最先端バイオセラミクスの創製 |
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ハイドロキシアパタイト(HA)をはじめとする一部のバイオセラミックスは、電界下でセラミックス内部にイオン分極を発生させることができ、この結果、大きな電荷を長期間にわたって表面に誘起することができます。このような材料のことをエレクトレットと呼びます。 私達のこれまでの研究で、バイオセラミックスから得られたエレクトレットを生体環境におくと、表面に誘起されている電荷のエネルギーを受けて、エレクトレット表面からmmオーダーの領域内において生体反応が様々な影響(私達はこれをエレクトロベクトル効果と名付けました)を受けることがわかりました。 エレクトレット化するための分極処理は、バイオセラミックス本来の組成や基本構造を大きく変化させることのない処理です。また、すでに成形されている状態であっても後から付与することのできる処理でもあります。従って、すでに臨床応用されている材料の素材、形状を生かしつつ、それらに新たな機能を与えることが可能となります。現在、バイオセラミックスの新たな応用展開という観点からバイオデバイス設計の多様化に貢献するため、様々なバイオセラミックスの電気的性質の解明および次世代バイオエレクトレットの開発に注力しています。 私達はセラミックスの多様な機能 (特に表面特性と表面静電エネルギー) のナノレベルでの制御と、それらの機能を有するセラミックス (ベクトルセラミックス) の生物や生体に対する機能発現に関する研究を行っています。当研究室は専門を異にしたメンバーから構成されており、前者テーマはセラミック材料化学、ナノ界面工学、セラミックス材料科学の専門家チームが、後者テーマは免疫学、生化学、分子生物学、更に医歯学の臨床の専門家チームが担当しつつ、互いに連携しながら研究を進めています。
山下 仁大 |