ここでは,ProMedで流れた感染症情報のうち,寄生虫に関連したものについて,その抄訳をお知らせするコーナーです。


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2007.8.22更新
Date: Tue 21 Aug 2007
飲食物によって感染するトリパノソーマ症ーブラジル(アマゾン)
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過去15ヶ月の間に15例のシャーガス病がブラジル北部のPara州とアマゾン州,Amapa州で報告されている。今月(2007年8月)になってPara州のBrevesとAbaetetubaからも患者の発生があり,シャーガス病の疑いで死亡した1例を含めて患者の報告は15例に上っている。

ちょうど1年前に,汎アメリカ健康機構(PAHO)が,泥や漆喰の壁の穴に潜む媒介昆虫によって起きるシャーガス病の媒介はブラジルではもはやなくなったと宣言したばかりであった。

2006年以来,116名もの人がこの地方特産の果物ジュースを飲んだ後にシャーガス病を発症している。このジュースはacai椰子やbacaba椰子の果実から作られており,この中にいる媒介昆虫を間違って一緒にすりつぶしてしまうことがあった。Para州BelemにあるEvandoシャーガス研究所によれば,1968年から2005年までは年平均12例程度がこのような経口感染によって発症していた。しかし,同研究所の寄生虫部門主任のAldo Valenteによれば,少なくとも20例の症例が報告されないままになっているという。

シャーガス病はTrypanosoma cruziという原虫によって起こり,サシガメがこの病原体を媒介する。発熱,倦怠感,頭痛,関節痛,眼瞼浮腫,肝機能障害,心臓疾患などの症状が起きる。

2006年には経口感染によるさらに3例の患者発生があり,ブラジル東北部におけるシャーガス病の報告者数は合計21例に上っている。

【編集部】
幸いなことに,現在米国でブームとなっている市販のacaiジュースや健康食品店で売られているもの,あるいは英国のブラジル料理店で提供されているものについてはより衛生的な環境で製造されている。