所長挨拶
国立大学法人東京医科歯科大学 生体材料工学研究所
所長
山下 仁大
平成16年8月18日 山下所長の写真

 当研究所の前身である歯科材料研究所は昭和26年に 歯科器材に関する総合的研究機関として本学に附置され、 5研究部(金属、窯業(現無機材料)、有機材料、機械、薬品部) でスタートし、その後半世紀に渡って歯科材料を含む生体材料学と 医用器材の研究に特化したユニークな附置研究所として歴史を綴ってきました。 この間、電気機器部が増設され、昭和41年に医用器材研究所、 平成11年には生体材料工学研究所として発展的に改組され、 現在では機能分子、素材、システムの3大部門、13分野に拡大しました。 なお、バイオセンサー分野と生体材料物性分野はそれぞれ、 企業および海外から招聘する客員教授が担当します。 これまでに世界に先駆け、1.活性型ビタミンD製剤の開発、 2.抗血栓性ポリマー(MPC)の開発、3.超弾性型Ti-Ni合金ワイヤーの開発、 4.人工アパタイトの製造、などの研究成果を世に出し、 基礎から医用デバイス、医療製品の開発まで、 生体材料工学に関する世界の研究拠点として活動してきました。

 本年4月より国立大学法人東京医科歯科大学の発足に伴い、 バイオマテリアル・バイオエンジニアリングに関する世界の先導的研究拠点として 機能すべく、基礎及び応用研究の充実に加え、知的財産の創出や情報発信、 社会貢献などに関する独自の斬新な中期計画(東評議員のコラム参照) を策定しました。 これらを着実に遂行すべく、分野間の壁を越えた新規の研究プロジェクトや、 大学間の研究連携、および世界の大学との国際連携プロジェクトを 立ち上げました。 その全容と実施の進捗状況は今後適宜報告して参ります。 なお、HPには私をはじめとして全教員の研究業績や プロフィールなどの詳細を掲載しています。

 4月以降当研究所に重要な人事異動がありましたので、 今回は新たな陣容についても紹介致します。 まず、本学の疾患生命研究部、生命情報教育部との連携を 目的として、当研究所の教授会メンバーに清水正人教授、増田 正教授、 5月1日着任の影近弘之教授が加わり、 システムおよび機能分子部門を強化するととも に研究領域の深化と拡張を図ることになりました。 また7月1日より生体材料工学に関する東西の両雄と並び称された塙隆夫、 岸田晶夫両教授がそれぞれ金属材料および機能分子分野を担当し、 高機能バイオメタルおよびナノ再生マテリアルへの新たな展開を開始しました。 さらに8月1日付けで山本恵子、杉本昭子両先生が分子認識分野及び 分子設計分野の助教授にそれぞれ昇格し、 ナノバイオサイエンスの構築と実践の新たな飛躍を開始しました。 そして8月4日より生体材料物性分野の客員教授として フィンランドのTurku大学よりJukka Salonen教授を招聘し、 世界研究拠点としての基盤を一層強化しました。

 当研究所は本学大学院医歯学総合研究科と疾患生命研究部、 生命情報教育部から大学院生を受け入れ、 さらに周辺の有名私立大学から学部学生や修士、 博士課程の学生を受け入れ、研究指導を行なっています。現在は教員39名、 技術補佐員6名、事務職員5名、に学生に加え総勢約200名の 研究体制で臨んでいます。 去る7月28日には隣接する本学難治疾患研究所とともに研究所公開を行ない、 およそ250名の参加者がありました。また公開のシンポジウムも定期的に開催し、 来年1月には分子認識分野の山田幸子教授が主催して核内受容体と創薬と 題した IBB 1st Frontier Research (先導研究) Symposium を開催します。

 今後も当研究所が世界的研究拠点として創出していく情報を中心に本HPにて 公開していく予定です。

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