手術室にアートを取り込むプロジェクト
東京藝術大学×東京科学大学病院小児外科
2025.2.13
手術部の改修工事で新しい手術室を新設するにあたり、小児手術にも配慮された手術室とするために、手術室出入り口に近い16番手術室の壁面をイラストラッピングすることが決まり、2024年春からプロジェクトがスタートしました。
それより少し前の2023年8月に、東京科学大学と東京藝術大学は包括連携協定を締結し、連携促進を目的として2024年4月24日に東京藝術大学との研究マッチングイベントが開催されました。そこで、小児外科准教授の岡本健太郎先生が手術室の壁面にイラストを描いて頂ける方を募ったところ、お二人が応募してくれました。
岡本先生は、小児をはじめ手術を受ける全ての患者様と医療従事者側もリラックスできるように「動物園や水族館に向かう時のワクワクする通路」のようなイメージで、また、新たな出発をする東京科学大学病院のイメージカラーでもあるブルーを基調とした絵とするため、空と海を中心に描いてもらうことを条件に、依頼しました。
この依頼条件に応えてくれたのが、東京藝術大学美術研究科美術専攻美術解剖学研究室の川目七生さんと横山幸奈さんです。「北の海と南の海」というコンセプトで、北側の壁面の北の海を川目さんが、南側の壁面の南の海を横山さんが担当の合作となっています。
岡本先生が2016年に1人で小児外科を立ち上げた際に、鉛筆で何気なく書いていた「イカシカくん」もどこかに紛れさせてもらいたいという要望が出され、見事に実現しました。
無機質な手術室にアートを取り込む今回のプロジェクトは、マッチングイベントがきっかけとなって実を結ぶことができました。今後も、東京科学大学と東京藝術大学との連携が促進されることが期待されます。
イラストラッピングされた手術室を見た岡本先生は、「想像を超えた完成度で感激しました」、小児外科の印南優衣先生は、「海をモチーフにした明るい手術室に感動しました。子どもたちだけでなく、私たちにとっても癒しの空間です。早くこの場所で手術をしてみたいです」と述べています。
また2月6日には、東京科学大学病院手術部内田篤治郎部長、看護部淺香えみ子部長ほか、たくさんのスタッフが新しい手術室を見学しました。内田部長は「術者の心が和む海の可愛い生き物たちのイラストが素晴らしいと思いました。手術の際に必要なモニターを見る際に、視界を遮らないように配置されているところも、術者にやさしい心配りだと思います。ありがとうございました」と感想コメントを寄せてくださいました。
2月下旬にはイラスト制作者で、手術室の空間プロデュースをしてくださった川目
さんと横山さんが最終チェックをするために、いらっしゃいますので、第二弾の掲載をお楽しみにしてください!なおこの手術室は、3月下旬から使用されるということです。
手術室にアートを取り込んだ16番手術室入口
北の海のイメージ
南の海のイメージ
岡本先生がアイデアを考案した「イカシカくん」
手術室にアートを取り込んだ16番手術室を見学する手術部内田部長と看護部スタッフ