顕微鏡の基本的な取り扱い1         目次に戻る

1999. 1. 11. 柴田達也、大谷啓一

顕微鏡のスイッチをいれる前に

顕微鏡にかかっているカバーは、完全に取り去ること。ランプハウスにカバーがかかっていると、火災や障害の原因となる。

ケーラー照明

ケーラー照明とは?

光源からの光を集光レンズ(コンデンサーレンズ)で結像させ、第2光源とする照明法です。

なぜ、重要?

対物レンズのもつ分解能を完全に引き出し、視野を均一に照明するための基本的な透過光調整だからです。顕微鏡のもつ性能を十分に引き出すために、必ず行ってください。

ケーラー照明の調整手順(第1共同利用室にあるZeiss Axiophot場合)

  1. 明視野検鏡および位相差検鏡では、微分干渉検鏡用のアナライザーとポラライザーがはいっていないことを確認する。
  2. 蛍光フィルターがはいっていないことを確認する。
  3. コンデンサーを選択する。(明視野検鏡:[H]、位相差検鏡:[Ph 1,2,3]、微分干渉検鏡:[DIC ,,。])
  4. 標本をステージにセットして、自分が観察する最低の倍率(10倍が基本です。)の対物レンズでピントをあわせる。明視野検鏡で明るすぎる場合は色温度変換フィルターあるいはND フィルターをいれる。
  5. F 絞り(Field diaphragm 、視野絞り )調整(鏡体基部についています。)

    接眼レンズを覗いて調整します。

    1)F絞りを完全に絞り、F絞り像をだす(A) 。

    2)コンデンサーを上下させてF絞り像のエッジをクリアにだす(B) 。

    3)コンデンサーの2つのネジ(中心あわせネジ)を動かし、F絞り像を視野の中心にもってくる(C) 。

    4)F絞りを開き、視野に外接させる。この状態でF絞り100%(D) 。開きすぎると、フレアやゴーストの原因になります。

  6. A絞り(Aperture diaphragm 、開口絞り、コンデンサー絞り)調整

    接眼レンズをはずして、対物レンズの後から覗いて調整します。

    A絞りを対物レンズの瞳の7〜8割にしぼるのが基本(E) であるが、解像力をあげたいときはA絞りを開く。この場合、コントラストは低下する。コントラストを強くしたければA絞りを絞る。

    A絞り

    解像力 

    コントラスト

    焦点深度*

    明るさ

    100%

    Min.

    high

    low          

    low

    high

    shallow 

    deep

    bright

    dark

    *焦点深度:ピントが上下でズレない焦点の深さ(厚み)のことです。焦点深度が大きくなればピントの合う厚みば増します。

    (注意)対物レンズを変えた場合はケーラー照明は再度の調整が必要となる場合が多いが、観察時にはあまり気にしなくてよい。しかし、特に写真撮影を行う際には、撮影条件を一定にするために調整することが望ましい。

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