨床工学技士をはじめとした多職種が関わるチーム医療を実践しています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 等 78 1.69 7.69 0.00 72.55
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 区域切除 等 64 1.48 6.50 0.00 69.88
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 等 31 1.52 5.45 0.00 71.35
K488-4 胸腔鏡下試験切除術 20 1.30 4.00 0.00 68.25
K5146 肺悪性腫瘍手術 気管支形成を伴う肺切除 等 12 2.08 14.83 0.00 70.00
当科手術の約7割が胸部悪性腫瘍の手術です。原発性肺がんが最多数で、転移性肺腫瘍がこれに続きます。病巣の広がり、リンパ節転移の有無によりアプローチと切除術式を決定します。早期肺がんに対して低侵襲の完全胸腔鏡下手術を行います。周囲臓器に進展する腫瘍には合併切除を伴う拡大手術を行います。局所進行肺がんに対して術前化学療法・放射線療法後に肺切除術を行います。浸潤のない早期肺がんに対して肺機能を温存する積極的縮小切除を行います。気腫性疾患・膿胸など良性疾患に対して低侵襲な胸腔鏡手術を行います。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 等 172 1.32 4.70 0.00 73.05
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 等 55 1.05 10.13 0.00 70.49
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 等 50 3.50 4.34 2.00 65.32
K773-51 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術支援機器・7センチ以下) 等 47 1.09 8.57 0.00 64.70
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 42 1.29 6.81 2.38 62.57
当科では泌尿器がんに対する診療に特に注力しており、前立腺がんに対する前立腺全摘除、膀胱がんに対する膀胱全摘除、腎盂尿管がんに対する腎尿管全摘除、腎臓がんに対する根治的腎摘除・腎部分切除をロボット支援手術で施行しています。一方、当科で開発したもう一つの低侵襲手術であるミニマム創内視鏡下手術も行っており、患者さんの状況に応じて、適切な術式を選択しています。筋層非浸潤性膀胱がんに対しては、アラグリオによる光線力学診断(PDD)を用いた経尿道的膀胱腫瘍切除術を行っています。また、臓器温存療法を希望される前立腺がん、膀胱がん、腎臓がんの患者さんに対する診療を積極的に施行しており、専門外来を設置しています。
この他、骨盤臓器脱に対するロボット支援仙骨膣固定術、尿路結石に対する手術、近年術式が多様化している前立腺肥大症に対する手術にも力を入れています。
救急科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7162 小腸切除術(その他) 等 21 0.57 25.57 28.57 67.76
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術) 等 18 0.06 13.94 55.56 66.17
K386 気管切開術 12 11.17 28.67 83.33 66.42
K714 腸管癒着症手術 等 11 0.45 14.18 18.18 70.09
K6021 経皮的心肺補助法(初日) 11 1.36 17.91 27.27% 58.64
当科は分野や重症度に関係なく、救急車で搬送される患者さんについて搬送時の初期対応からその後の集中治療に至るまで継続して医療を提供しています。当科には外科医、麻酔科医、内科医、集中治療医が在籍しており、例えば消化管穿孔によって腹膜炎を呈している患者さんや腸管壊死に陥っている患者さんには救急科医師による迅速な診断とともに早期に緊急手術を行います。吐血やそれに伴う出血性ショックの状態で搬送される患者さんには当科で内視鏡的止血術を行います。その後の集中治療管理、内科管理も含めて当科で完結させます。長期の人工呼吸器管理を必要とする患者さんについては適切なタイミングで気管切開術を行い安全な管理へとつなげます。
Hybrid ERシステムにより、心肺停止に至った患者さんのより迅速かつ安全な経皮的心肺補助(ECMO)の確立を行い、さらに外傷などにより体内で出血を呈している患者さんに対してはより低侵襲な血管塞栓術も、放射線診断科と合同で当科医師が行っています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 等 968 0.13 1.08 0.00 70.28
