医療関係者向け

当科について

がんゲノム診療科は、がん先端治療部内に設置された診療科です。おもに他の科(主科)からの紹介を受け、がん患者さんのゲノム変異を調べ、それに基づいた治療法を提示する「がんゲノム医療」を行っています。

おもな診断・治療法

患者さんの検体を使って、がん遺伝子パネル検査という検査を行います。検体には、手術の際などにとられた組織を使用する方法と、採血による血液を使用する方法があります。遺伝子変異が見つかった場合には、治療薬の候補を探します。治療薬の候補が見つかった場合には、治験などを利用して患者さんに投薬する手段を探します。

高度な先進医療

がん遺伝子パネル検査は、2019年から保険収載された高度な先進技術です。 当科では、質の高いがん遺伝子パネル検査を使用しています。

取り扱うおもな疾患

臓器に関わらず、標準的な治療方法がない、またはなくなりそうな固形がんの患者さんが対象です。

診療科における研究テーマ

がん遺伝子パネル検査の臨床的有用性、がん遺伝子パネル検査同士の比較、遺伝子変異毎の治療薬の効果、治験情報の効率よい検索方法の確立、医療従事者向け教育など

取り組み

基本的には主科との連携を重視し、患者さんに新しい治療法を提示できることを目指して外来診療を行っています。

がん遺伝子パネル検査を希望されている患者様のご紹介に関しまして

以下の点について、患者様と十分にご検討頂くようお願い申し上げます。

  • 検査準備から検査結果説明まで2か月以上かかること
  • すべての方で遺伝子変異がみつかるわけではないこと
  • 必ずしも遺伝子変異に基づいた治療法がみつかるわけではないこと
  • 遺伝子の変化に基づいた治療法が見つかったとしても、保険適応外や臨床研究で使用されている薬剤が多いこと
  • 検査後の治療法については、紹介元の主治医と相談し検討頂くこと

がん遺伝子パネル検査をご希望の患者様には、これまでの治療歴やご本人の体調等から検査の適応となるかどうかを検討するため、まずはセカンドオピニオンとしてがんゲノム相談外来を受診していただきます。最終的に検査を実施するかは、セカンドオピニオンの見解を元に、患者様と主治医の先生に決定頂きます。

保険承認とされているがん遺伝子パネル検査は、以下の条件に適合する患者様が対象ですのでご確認ください。

  • 標準治療のない固形癌(原発不明癌、希少がん等)の患者様、又は局所進行・転移が認められ標準治療が終了(もしくは終了見込み)となった固形がんの患者様
  • 検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した患者様
  • FoundationOne® Liquid CDx検査、Guardant360®CDxがん遺伝子パネル検査(いずれも血液を使っての検査)の場合は、上記に加え、がん組織を使った検査ができない患者様、またはがん組織での検査をおこなったが検査結果が得られなかった患者様

※検査結果が得られ、患者様へ結果をお伝えするまでには、2か月程度かかりますので、結果説明まで体力の維持が可能かどうかもご判断ください。
※当院としては、PS(Performance status)0~1の方を対象と考えています。

保険診療で行っているがん遺伝子パネル検査

検査名 調べる遺伝子の数 検体の種類 費用 詳細情報
FoundationOne® CDx検査
がんゲノムプロファイル
324 腫瘍組織 ・検査費用56万円の1~3割(健康保険の自己負担割合に応じて)が自己負担となります。
・検査申し込み時と検査結果説明時の2回に分けてお支払い頂きます。
*高額療養費制度が利用できます。
*検査費用以外に診察料が別途負担となります。
リンク
OncoGuideTM NCCオンコパネルシステム 124 腫瘍組織+血液 リンク
FoundationOne® Liquid CDx検査
がんゲノムプロファイル
324 血液 リンク
Guardant360® CDxがん遺伝子パネル検査 74 血液 リンク
GenMineTOP がんゲノムプロファイリングシステム DNA:737
RNA:455
腫瘍組織+血液 リンク

