3.顎関節症の原因
今の考え方 〜多因子説へ〜
原因の単一説から多因子説へ
以前は病気を引き起こす原因はそれぞれ対応する1つしかないと考えられてきました.(単一説)しかし,医学の進歩とともに病気の原因は1つには限定できないということがわかってきました.多くの因子が病気の発症に関与し,その一つ一つの因子だけでは病気を引き起こすことはできないというのが多因子説です.
顎関節症ではかみ合わせや,ストレス,歯ぎしりが原因ではないかと研究がされてきました.しかし,いろいろな顎関節症の症状を1つの原因で説明することは難しいことがわかってきました.そこで,顎関節症を引き起こす原因には様々なものがあり,個々の患者さんにおいてもそれらの組み合わせが異なるのではないかと考えるようになったのです.
つまり,顎関節症はある一つの原因によって引き起こされる病気ではありません.いくつもの因子が積み重なって,顎関節症の症状を生じさせます.一人一人の患者さんでどのような因子が寄与しているかは異なります.たとえば,それはかみ合わせであったり歯ぎしりや食いしばり,精神的な問題,社会活動や人間関係であったりします.様々な要因が顎関節や筋肉に悪い影響を与えている可能性があります.