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの 等 281 0.33 4.40 0.36 65.38
K2686 緑内障手術 水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術 等 211 0.20 1.06 0.00 72.29
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 等 60 0.45 5.47 0.00 67.72
K2684 緑内障手術 緑内障治療用インプラント挿入術(プレートのないもの) 等 47 0.06 6.21 0.00 71.43
当科では近視、ぶどう膜炎、緑内障、網膜外来など難治性疾患に力を入れています。水晶体再建術はいわゆる白内障手術を意味し、当院では手術施行件数が最も多い術式です。多岐にわたる専門外来を背景に、全身合併症を伴う症例が多いため、1泊2日または2泊3日の入院治療を原則としています。また、先進的な乱視矯正用のトーリック眼内レンズ、多焦点眼内レンズを用いた手術も行っています。硝子体茎離断術(網膜付着組織を含むもの、その他)は、網膜前膜、黄斑円孔、増殖糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離、硝子体出血、硝子体混濁など網膜硝子体疾患全般を対象として行われる手術です。強度近視やぶどう膜炎などに続発した難症例の網膜硝子体疾患に対する手術を積極的に行っています。
緑内障手術は眼圧下降を目的とした手術で、濾過手術は緑内障に対する手術加療として最も多く用いられる術式です。水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術は、白内障手術と緑内障手術を同時に行う手術であり、短時間の手術で良好な手術成績を収めており、術後の入院期間も短縮することができています。他の眼科疾患に引き続いて起こる続発緑内障に対する手術が多いことも特徴です。
手術には先進的な手術顕微鏡を導入し、低侵襲で安全な手術を提供しています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 等 72 1.25 2.92 0.00 53.11
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 等 38 8.39 4.95 5.26 65.18
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) 等 32 0.56 1.13 0.00 58.72
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 等 30 0.97 6.73 0.00 28.53
K4571 耳下腺腫瘍摘出術(耳下腺浅葉摘出術) 24 1.25 3.92 0.00 57.88
当院はあらゆる頭頸部がん治療を行うことが可能です。
特に他院で治療が難しいとされる頭蓋底腫瘍や外耳道がんについては国内屈指の手術数を誇っています。局所進行がんの手術では形成外科や脳神経外科と連携して同時再建手術を行っています。咽喉頭の表在がんに対しては鏡視下の咽頭悪性腫瘍手術(ELPS)を食道外科と合同で行っています。鼻副鼻腔がんに対しては一般的な頭蓋底手術より、低侵襲な経鼻内視鏡頭蓋底手術を積極的に行っています。
一方、手術による機能低下が著しい場合は化学放射線療法による治療を行っています。本治療では肺炎や脱水による緊急入院が問題になりますが、当院では一時的な胃瘻を作成することでこれを予防しています。
耳科手術においては冒頭で述べた外耳道がんの他にも、側頭骨腫瘍や頸静脈孔腫瘍など難易度の高い頭蓋底手術を多数施行しています。また中耳炎に対する中耳手術、人工内耳やめまい手術などの内耳手術、副鼻腔炎に対する内視鏡手術も多数行っています。
近年では顕微鏡に代わり4K3D外視鏡や4K内視鏡を用いた、より低侵襲な手術を行っています。高難易度手術においては術中CTによる高精度ナビゲーションを導入して安全性を担保しています。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術 単純切除 等 50 1.32 5.38 0.00 75.88
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径2センチメートル未満 等 17 0.94 1.18 0.00 50.00
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径3センチメートル以上6センチメートル未満 等 11 0.82 2.73 0.00 53.55
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径2センチメートル以上4センチメートル未満 等 - - - - -
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径6センチメートル以上12センチメートル未満 等 - - - - -
