お知らせ

東京科学大学開発ロボットSaroaによる前立腺全摘除を開始

2025.1.20

2025年1月、東京科学大学病院腎泌尿器外科で国内2施設目となる東京科学大学開発ロボットSaroaによる前立腺全摘除を実施しました。これについて 東京科学大学病院腎泌尿器外科藤井靖久教授と福田翔平講師に伺いました。

【質問1】今回のSaroaを用いた手術の計画が立ち上がった経緯について

藤井靖久教授:Saroaは、旧東京医科歯科大学と旧東京工業大学が共同で開発した、東京科学大学(Science Tokyo)発の手術支援ロボットです。このロボットは、世界初の「力覚」を備えた独自技術を特徴とし、手術中に術者が実際の力の感覚を得られるため、精密かつ安全な手術が可能になります。Saroaを活用・発展させることは、患者さんの負担を軽減する低侵襲手術の普及を目指す私たちの使命と考えています。

【質問2】準備に要した期間と準備の内容

福田翔平講師:昨年春頃より準備を開始しました。Saroaを使用した手術を行うために必要な資格(certificate)の取得、他院でのSaroa手術見学を行いました。また、手術当日までに実機を用いた十分なトレーニングを重ね、看護師や臨床工学技士を含む手術室スタッフと共に、手術室内で入念なシミュレーションを実施しました。その結果、万全の体制で手術に臨むことができました。

【質問3】実際の手術のようす

福田翔平講師:術前の計画通りに、Saroaを使用したロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術を、順調かつ安全に行うことができました。Saroa独自の「力覚」(触覚)により、より安全かつ組織に優しい手術が可能となり、合併症なく手術を終了しました。

【質問4】手術後のようす

福田翔平講師:ロボット支援手術の低侵襲性(小さな創、少ない出血など)によって、患者さんの術後の回復は非常に早く、経過は良好でした。術後も合併症なく、スムーズに回復が進みました。

【質問5】今後の課題と期待

福田翔平講師:Saroaは国産の新しい手術支援ロボットとして登場し、現在も改良が続けられています。今後さらに使いやすいロボットとして進化することが期待されます。また、Saroaのような新たな機器や術式の発展が、患者さんにとってより優れた低侵襲手術の提供に繋がることを願っています。