研究:
分野代表者は原子間力顕微鏡によるヒト染色体やコラーゲンなどの生体試料の構造・機能解析の研究を行ってきた。これまで開発した液中原子間力顕微鏡による生物試料の先端的な観察技術を駆使して、現在は神経細胞の成長円錐を生きた状態で3次元的にリアルタイムでイメージングする方法を開発しようとしている。特に、アクチン細胞骨格と微小管の再構成過程における観察により、成長円錐の動態とそれに関わる因子の制御機構の解明をめざしている。具体的には、成長円錐の葉状仮足や糸状仮足での細胞膜の3次元的形態変化が細胞内部の細胞骨格の動態とどのように関係しているかを明らかにし、成長円錐の形態と運動の制御機構を明らかにしたい。また、原子間力顕微鏡の有用性が医生物学分野でさらに発揮されるよう、さまざまな生体組織の微細構造の新たなイメージング方法の追求もしている。
教育:
教育にあたっては、人体の構造と機能に関する基本的なことがらを、講義スタイルではあっても双方向性をもちながら修得できるよう、古典的な手法ではあるがライブ感を伴う板書を駆使して説明するよう心がけている。具体的な内容は以下の通りである。
検査技術学専攻、看護学専攻のそれぞれ1年生後期より解剖学(人体構造学)の講義を行っている。両専攻とも2年生では、引き続き解剖学の講義を行い、あわせて生理学(生理検査学Ⅰ)の講義も行っている。また、看護学専攻では解剖学の見学実習もおこない、実際の人体の観察に基づいた深い理解をめざしている。検査技術学専攻では、同様に解剖実習体見学を行うが、脳実習も医学科の寺田純雄教授の指導のもと行っている。さらに、組織学の基本的な実習も行っている。生理検査学の実習では、さまざまな基本的な生理検査を行い、その検査結果の解析を通して、科学的な思考態度を身につけるようにしている。
大学院教育では、形態・生体情報解析学特論を担当している。電子顕微鏡をはじめとした、さまざまな顕微鏡技術の基本原理の理解とその応用の修得に力点をおいている。
業績1
Hoshi O, Ushiki T: Replication Banding Patterns in Human Chromosomes Detected
Using 5-ethynyl-2'-deoxyuridine Incorporation. Acta Histochem Cytochem
44(5):233-237 (2011).
業績2
Hoshi O and Ushiki T: Structural analysis of human chromosomes by atomic
force and light microscopy in relation to the distribution of topoisomerase IIα.
Arch Histol Cytol 72:245-249 (2009).
業績3
Picco LM, Dunton PG, Ulcinas A, Engledew DJ, Hoshi O, Ushiki T, and Miles MJ:
High-speed AFM of human chromosomes in liquid.
Nanotechnology 19:384018 (6pp), (2008).
業績4
Ushiki T, Shigeno M, and Hoshi O: Techniques for imaging human metaphase
chromosomes in liquid conditions by atomic force microscopy.
Nanotechnology 19:384022 (5pp), (2008).
業績5
Hoshi O, Owen R, Miles M, and Ushiki T: Imaging of human metaphase
chromosomes by atomic force microscopy in liquid.
Cytogenet Genome Res 107:28-31 (2004).