当科では皮膚の良性腫瘍、悪性腫瘍の切除から、下腿潰瘍や足壊疽のデブリードマンや植皮術、陰圧閉鎖療法など、幅広い外科的療法を行っています。
最も多いのは皮膚がん(基底細胞癌、有棘細胞癌、乳房外パジェット病、悪性黒色腫など)の切除術で、単純切除だけでなく、植皮術や皮弁術にて再建も行います。良性腫瘍の手術の場合でも入院管理下での安全な医療を心がけています。
形成・美容外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 等 21 0.62 1.24 0.00 66.00
K0171 遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付き)(乳房再建術) 21 1.00 11.43 0.00 51.71
K475 乳房切除術 18 1.00 3.94 0.00 35.56
K476-2 再建乳房乳頭形成術 等 15 0.20 1.20 0.00 47.40
K2193 眼瞼下垂症手術 その他のもの 等 13 0.46 1.15 0.00 69.62
当科では自科単独で行う治療とともに、他科と連携して行う治療も重要な比重を占めます。本学の外科系各科のアクティビティーの高さを反映し、乳がんなど腫瘍切除後の再建手術、その後の二次再建手術の症例数が多いのが特徴です。
乳房再建は20年以上の実績があり、遊離皮弁移植のほか、脂肪注入なども含めた一貫した治療が可能です。女性化乳房手術も多く手掛けています。顔面の変形では、眼瞼下垂・眼瞼けいれんなどの眼形成外科、鼻・耳の変形、歯科と協力した唇顎口蓋裂治療などを得意とします。顔面外傷の症例も多く、顔面骨骨折や軟部組織損傷の治療にも積極的に携わっています。
腫瘍性疾患としては、母斑・血管腫などに対するレーザー治療、良性腫瘍の整容的な切除のほか、皮膚科と連携した皮膚悪性腫瘍の外科的治療も数多く行っています。
「創造する外科」がテーマであり、体表の整容性と良好な機能を追求し、患者さんのQOL向上に寄与しています。
また、閉塞性動脈硬化症や糖尿病を基礎として発症した下肢潰瘍により大切断の危機に瀕した病態に対する下肢救済療法を積極的に施行しています。
再建形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 等 14 0.86 7.14 0.00 68.64
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 等 12 0.75 1.08 0.00 70.08
K0111 顔面神経麻痺形成手術(静的) 等 10 1.00 3.90 0.00 64.20
K0152 皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術(25~100cm2未満) - - - - -
K475 乳房切除術 - - - - -
当科はマイクロサージャリー(顕微鏡下に細い血管や神経をつなぐ技術)を用いる組織移植手術を日常的に行う高い技術を持っています。頭頸部を中心に、失われた身体組織の機能と形態の再建を目指します。また腫瘍切除と同時に行う一次再建だけではなく、術後に残存する変形や麻痺に対する二次再建手術にも積極的に取り組んでいます。さらにその技術を生かし、皮膚悪性腫瘍進行例の外科的治療、血管ネットワークを含む組織移植による難治性潰瘍治療、静的および動的再建による顔面神経麻痺治療などにも力を入れています。難易度の高い再建手術を必要とする患者様の治療に積極的に取り組んでいます。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(股) 等 240 1.30 16.43 17.50 68.30
K054-2 脛骨近位骨切り術 136 1.01 16.43 16.91 60.63
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 等 79 1.52 20.25 15.19 72.44
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方又は後側方固定) 70 4.17 24.99 37.14 65.81
K079-21 関節鏡下靱帯断裂形成手術(十字靱帯) 63 1.00 8.48 0.00 27.86
当科では脊椎、膝、スポーツ、上肢、股関節、外傷、小児、腫瘍すべての整形外科領域において、先進的な治療を行っています。
頚椎、腰椎に生じる脊柱管狭窄症に対しては、適切な術式選択を行ったのち、除圧術や固定術を行っています。また変形脊椎に対しても、矯正固定術を積極的に行っています。高齢化社会に伴って増加する下肢の変形性膝関節症と変形性股関節症に対しては、早期に日常生活動作と除痛を獲得できるように人工関節置換術を行い、良好な治療成績を得ています。また、若年者や比較的変性の程度が軽い方に対しては、関節温存手術である骨切り手術を行っています。さらにスポーツによる肩・膝関節の障害に対しての治療も得意としており、多くのスポーツ選手の手術を行い、競技復帰をサポートしています。運動器疾患の幅広いニーズに対して、最適の治療を提供いたします。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9131 新生児仮死蘇生術 仮死第1度のもの 等 53 0.00 10.25 0.00 0.00
