ホタルイカに寄生する旋尾線虫幼虫
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一昨日(1998年4月12日),JR渋谷駅前の東急プラザ地下にある「渋谷市場」にいったところ,"生ホタルイカ"が山のように積まれてありました。2パック500円。ホタルイカが27匹入って250円。昨年までの不漁の時には考えられないような値段でした。

思わず1000円札を握りしめてレジに向かいました。他にも「これって,生で食べるととってもおいしいのよね」とささやきながらホタルイカの並んだトレイを持って頷きあっているおばさん。

翌日教室で,いつものように人工胃液で消化すること3時間。残りを検査するとなんと,生きた旋尾線虫幼虫タイプ10が1隻見つかりました。

寄生率1.2%を高いと見るか低いと見るか。あのおばさん,今頃腹痛を訴えていなければいいがと思わずため息。

3年前までは確かにホタルイカは冷凍処理したものでないと市場に出荷させないという業者の自主規制があり,きちんと守られていたと思われます。しかし,一昨年あたりから,またぞろなまのままでどんどん大消費地に向けて出荷されていると聞いていましたが,自分の目で生きたホタルイカを確認してみると,イレウスや皮膚爬行症の患者が今後また増えるのではないかと危惧いたします。

あの山のような(おそらく100パックくらいあったと思います)ホタルイカの中にどれだけの生きた旋尾線虫がいたかと思うと,そしてそれが生のまま都民の口に入ったかと思うと恐ろしい。

ホタルイカのパックの上には「生で食べると寄生虫に感染することがありますよ」という注意書きなどいっさいなし。