硬組織構造生物学分野 last updated 2021/10/02

田 畑  純   Makoto J.TABATA, Ph.D
Makoto J Tabata ■研究
歯のかたち づくりの謎を解くた めの研究をしています。

1990年代は培養系と分子生物学的手法を使って細胞や遺伝子をターゲットとした研究をしていましたが、2000年代から、研究の基盤を組織学に置くようになりました。

誰かに習うわけではなく、手探りで進めてきましたので、組織学の修得にはずいぶんと時間がかかりました。最近やっと自分のものになってきたと 思いますが、それは、多くの講義と実習を担当し、多くの組織標本づくりに取り組み、多くの本を書いてきたおかげでしょう。

現在の研究テーマは大きく4つあります。

(1) 歯胚の発生研究
(2) エナメル芽細胞の分化研究
(3) 魚鱗を用いた硬組織の構造や進化の研究
(4) さまざまな動物の歯 や口腔の比較解剖学

2010年には宇宙実験も行いました。実習用の標本作製と管理も しています。
主要論文は、NIH の PubMedで 見ることができます。東京医科歯科大学の研究者情報DBはこ ちら

■好きな言葉
むずかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをおもしろく
おもしろいことをまじめに
まじめなことをゆかいに
ゆかいなことをいっそうゆかいに (井上ひさし)

ひょっこりひょうたん島




■メッセージ
教科書はわかっていることだけをうまくつないで書いています。だから、教科書のレベルでとどまっていると、歯のことはあたかもほとんどわかっていると思い 違いをしてしまいます。

でも、本当のところ、歯の世界はまだまだわかっていな いことが多いの です。

ヒトの歯は 32本(智歯をのぞくと28本)あり、それぞれで固有のかたちをしていますが、そのか たちがどのように出来るのかはよくわかっていません。発生の大まかな手順はわかっているけれど、例えば咬頭(歯の尖った部 分)の数がどのように決まるのか、その場所や大きさがどのように決まるのかがわかっていませんし、 そもそも歯の数や配置がどのように決まるのかといったことさえ、よくわかっていないのです。

それから、動物の 歯を見ると、ゾウの牙、ゾウの臼歯、イヌの裂肉歯、 ヘビの毒牙、 カンガルーの有管エナメル質、ウマの歯冠セメント質など、 不思議な歯や歯質があります。歯の起源もわかっていなくて、歯とウロコ の関係を知りた いと思いますし、顎関節の進化も 興味深い テーマです。

私にとっ て歯の発生や進化は謎だらけです。新しい謎を見つける度にわく わくしています。
一緒に謎解き(=研究)をしてくれる若い 方がいれば歓迎します。

■教育

組織学と口腔組織学の講義と実習を主として担当しています。生理学、発生学、細胞学、解剖学、進化学など関連す る事項を上手に盛り込む授業を心がけています。ただし、 教える時には、必要なことをいかに絞り込むかも大事です。この相反する二つのバランスをどうとるかが、 授業計画をたてる時や、教材づくりや教科書執筆をする時に苦心することです。

どのような分野の職業であれ、一人前になるというのは大変なことです。謙虚な気持ちで周りの人からいろいろなことを常に学ぼう とする、 そういう人を育てたいと思います。

■略歴

1961年
昭和36年
4月
28日東京渋谷区の生まれ*。

1965年
昭和40年
3月
北九州市へ引っ越す。

1980年
昭和55年
3月 福岡県立小倉高等学校卒業

1985年
昭和60年
3月 九州大学理学部生物学科卒。
発生生物学講座(山名清隆教授)

1992年
平成 4年
3月
広島大学総合科学部(大学院生物圏科学研究 科)で学位 取得。
細胞・発生生物学講座(天野實教授)


記念文集「私の広大時代」よ り、「私の広大時代」
YouTube動画、「天野實先生を偲ぶ会−天野先生のキセキ(前)」
YouTube動画、「天野實先生を偲ぶ会−天野先生のキセキ(後)」



5月 大阪大学歯学部助手。
口腔解剖学第1講座(栗栖浩二郎教授)


備忘録より、「1.17 阪神淡路大震災の記録」
「栗栖浩二郎教授退官記念業績集」より、「九年一日の ようにすぎて」


1996年
平成 8年
10月
ヘルシンキ大学生物工学研究所で文部省在外研 究員(1 年)。
発生生物学プログラム(Irma Thesleff 教授)