当院での検査の流れ

必要な資料について

以下の資料を作成し、セカンドオピニオン外来宛てにご郵送ください。

  • がんゲノム相談外来チェックリスト兼申込書
  • 診療情報提供書 Ⅱ(セカンドオピニオン用)
    貴院様式でご作成ください。
    検査を実施する際に必要な情報となりますので、以下の内容は必ず記載してください。
    ・治療歴 (各レジメンにおける抗がん剤の使用期間、効果判定も含め明確にご記載ください。)
    ・現在のPS
  • 血液検査結果レポート
  • 病理検査結果レポート(複数ある場合には、全てのレポートをご準備ください。)
  • 画像検査ディスク、読影レポート

以下のものは、患者様にお渡しいただき記入の上受診時に持参するようご説明ください。

がんゲノム相談外来(セカンドオピニオン)の受診について

上記資料が届きましたら、当院のがんゲノム医療コーディネーターがより患者様へ直接電話連絡を行い、がんゲノム相談外来の受診日を調整します。

  • 診察日時:原則、水曜日以外の月~金曜日
  •        ※患者さん、担当医の都合により、適宜調整させて頂きます。
  • 所要時間:1時間(診察45分、報告書作成15分)
    ※診察終了後、診療情報提供書(返書)を患者様にお渡しします。
  • 受付場所:1階ロビーの正面玄関入り左側「ご案内」カウンター
  • 費  用:44,000円(税込)

病理検体について

組織を用いたがん遺伝子パネル検査を行うことが決定しましたら、当院のがんゲノム医療コーディネーターから検体ブロック借用依頼もしくはスライド供与依頼のご連絡を行います。

検体入手後、当院にて検査可能か判断いたします。再度別検体や追加検体の提供をお願いすることがあります。検査実施が長引き、患者さんへの治療計画にも影響してきますので、速やかなご対応をお願い致します。

以下の資料の同封もお願い致します。

  • 提供する病理検体に関する病理検査報告書(すでにご提供頂いている場合には不要)
  • 病理切り出し図(手術の場合)

*検査を提出する際に必要となる病理検体に関する情報について、お問い合わせする場合があります

検体作成の詳細に関しましては、以下URLもご参照ください。

がんゲノム診療科(保険診療)の日程調整について

病理検体は、当院の病理部にてがん遺伝子パネル検査可能かどうか確認を行います。検査実施の対象になることを確認しましたら、がんゲノム医療コーディネーターが患者様とがんゲノム診療科受診日の調整を行います。

  • 診察日時:月・木曜日9:00~14:00、火・金曜日 9:00~12:30
  • 所要時間:30分程度
  • 受付場所:初診窓口
  • 診察場所:4階内科外来

がんゲノム診療科(保険診療)の受診について

  • がんゲノム診療科に、検査提出時と結果説明時の2回受診していただきます。
    ※受診の際は初診扱いとなりますので、健康保険証と診療情報提供書Ⅰ(保険診療用)が必要です。
  • がん遺伝子パネル検査の結果が出ましたら、エキスパートパネル(専門者会議)を行い、患者様にとって最適な治療や参加可能な臨床試験、二次的所見 (遺伝性腫瘍の可能性)等について検討します。
  • 患者様に検査結果をご説明いたします。
  • ご紹介いただいた主治医の先生へ、診療情報提供書、検査結果レポート、エキスパートパネル報告書等をお送り致します。

遺伝性腫瘍が疑われる場合の対応について

がん遺伝子パネル検査を行い、その結果から遺伝性腫瘍が疑われる場合には、遺伝子診療科において遺伝カウンセリング並びに遺伝学的検査を受けられる体制が整っております。必要に応じて、遺伝子診療科へご紹介させていただきます。

がん遺伝子パネル検査 問い合わせ先

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