本学所蔵の歯学史料

本学所蔵の歯学史料

東京医科歯科大学歯学部には、歴史的価値の高い歯学史料が所蔵されております。その一部をご紹介してまいります。

虞列伊氏解剖訓蒙(ぐれいしかいぼうくんもう)

作者 松村矩明
年代 明治9年(1876年)

英国人Henry Grayの 『解剖学(Gray’s Anatomy)』第5版 の図版を抜粋して翻訳したものです。 『解剖学(Gray’s Anatomy)』 は1858年の初版から現在まで版を重ねながら現在も医学生を中心に医学入門者の解剖学のバイブルとしてロングセラーを続けています。

文斎餅五行金 花街細見合

作者 勝川春英
年代 1810年頃

お歯黒は有史以前から明治時代に至るまで日本女性の大切な化粧法の1つでした。酢酸に鉄を溶出させた鉄漿水と五倍子粉を房楊枝を用いて交互に歯に塗りつけて歯を黒く染めました。お歯黒には抗菌作用があり、その原理は現在のサホライドやハイボンドセメントなどの予防歯科材料にも通じています。

木床義歯(黄楊)

作者 横山傳蔵(二代)
年代 江戸後期(1780年~1868年)

人工歯には牛歯を用いて審美性を回復し、臼歯部咬合面には、T字型の金属釘を打って咀嚼率を高めています。さらに上顎義歯床にはリング状の保持孔を作り、残存歯にも維持を求めた構造になっています。床辺縁は、唇、頬小帯を避けるように形成され、歯の形態、歯肉の豊隆の付け方も現在のレジン床義歯と比較して遜色がありません。前歯部の被蓋関係や上下顎前歯の歯冠幅径の割合も正しく計算されていて、上下顎の義歯を噛ませると、左右中切歯から第一小臼歯まで上下歯列が正しく咬合しています。緻密で精巧な職人の技は驚嘆に値します。

木製つぎ歯

作者 作者不明
年代 江戸後期(1780年~1868年)

現存する世界唯一のつぎ歯。歯冠と合釘を別材で調整した木製つぎ歯は、化政年間(1804年~1830年)に、横山傳蔵(初代および二代)によって創案され、合釘は乾燥木材の吸水による体膨張によって保持されるしくみになっている。さらに、金属線が歯冠から合釘に通して打ち込んであり、合釘の離脱を防ぐとともに舌側面の裏装の役目も果たしている。(本山佐太郎氏 所蔵品)

源氏後集余情 第14巻

作者 歌川豊国(三代目)
年代 安政4年頃(1857年頃)

耳だらい、うがい茶碗、歯みがき粉入れ、両房付きの房楊枝(ようじ)を持って、歯をみがく。

美人十容 町屋の囲

作者 喜多川歌麿
年代 天保5・7年(1834年・1836年)

お歯黒した後に紅づけ茶碗を持って紅筆で唇を塗っている。

東京医科歯科大学病院 医科(医系診療部門)

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