阪大Now No.26 より、「フィンランドでの生活とイルマ・テスレフ教授」

2001年
平成13年
7月
鹿児島大学歯学部助教授。
口腔解剖学第1講座(植村正憲教授)

2007年
平成19年
2月
東京医科歯科大学歯学部助教授(4月より改称 されて准 教授)。
硬組織構造生物学分野(高野吉郎教授)


教室備忘録より、「3.11 東日本大震災の記録」

*父母が鹿児島出身なので、DNA的には完全な鹿児島人。言葉は小倉弁、博多弁、広島弁、関西弁などが混ざってい ます。

■最近の論文

Notani T, Tabata MJ, Iseki H, Baba O, Takano Y: Introduction of a three-dimensional and layered (TDL) culture, a novel primary co-culture method for ameloblasts and pulp-derived cells.  Arch. Histol. Cytol. 72: 187-198 (2009)

田畑純,小椋幹記,竹原重信,五月女さき子、瀬戸口尚志,宮脇正一:ローカル・エリア・ ネットワーク(LAN)を利用して 同期と制 御を 行う OSCE進行プログラム"Dolphin".歯科医学教育学会誌 22(3): 289-295 (2006)

Suzuki, N., Tabata, M.J., Kambegawa, A., Srivastav, A.K., Shimada, A., Takeda, H., Kobayashi, M., Wada, S., Katsumata, T. and Hattori, A.: Tributyltin inhibits osteoblastic activity and disrupts calcium metabolism through an increase in plasma calcium and calcitonin levels in teleosts. Life Sci., 78: 2533 - 2541 (2006)

Yoshikubo H, Suzuki N, Takemura K, Hoso M, Yashima S, Iwamuro S, Takagi Y, Tabata MJ, and Hattori A.  Osteoblastic activity and estrogenic response in the regenerating scale of goldfish, a good model of osteogenesis.  Life Sci. 76:2699-2709 (2005)

Fujiwara N, Tabata MJ, Endoh M, Ishizeki K, and Nawa T.  Insulin-like growth factor-I stimulates cell proliferation in the outer layer of Hertwig's epithelial root sheath and elongation of the tooth root in mouse molars in vitro.  Cell Tissue Res. 320:69-75 (2005)

Tabata MJ, Matsumura T, Fujii T, Abe M, and Kurisu K: Fibronectin accelerate the growth and the differentiation of ameloblast-lineage cells in vitro. J. Histochem. Cytochem. 51: 1673-1679 (2003)

Shibaguchi T, Kato J., Abe M, Tamamura Y, Tabata MJ, Liu J-G , Iwamoto M, Wakisaka S, Wanaka A, and Kurisu K: Expression and role of Lhx8 in murine tooth development, Arch. Histol. Cytol. 66:95-108 (2003)

■最近の総説など
Ashley-Montagu, M. F. (訳:坂口もも子、田畑純).新生児における口蓋のかたちと大きさ.赤 ちゃん歯科ネットワーク, 5:79-87 (2019)
田畑純、 杉浦−仲里真琴、角田佳折.臨床の Question, 基礎のAnswer (その2).赤ちゃん歯科ネットワーク, 5:54-63 (2019)
田畑純、山本智子、角田佳折.喉頭・咽頭 の立体紙模型.赤 ちゃん歯科ネットワーク, 5:47-53 (2019)
角田佳折、田畑純.喉頭・咽頭の機能解剖 学.赤 ちゃん歯科ネットワーク, 5:37-46 (2019)
田畑純、角田佳折. 立体紙模型で学ぶ喉頭と咽頭のかたち.小児歯科臨床, 23(12):86-89 (2018)
田畑純.新十二歯考:十二支でめぐる歯のかたちづくり. (連載)

 
(1) 子:木の実を囓る  歯界展望 130(4) 773-779 (2017-10) 

(2) 丑:草を喰む 歯界展望 130(5) 1005-1009 (2017-11)

(3) 寅:肉を食らう 歯界展望 130(6) 1213-1218 (2017-12)

(4) 卯:重歯で咀む 歯界展望 131(1) 177-181 (2018-1)

(5) 辰:究極の歯 歯界展望 131(2) 383-389 (2018-2)

(6) 巳:獲物は丸呑み 歯界展望 131(3) 573-579 (2018-3)

(7) 午:歯の皺を読む 歯界展望 131(4) 747-752 (2018-4)

