ここでは,ProMedで流れた感染症情報のうち,寄生虫に関連したものについて,その抄訳をお知らせするコーナーです。


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2009.9.14更新
Date: 12 Sep 2009
ヴェトナムの肝蛭症
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肝臓に寄生する吸虫の一種である肝蛭症がヴェトナム中部及び中部山岳地方で今年になり3000例以上のヒトが感染しているとクイニョンにある保健省マラリア、寄生虫および衛生動物研究所の当局者は発表した。

研究所のTrieu Nguyen Trung所長は、1年前に比べて患者の数は45%の増加したと述べた。

肝蛭症はウシによって感染が広がる。ウシは流行地域を自由に徘徊し、環境中の水に幼虫を散布する。流行地の住民は水棲の野菜や水を煮沸せずに食べたり飲んだりするため、この病気に感染してしまう。

流行地のウシの40から70%は肝蛭に感染している。

【ProMed編集部の注釈】
Fasciola hepaticaとF. giganticaは家畜の寄生虫で、終宿主は綿羊、ウシ、馬、豚、ヤギ、アルパカ、鹿などである。この寄生虫の流行地の入り江に生えるクレソンなどの水生野菜を食べて感染する。

ヴェトナムでの最近の調査によれば、ヴェトナムにはF. hepaticaとF. giganticaの2種に加え、両者の雑種交雑種も分布している。ヒトでの肝蛭症の増加は家畜の感染密度の増加やクレソンなどの水生野菜の汚染が変化しているためであろう。