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若本 祐一


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研究内容(題名)

遺伝情報の同じ細胞を同一環境内に置いたとしても、その振舞いや表現型は細胞間で異なることが知られている。このことは、同じ遺伝子を持つ細胞間でもその状態には冗長性が許されることを示しており、私はこの遺伝子変異に依存しない細胞状態のばらつきの大きさ、また一時的な細胞の状態がその子孫細胞に与える影響を探ることで、細胞システムにおけるエピジェネティックな情報の意味や性質を明らかにしたいと思い研究を行っている。

1.細胞状態の世代間比較

特定の1細胞由来の細胞群を世代をまたいで観察しその状態を比較するために、長期1細胞孤立化観察法を開発した(図1(a))。この方法では、細胞1つを小さな部屋に閉じ込め,その様子を観察し、分裂が起こると一方の娘細胞を光ピンセットを用いて細胞を取り除き、常に孤立化状態を保ちながら細胞を観察する。この方法を実際行うために作製したマイクロチップの構造が図1(b)である。この構造の中で中心部分にある4つの部屋を細胞観察のための領域とし、各部屋に1つずつの細胞を閉じ込めその様子を観察する。観察に不要な細胞は図中の矢印に従い、別の領域に閉じ込めておく。この技術により特定1細胞由来の4細胞を1細胞レベルで何世代にも渡り観察することが可能となった。


図1 長期1細胞孤立化観察

2.1細胞由来4細胞の成長・分裂の様子

図1の方法により、一定環境下に細胞を置き、その成長・分裂の様子を観察した結果が図2である。各世代の分裂時の長さや分裂周期、成長速度などは世代間で異なることが分かる。各世代間の細胞は同じ遺伝情報を持つため、これらのばらつきは遺伝子変異に依存しないばらつきと言える。


図2 1細胞由来4細胞の成長・分裂ダイナミクス

3.細胞周期の世代間でのばらつき

特定1細胞を何世代にも渡って観察できることによって、細胞の状態を世代間で直接比較することができる。この図から細胞の状態はある範囲の中を揺らいでいる様子が分かる。細胞のばらつきの計測とともに、世代間での状態比較もこの方法により可能となった。


図3 1細胞由来4細胞の成長・分裂ダイナミクス

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論文・解説

<論文>

[1] Y. Wakamoto, S. Umehara, K. Matsumura, I. Inoue, and K. Yasuda, Development of non-destructive, non-contact, single-cell based differential cell assay using on-chip microcultivation and optical tweezers, Sensors and Actuators B 96 (2003) 693-700.

[2] Y. Wakamoto, I. Inoue, H. Moriguchi, and K. Yasuda, Analysis of single-cell differences by use of an on-chip microculture system and optical trapping, Fresenius J Anal Chem 371 (2001) 276-281.

<解説>

[3] 若本祐一、井之上一平、森口裕之、安田賢二 マイクロチップを利用した1細胞培養システム、生化学 (2001) 73(12) 1439-1443

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