K9132 新生児仮死蘇生術 仮死第2度のもの 等 18 0.00 8.61 0.00 0.00
K5761 心室中隔欠損閉鎖術(単独) 等 - - - - -
K5741 心房中隔欠損閉鎖術 単独のもの 等 - - - - -
K563 肺動脈絞扼術 - - - - -
当院は東京都地域周産期母子医療センターに指定されており、周産・女性診療科と連携し、胎児の状態に応じて迅速な帝王切開術の決定を行います。出生されたお子さんには、新生児集中治療室医師立ち会いの下、重症度に対応して蘇生術を行っています。
また新生時期の先天性心疾患の手術、複雑性心疾患の手術など先天性心疾患に対して幅広い外科的治療を行っています。体重が小さい症例や複雑な心疾患においては新生児期に姑息手術(肺動脈絞扼術など)を行い、発育を待って心内修復術に進むこともあります。
この他、血液腫瘍、原発性免疫異常症、小児リウマチ性疾患、自己炎症性疾患などを幅広く診療している施設でもあり、必要に応じて診断確定のためにリンパ節生検を実施しています。
周産・女性診療科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 等 83 1.02 4.54 0.00 49.99
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 等 44 1.25 7.00 0.00 35.41
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 等 40 1.00 4.20 0.00 42.45
K872-2 腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術 38 1.00 4.11 0.00 36.39
K877 子宮全摘術 32 1.63 7.94 3.13 52.31
当科は新生児集中治療室を備えた地域周産期母子医療センターを担っており、正常分娩だけでなく、妊娠27週以降の早産症例や緊急性の高い母体搬送も受け入れています。母体合併症や胎児異常を有するハイリスク症例では、様々な診療科と連携をとりながら妊娠・分娩管理を行っています。また2020年度より医学的適応のある患者さんだけではなく、患者さんの希望による無痛分娩を提供しています。分娩件数は、帝王切開件数も含めて近年増加傾向にあります。
婦人科良性疾患や初期の子宮体がんに対して低侵襲手術(腹腔鏡手術やロボット支援手術)を主に行い、在院日数は短く早期退院が可能で患者さんの負担軽減に取り組んでいます。ロボット支援手術件数は増加傾向です。また、遺伝診療科や乳腺外科等と協力し乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の患者さんに対するリスク低減卵管卵巣摘出術も実施しています。開腹を必要とする良性疾患、悪性疾患の手術も積極的に行っており、そして子宮頸がん前がん病変に対する腟式手術、経腟的腹腔鏡下手術(vNOTES)も行っています。不妊の原因となる子宮筋腫、子宮内膜ポリープなどに対する子宮鏡手術、また高度生殖補助医療(体外受精・顕微授精)、妊娠成立後の妊娠・分娩管理を同一施設で一貫して行い、患者さんに安心いただけるスムーズな治療を提供しています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 等 63 4.68 29.19 19.05 54.11
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 等 25 0.04 16.40 16.00 72.08
K160-2 頭蓋内微小血管減圧術 21 1.05 12.00 4.76 63.90
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) 等 16 0.25 39.81 81.25 54.19
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 等 13 0.46 23.85 30.77 60.92
当科は脳・脊髄神経系の外科治療全般を担っており、手術の内訳としては脳腫瘍の手術が最も多く、神経膠腫や髄膜腫などに加え、他の診療科から紹介される転移性脳腫瘍に対する手術も多いです。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科や形成外科など複数の診療科で合同して執刀する頭蓋底腫瘍、低侵襲な経鼻的内視鏡手術による下垂体腺腫摘出術も得意としています。また、当院歯学部部門からの紹介による三叉神経痛の患者数が多いことが特徴であり、微小血管減圧術の症例数は豊富です。
救急疾患にも24時間体制で対応しており、脳動脈瘤に対するクリッピング術や脳卒中での開頭血腫除去術、外傷、慢性硬膜下血腫に対する緊急手術も多く行っています。
