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COVID-19診療に役立つ気道管理カバーを開発しました! |
【気道管理カバー開発の経緯】
気管挿管や抜管の際には、患者さんの咳込みにより、ウィルスを含んだ飛沫が拡散するリスクが高いため、アクリル製のボックス型隔壁の使用などが普及しています。しかし、このボックス型隔壁では、操作時に使用する穴の位置が固定されてしまっており、また、操作時にアクリル板と術者の感染防護着がこすれてしまうため、穴が開いてしまうリスクがあるといった制約がありました。何より、ボックスを外した際に再び飛沫が拡散するのではないかという心配もあり、当科の遠山准教授(写真右)をリーダーとするメンバーで、ビニール袋に外科術者用アームカバーを4本取り付けたデザインの気道管理用カバーが考案されました。
当初は、医局員の手作りで、養生テープでビニール袋を貼り合わせて適切な大きさとして、外科手術の術者用アームカバーを取り付ける形のものを作成し、抜管や、気管チューブの入れ替えなど、30例を超える症例で使用しました。下の画像は、実際の使用場面で、本学の様々なメディア取材の映像でもしばしば流れていたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
【気道管理カバーの特徴】
もう一つ、このデバイスの良いところとして、抜管の場合には、抜管後の気管チューブや人工鼻など、不要になったものをこのビニール製カバーの中に取り込んで、丸めて一塊にして廃棄することができるので、患者さん周囲の環境が汚染されにくいことがあげられます。このデバイスを何とか製品化して広く普及できないかということで、病院向けの滅菌業務や院内感染防止を目的とした製品を開発・供給するメーカーに相談を持ち掛けたところ、快諾をいただき、製品化にまで到達することができました。
製品のつくりや、使用法は、動画で具体的に述べられていますが、上記の手作りの試作品のエッセンスが凝集し、さらに写真に示されたようなスリット状の手の挿入口など、操作性が大変良いものに仕上がっています。ICUでの抜管では、患者さんの両側に立つ形で処置を行いますが、操作者が患者さんの頭側に立つ形で気管挿管、手術室における抜管、ファイバースコープによる処置を行う際にも応用可能です。
この気道管理用カバーは、新型コロナウィルス感染症の診療の中で、院内感染予防に大変役立ち、新型コロナウィルス診療にかかわるスタッフの安心にもつながるものだと思います。このデバイスが広く普及し、より多くの施設における診療に貢献できればと願ってやみません。
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