研究内容
1. 疾患モデル動物に関する情報収集と解析:疾患モデル動物は自然界からみいだされたもの、薬理学、生理学的処置により作出されたもの、発生工学技術により遺伝子操作により作製された動物など多数見いだされている。当分野では痛みに対し痛覚過敏や痛覚鈍麻などの反応を示す疾患モデル動物の情報を収集し、その動物の本態解明のための解析をおこなっている。
2. 動物実験と福祉に関する情報の収集と解析:動物実験は医学・生物学の研究に不可欠である。しかし、動物実験に対する倫理観について一般社会から厳しい眼が向けられていることも考慮しなければならない。当分野は学内の動物実験が動物福祉を考慮し、科学的に適切に行われるよう方策を提供する役割も有している。そのため、国内外の実験動物と動物実験に関する法規、指針をはじめ動物実験を取り巻く現状などの情報を収集・解析し、正確な情報を実験者に提供する支援研究を行っている。
3. 痛覚情報伝達に関与するCaチャネルのサブタイプの解明:痛みの研究はその多くが丸ごとの動物に痛み刺激を与え、これに対する反応を見るという方法が使われている。しかし、このような方法では当然倫理面で問題が起こっ
てくる。我々は倫理的な問題を避けることができるin vitroで痛みの研究が可能な摘出標本を開発した。1ー3日令ラットより脊髄に伏在神経、後肢皮膚を繋げた標本を作製し、脊髄と皮膚を別々の潅流槽に固定し、発痛物質であるカプサイシンを皮膚の潅流系に適用すると、腰髄節前根から痛み反射(侵害反射電位)が記録される。この電位はモルヒネ適用により抑制される点で痛みのモデルと考えられている。現在,新規鎮痛薬の探索研究の一貫としてCa拮抗薬系の中に侵害反射電位を抑制する薬物が存在するかを
検討している。