血管内治療科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1783 脳血管内手術(脳血管内ステント) 等 44 2.11 5.98 2.27 60.86
K1781 脳血管内手術(1箇所) 等 38 1.53 17.00 21.05 61.08
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 29 4.34 6.38 13.79 76.48
K178-4 経皮的脳血栓回収術 25 0.24 21.00 68.00 75.08
K6154 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他) 13 2.23 9.85 15.38 54.31
当科では未破裂脳動脈瘤に対する脳血管内手術(コイル塞栓術)の症例が最も多く、動脈瘤の部位、形状を考慮した上で再破裂予防に最も効果的かつ安全な方法で手術を行っています。とくに脳血管内ステントを併用したコイル塞栓術、大型動脈瘤に対してPIPELINE、Surpassなどのフローダイバーターステントを使用した治療を数多く行っています。
その他、急性期脳梗塞に対する血栓回収療法や虚血性疾患(脳梗塞など)に対しての頸動脈ステント留置術の治療にも力をいれています。
また、硬膜動静脈瘻などの希少疾患に対する治療経験も多く行っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 31 0.16
異なる 28 0.15
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 116 0.60
異なる - -
厚生労働省による2023年度の全国の DPC 対象病院データ集計では、全症例に対する割合は播種性血管内凝固症候群(DIC)が0.14%、敗血症が0.55%、その他の真菌感染症は0.04%でした。当院の患者数は少なく、全国平均と比べ患者割合は低く抑えられています。手術、処置後の合併症を生じさせないよう、日々細心の注意を払い患者さんのケアに努めています。起こり得る合併症については、患者さんとのコミュニケーションを大事にしていくとともに、より一層の注意を払い、発生率をさらに低下させるよう努力して参ります。
 「180040手術・処置等の合併症」に該当する症例数が多い理由として、他院にて処置が困難となった植込み型医療機器(植込み型ペースメーカー、除細動器等)の感染に伴うこれらの摘出手術・処置が必要となった患者さんを多く受け入れていることが挙げられます。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
2297 2118 92.21%
肺血栓塞栓症は、主に下肢あるいは骨盤内の深部静脈血栓が塞栓源となり、肺動脈が閉塞してしまう疾患です。塞栓子の大きさや血流の障害の程度によって、症状のないものから、突然の呼吸困難や胸痛で発症し、心停止をきたし死に至る重症なものがあります。肺血栓塞栓症の危険因子として、手術などによる血液のうっ滞があり、周術期の肺血栓塞栓症発生予防対策の実施は、肺血栓塞栓症の発生率を下げることが知られています。記載されている実施率は、予防管理料を算定した割合を示しており、予防対策を実際に行った割合とは異なります。
【計測定義】
分母:肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上の手術*を施行した退院患者数
分子:分母のうち肺血栓塞栓症の予防対策(弾性ストッキングの着用、間歇的空気圧迫装置の利用、抗凝固療法のいずれか、または2つ以上)が実施された患者数
 *リスクレベルが「中」以上の手術は、 「肺血栓塞症および深部静脈の診断,治療予防に関するガイドラン (2017 年改 訂版 )」(日本循環器学会等 )に準じて抽出 
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
3251 2673 82.22%
当院では、感染が疑われる状況では血液培養を同一日に2か所以上から採取することを標準とし、診断と治療精度の向上を目指しています。採血する過程で皮膚常在菌や環境菌がわずかに混入(コンタミネーション)することがあり、これを増菌してしまうと病原菌と誤診してしまいます。これを防ぐため、採血は例えば右腕と左腕のように2回に分けて行います。1回の採血でコンタミネーションが起きる確率は最大3%程度ありますが、2回連続は0.1%未満のため、2回とも同じ微生物が検出された場合は間違いなく病原菌といえます。
血液培養2セット実施率は、感染症診療の質を測る重要な指標です。100%ではないのは、採血が極めて困難な場合、患者さんの協力が得られない場合、など様々な理由で1回のみになることがあるためです。また、小児では1回採血としている場合もあります。このように必ずしも100%となるわけではありません。当院では、広域抗菌薬投与前の培養検査提出状況をモニタリングし、抗菌薬適正使用支援チームで適宜フィードバックを行っています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
862 799 92.69%
