(a) アルケン型ジペプチドイソスターの合成
もとのペプチド結合に酷似したジペプチドイソスターの立体選択的合成法の開発とその応用研究は、ペプチドを医薬品に結び付けるための非ペプチド化へのgeneral strategyを提供する意味で、非常に重要であると考えられます。我々は、アジリジンalpha,beta-不飽和エステルの酸による位置選択的開環反応を開発し、有機銅試薬あるいは有機亜鉛銅複合試薬を用いた反応を組み合わせることにより、1種類の基質から2種類の(E)-アルケン型ジペプチドイソスターを立体選択的に合成する方法を開発しました。本法の開発によりアミノ酸を出発原料として[L,L]、[L,D]、[D,D]、[D,L]型の(E)-アルケン型イソスターを合成する全行程立体制御合成ルートを確立することができました。実際、ペプチド結合をアルケンで置換した化合物を合成し、顕著な活性を有するアンタゴニストおよび酵素阻害剤を創製しております。また、さらに別種のジペプチドイソスターの合成法の開発や生物学的有用性の検討を行っています。
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