病院ベンチマークの概要

第二次ベンチマーク事業(1998年度) − 第三次ベンチマーク事業(1999年度)




●ベンチマーク事業が目指すもの●

 これまで行ったベンチマーク事業によって、DRGに代表されるケースミックスという考え方、つまり「患者の属性を加味した上で、病院のパフォーマンスの違いを吟味しよう」という考え方をうまく活用することによって、 次の6点が可能になると言えます。(より詳細な説明は「医療改革の工程表〜DRG&ICDは急性期病院の常識」(川渕孝一監修/川渕孝一・有馬秀晃著,医学書院)にあります)

 @医療資源の使用状況、および治療成果を、広範に測定することによって病院のパフォーマンスを比較する
 A患者別死亡率の差を査定する
 B各病院が平均在院日数の短縮に努力する
 C継続的に医療の質を改善するプログラムを確立する
 D患者別の疾病分類に基づいて、次年度の予算を立てる
 E患者別包括支払い方式に利用する

 しかし、現段階(第三次)では、参加病院が36病院と限定されているため、ここから一定の標準値(ベンチマーク)を導出することは難しく、今後、より多くの病院に参画いただくことが期待されます。




●第三次ベンチマーク事業について●

第三次ベンチマーク事業(調査対象期間:1999年度)のデータについては、2002年2月1日に日医総研にてワークショップを行いました。分析結果は、日医総研のホームページで近日アップされる予定です。




●第二次ベンチマーク事業(調査対象期間:1998年度)の概要●

本研究は、DRGをいかに病院マネジメントに応用することが出来るか、その有用性を検証したものです。報告書のダウンロードはこちら

T.使用されたデータ

 @退院患者データ:年齢・性別(人口学的データ)、患者の病状や治療内容(疾学的データ)など
 A病院のコストデータ:部門別のコストを収集。米国のメリーランド州のコストウェイト係数を用いて患者別コストに按分。
 B病院特性データ:地理的な立地条件、臨床研修指定の有無、病床数、経営主体など。

U.収集されたデータ

 本研究で使用した退院患者データベースは、暦年の1998年、あるいは会計年度の1998年(1998年4月1日〜1999年3月31日)のもので、 全部で36病院から約23万件のデータが収集されました。
 調査対象病院の分布範囲は広く、北は北海道から南は沖縄におよびます。病床数も広域に渡り、200床未満の病院から、1000床以上の病院まで、様々でした。 また、36病院のうち17病院が臨床研修指定病院でした。(詳細は報告書を参照して下さい)

V.DRGを使った病院パフォーマンス評価

 @DRG別コスト比較:患者特性を加味した病院間の効率性比較
 ADRG別死亡率・再入院率・帝王切開率:患者特性を加味した病院間の有効性比較
 BCMIを使った統計分析:患者の重症度を考慮に入れた場合の病院特性比較

W.米国式のDRG/PPSを導入した場合の経済的影響度

 @現行の入院収益とDRG/PPS下の入院収益との比較

X.AP-DRGを使ったABC分析

 ABC分析:在庫管理に利用される手法。物品や材料をAランク(高価格の材料群)、Bランク(中程度の価格の材料群) およびCランク(低価格の材料群)の3グループに分類し、それぞれのグループに適した管理方法を適用するための 基礎的な分析方法。
 症例数上位20%(128)のDRGをAランクとしたところ、128のDRGで全症例数の約75%、全コストの65%を占めました。また、症例数上位20位のDRGをAランクとしてみた場合、上位20で全症例数の38%、全コストの23%に達しました。
→上位20位のDRGに注目するだけで、全コストの約4分の1が管理できることになります。

 以上の分析について、より詳しくお知りになりたい方は、「医療改革の工程表〜DRG&ICDは急性期病院の常識」(川渕孝一監修/川渕孝一・有馬秀晃著,医学書院) をご覧下さい。