広域スペクトル抗菌薬を使用する際には、その前に必ず細菌培養検査を実施して原因微生物の同定を行うことが、抗菌薬適正使用と薬剤耐性対策の基本です。転院事例では当院で状況の変化がない限りは検査を行わないことがあり、それが当院の実施率が100%ではない理由の1つとして考えられます。また、当院では広域スペクトラム抗菌薬の中でも特に重要なカルバペネム系抗菌薬、ピペラシリンタゾバクタムについて、全例投与前の培養採取の有無を確認し、改善を要する点があれば、適宜フィードバックをしています。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
243749 508 2.08‰
入院中の転倒・転落は、環境の変化や疾患、治療・手術などさまざまな要因で発生することがあります。当院では、転倒・転落による患者さんの傷害を防ぐため、発生事例を詳細に分析し、予防策を講じる取り組みを行っています。特に、傷害に至らなかった事例も含めて報告・分析することで、転倒・転落の要因を特定し、リスクを低減するための対策を強化しています。患者さんが安心して治療を受けられる環境を提供するため、引き続き努力してまいります。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
243749 26 0.11‰
入院中の転倒・転落は、環境の変化や疾患、治療・手術など、さまざまな要因で発生することがあります。特に、転倒・転落によって骨折や頭部損傷などの重大な傷害が発生し、濃厚な治療や処置が必要となった事例(レベル3b以上)は、患者さんの安全に深刻な影響を及ぼします。この指標は、傷害が発生した転倒・転落事例の頻度を把握するだけでなく、発生要因を分析し、再発防止策を講じるための重要な基礎データとなります。患者さんが安心して治療を受けられる環境を提供するため、今後も継続的に改善に努めてまいります。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
4915 4824 98.15%
手術開始の直前(1時間以内)に予防的抗菌薬を投与することで、手術部位の抗菌薬血中濃度を高め、手術部位感染のリスクを下げることができます。当院ではこのタイミングを重視し、手術ごとに投与時刻の記録・確認を行い、安全かつ効果的な感染予防に努めています。100%をめざして状況を確認し改善に努めています。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
30410 206 0.68%
当院におけるd2以上の褥瘡発生率は0.68%であり、全国の同規模急性期病院における褥瘡発生率と比較すると高い状況です。高度急性期医療を提供するなかで防ぐことが困難なケースに遭遇することがあり、褥瘡対策チームを中心に、深い褥瘡を発生させない、浅い褥瘡に留めるよう多職種との連携、またケア方法の徹底に取り組んでいます。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
9747 9732 99.85%
当院では、入院前から入院予定患者さんの食事や栄養状態の把握を行い、入院早期からの食事・栄養介入につなげています。入院支援室には管理栄養士が常駐しており、栄養不良が認められる患者さんに対して聞き取りや食事摂取に対するアドバイスを行っています。また、食物アレルギーによる禁忌食品の有無や食形態調整の必要性を確認し、入院して最初の食事からこれらに対応した安心・安全な食事提供体制を構築しています。
患者さんが入院されると、入院当日のうちに看護師による栄養スクリーニングとアセスメントをほぼ全例で行っています。成人に対しては、栄養スクリーニングとしてMUST(Malnutrition Universal Screening Tool)を、栄養アセスメントはSGA(Subjective Global Assessment:主観的包括的評価)を用いています。「特別な栄養管理が必要」な患者さんに対し、看護師のアセスメント結果を参考に、管理栄養士が治療方針や身体計測、生化学検査結果に基づいて、さらに詳細な栄養アセスメントを行います。必要栄養量の算出と経口摂取のみならず、経管栄養、経静脈栄養をトータルで確認して栄養管理計画を立案します。
管理栄養士は、院内多職種チームの一員としてNST(Nutrition Support Team)、PCT(Palliative Care Team)、褥瘡対策チームにて活動し、一部の一般病棟では専従管理栄養士の配置、ICUでは早期に経腸栄養導入が図れるよう専任管理栄養士を配置して、栄養管理の充実を図っています。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
203067 4385 2.16%
当院では『身体的拘束の原則禁止』を基本方針とし、身体的拘束最小化チームを設置し、患者さんの尊厳と主体性を尊重した医療・看護の提供に努めています。チームを中心に、身体的拘束を最小限にとどめるための取り組みを進め、より安心できる医療・看護の実現を目指しています。
更新履歴
2025.9.26
「令和6年度病院指標」を公開しました。