(8) 未:毛と角のはなし 歯界展望 131(5) 935-941 (2018-5)

(9)
申:手を使う
歯界展望 131(6) 1247-1253 (2018-6)

(10) 
酉:嘴で啄む
歯界展望 132(1) 197-202 (2018-7)

(11)
戌:爪と牙で闘う
歯界展望 132(2) 421-427 (2018-8)

(12)
亥:まるで十徳ナイ フ 
歯界展望 132(3) 647-653 (2018-9)

(13)
人:おいしく食べる
歯界展望 132(4) 737-746 (2018-10)

石田房枝、角田佳折、田畑純.臨床の Question, 基礎のAnswer.赤ちゃん歯科ネット ワーク, 4:33-41 (2018)
田畑純、坂口もも子、牛村英里、杉浦真琴.四大組織の発生学.赤ちゃん歯科ネットワーク, 4:24-32 (2018)
田畑純、杉浦真琴、牛村英里.顎の進化を考える―ヒトとサメの比較から― 赤ちゃん歯科ネットワーク, 3:57-69 (2017)
田畑純: シーラカンスのウロコと小歯構造の謎. 遺伝 68:238-244  (2014)

田畑純、鈴木信雄、服部淳彦:魚鱗:硬組織研究と再生研究のフロンティア. 細胞 39: 55-57 (2007)
田畑純,近藤信太郎:咬頭はどのようにしてできるのか ―歯の発生・変異・進化と分子メカニ ズムからの考察―. Anthropol. Sci., 114: 57-62 (2006)
鈴木信雄、田畑純、和田重人、服部淳彦:魚のウロコを用いた新しい骨モデル系の開発と歯科医療への応用. デンタル・ダイ ヤモンド 2006年10月号74-79 (2006)

田畑純. 外胚葉異形成症の原因遺伝子と歯の発生における役割.  鹿大歯学部紀要, 24: 53-61 (2004)

田畑純. 歯の発生初期の分子機構. Clinical Calcium,13: 628-633  (2003)


■著書
【教 科書】
バーチャルスライド口腔組織学
田畑純・杉浦真琴
「バーチャルスライド口腔組織学」
羊土社 2021

総論・各論・口腔組織の3部構成で、掲載スライドをすべてバーチャル化。Google Earth のような操作感で組織切片を観察できます。口腔組織としては、歯、歯周組織、口蓋、舌、喉頭、扁桃、顎関節、歯の発生、歯の交換などを網羅。
口腔の発生と組織 4版 田畑純・角田佳折
「口腔の機能と解剖」
南山堂 2021

解剖の本でありながら、写真やリアルな図ではなく、手描きの模式図で構成。脳神経、神経節、嚥下のしく み、口蓋・咽頭・喉頭の構造などは詳述。講義・実習から、CBT、国試対策までこれ1冊で カバー。南山堂HPで 試読ができます。
口腔の発生と組織 4版
田畑純
「口腔の発生と組織」 改訂4版
南山堂 2019

好評だった第3版の改訂版。エナメルや象牙質の特異的タンパク質と加 齢について加 筆。発生も大幅に加筆し、多数の図やコ ラムを入れ替えています。南山堂HPで 試読と電子版の購 入もできます。正誤表 はこちら

イラストでわかる歯科医学の基礎 3版
村上 秀 明、西村 康、天野修 監修
「イラストでわかる歯科医学の基礎」第4版
永末書店 2021

衛生士向けの教科書。私は、1章16節「加齢と老化」、2章6節 「口腔と顎顔面の発生と加齢」の2箇所を担当。3版よりも高密度化しています。

【旧 版・ 絶版】
口腔の組織と発生 第3版 田畑純編著
「口腔の発生と組織」 改訂3版
南山堂 2015

2版は多数の著者からなる本でしたが、こ れをひとりで改訂。全ての図を描き直 し、文章も大きく加筆・修正。共用試験CBTや国試にも使える 内容を目指しました。ネットでは「神本」との評価をい ただきまして、ちょっとびっくりいたし ました。
口腔の組織と発生 第2版 栗 栖浩二郎ほか
「口腔の発生と組織」 第2版
南山堂 1998

組織写真を使わず、図説のみで組織学を学べる入門書。私の分担はわずか2ページでしたが、その後のさま ざまな書籍執筆の原点となりました。
イラストでわかる歯科医学の基礎 3版 渕端孟、 祖父江鎮雄、西村康、村上秀明監修
「イラストでわかる歯科医学の基礎」第3版
永末書店 2016

