教授からのメッセージ

 法歯学(歯科法医学)は、犯罪関連のご遺体や生体試料からの個人識別はもとより、近年多発する大事故・大災害での身元確認など、社会的に重要な任務を担っている分野です。2012年6月に死因究明二法と呼ばれる法律が成立して以降、個人識別に関する研究、鑑定および教育の推進が求められるようになり、これまで一部の大学にのみ存在した法歯学関連の研究室が、近年増設されております。当研究室も2015年3月よりスタートいたしました。当大学では、医科と歯科が併設する特性を活かした法医歯学領域体制の下、法医学分野が行う年間150体以上の法医解剖において、法歯学分野は個人識別、すなわち身元確認を担当するなど、役割分担を明確にした鑑定体制で実務に取り組んでおります。また、法歯学分野単独での各種の個人識別鑑定にも対応を開始しております。そして、実務とともに研究室の要となる研究面では、硬組織、軟組織、各種体液、復顔あるいは顔画像など、広範囲に渡る個人識別に関する研究を対象としております。また、児童虐待防止策、医療関連死、さらには関連する薬毒物についても研究範囲と考えております。
 現在、法歯学に精通した国内の専門家は極めて少なく、その人材育成は当研究室に課せられた喫緊の課題であると考えております。まだ設立して間もない研究室ですが、今後も積極的に大学院生を受け入れ、一日も早く研究室としての体制を構築し、社会に貢献して参りたいと考えております。

 
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