2章8節の「口腔と歯の発生」を担当。歯 科衛生士学校の教科書ですが、入 門書としても好適です。


【い ろいろ】
鱗の博物誌
田畑純・遠藤雅人・塩栗 大輔ほか
「鱗の博物誌」
グラフィック社 2020

全体を構成。主に「魚類の鱗」の総論、各論中トビラを執筆。写真、図表も多数提供。一 般書でありながら、きわめて専門的なことに触れています。多数の鱗写真が圧巻。

新十二歯考:十二支でめぐる歯の比較解剖学 田畑純
「新十二歯考:十二支でめぐる歯の比較解剖学」
医歯薬出版 2020

十二支の動物を使って、さまざまな動物の歯と咀嚼のしくみを紹介。高度な内容ですが、 写真と模式図をふんだ んに使って説明しています。
歯の比較解剖学 第2版 医歯薬出版 後藤 仁敏・大泰司紀之・田畑純・花村肇・佐藤巌編
「歯の比較解剖学」 第2版
医歯薬出版 2014

魚類から哺乳類までの歯の多様性と進化を俯瞰できる。6章2節「遺伝子からみた歯の進化」を執筆。
歯科に役立つ遺伝学 葛西・近藤編
 「歯科に役立つ遺伝学」
わかば出版 2014

第II章「歯のデザインを決めるもの」を 執筆。
喉頭・咽頭の紙模型 田畑純
「喉頭・咽頭の立体紙模型」
オフィスTB 2018

作りながら、喉頭と咽頭のかたちや立体的な配置が理解できる紙工作のキットです。購入 はオ フィスTBのサイトから。説明動画 やQ&Aなど もあります。
身近な動物を使った実験 鈴木 範男 編
「身近な動物を使った実験〈1〉ホヤ・メ ダカ・ゼブラ フィッシュ・キンギョ・カエル」
三共出版 2009

キンギョの項を執筆。図と写真のほとんどを提供。

【趣 味】
日本時空写真館 二村 正之
「ニッポン時空写真館1930-2010」
誠文堂新光社 2010

田畑休八の名で写真とキャプションを提供。
クラシックCD 異稿・編曲のよろこび
近藤健児ほか
「クラシックCD異 稿・編曲の よろこ び」
青弓社 2007

田畑休八の名でムソルグスキーの項を 執筆。


■個人HP
休八ホームページ  http://kyu-hachi.sakura.ne.jp/

フィンランド滞在記(1996-1997年)から始まったHPです。自作ソフトの紹介ページ、カメラと写真の趣味のページ、「展覧会の絵の展 覧会」など、私の興味がまとめてあります。

休八(きゅうはち)というのは、私の一族で家長が代々受け継いできた名前です。20代の頃、叔母に「あんたも世が世なら休八 よ」と言 われたことをきっかけに自分の一族のことに興味を持つようになり、休八という名前を使うようになりました。1990年頃のパソコン通信時代から長く使用し ている私のハンドルネームであり、ソフトを作る時や趣味の本を書くときのペンネームです。
■ミドルネームのこと
私は、英語表記の際に、M.J.Tabata とします。日本人で、M.Tabataさんは案外多く、自分の名前が区別しやすいようにと考えて、こういう表記にしました。実は4年生(卒論)の時にお世 話になった先生が、論 文を 書くようになったらミドルネームをつけなさい、と勧めてくれました。それで、私の名前「純」は「まこと」よりも「じゅん」と読まれることが多いので  Junをミドルネームとしました。また、次のような例も参考にしました。

例1:久保田 洋(くぼたひろし)  Hiroshi Y. Kubota
例2:岡田 節人(おかだときんど) Tokindo S. Okada

なお、論文に記する名前は、本名でないといけないというルールはありません。ペンネームでもOKなん だそうです。また、女性研究者だと、結婚しても旧姓を使い続ける人や、旧姓と新姓をハイフンでつないで使う人を結構よく見ます。欧米人などでは、ミドル ネームをたくさん持っていることがあり、適当に自分で選んで(数を減らして)名乗っているようです。私の知り合いでは、両親が離婚し、母 方に育てられたという者がおりましたが、その者は父がつけてくれたというファーストネームを嫌い、母がつけてくれたというセカンドネーム をいつ も使っていました。こういうのもありですね。

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