硬組織構造生物学分野
last updated 2019/12/12

魚類を使った宇宙実験 Space Experiments using Fish


ISS

2010年にキンギョを用いた宇宙実験 Fish Scalesが 実施されました(田畑)。
2012年にはメダカを用いた宇宙実験 Medaka Osteoclastも実施されました(高 野)。

どちらも国際宇宙ステーション(ISS)に設置された日本の宇宙実験棟 "きぼう"で行われた微小重力下での骨代謝実験です。そして、いずれも成功裏に宇宙実験が終了し、現在、その成果をまとめているところです。概要を以下に 紹介します。



■1.Fish ScalesUroko

「宇宙空間における骨代謝制御:キンギョの培養ウロコを骨のモデルとした解析」

金沢大学の鈴木信雄先生、東京医科歯科大学の田畑純(当分野)、服部淳彦先生(教養部)の3人を中心として実施されました。

キンギョから抜いたウロコを無菌にして、専用培養器に入れて、宇宙へあげ、"きぼう"船内実験室内の細胞培養ユニットで培養し、微小重力 下で 起こる骨形成異常の細胞形態と遺伝子発現の変化、新規薬物による効果の有無を調べました。

キンギョは大和郡山で作られた系統のヤマトです(写真1)。実験には、東京海洋大学の遠藤雅人先生(海洋科学部)が人工繁殖で同腹個体を 大量 に 作り、これを選抜して、約300匹用意しました。

キンギョの飼育とウロコの準備は、東京医科歯科大学のM&Dタワー8階に設置されたウロコラボ(写真2)で行われました。ウロコ ラボの運用は田畑が行い、歯学部4年生のボランティア6名(西井直人くん、北村智久くん、中野崇文くん、馬場優里さん、柳綾香さん、三上 理沙子さん)がサポートしてくれました(写真3)。

2010年5月14日
、スペースシャトル・アトランティ スの ミッション STS-132 で宇宙実験用のウロコが打ち上げられました(写真4)。

ISS では、野口聡宇宙飛行士によって培養実験が行われました。実験の最終日は、JAXA筑波宇宙センター内の管制室 で鈴木・田畑・服部がモニターすることができ、状態のチェックなどを行いながら、作業をすすめてもらいました(写真5)。

2010年5月26日、スペースシャトル・アトランティス STS-132で、実験に使ったウロコ達が帰還しました(写真6)。フロリダのケネディ宇宙センター内にもラボを設置しており、そこで田畑らが試料を受取 り、すぐに状況 を確認して追加の処置を行いました。試料は JAXAの手で日本まで運ばれ、つくばにて我々グループへ引き渡され、解析を開始しました。

プロジェクト・マーク(右)は田畑のデザインです。さらに詳しい情報を知りたい方は JAXA のページへ

yamato
Uroko Lab.
Uroko club
写真1 キンギョ(ヤマト)
写真2 ウロコラボ
写真3 実験サポートの歯学部4年生たち
STS-132
                    launch
Tsukuba
STS-132
                    Landing
写真4 アトランティス STS-132の発射
写真5 JAXA筑波宇宙センターで 写真6 アト ランティス STS-132 の帰還

TV取材
SPACE@NAVI-Kibo (No107) 「Fish Scales」, JAXA, 2010年6月23日ネット配信
講演
池亀美華: 微小重力に対するウロコの破骨細胞の応 答:国際宇宙ステーションにおける宇宙実験.第53回歯科基礎医学会・サテライトシンポ10(岐阜市)2011年9 月
田畑純: 歯からウロコへ、そして宇宙へ. 赤ちゃん歯科ネットワーク・第20回例会講演(浅草)2017年4月
田畑純: 宇宙ではどうして骨がもろくなるのだろう? 〜目からウロコの僕らの宇宙実 験〜. 橿の木会・さわやか歯科セミナー・こども向け講演(橿原市)2017年8月
田畑純: 重力のありがたさ 〜キンギョのウロコの宇宙実験による骨代謝の解析研 究〜.橿の木会・さわやか歯科セミナー・歯科医師向け講演(橿原市)2017年8月
田畑純: 歯からウロコへ、そして宇宙へ.九州歯科大・大学院セミナー 2017年 12月
田畑純: 鱗を用いた宇宙実験:微小重力下における硬組織の変化九州歯科大・最新生命 科学 2019年11月
論文
Ikegame M, Hattori A, Tabata MJ, et al.  Melatonin is a potential drug for the prevention of bone loss during space flight. J. Pineal Res. 67 312594 (2019)  DOI 10.1111/jpi.12594



■2.Medaka OsteoclastMedaka Osteoclast

「メダカにおける微小重力が破骨細胞に与える影響と重力感知機構の解析」

東工大の工藤明先生(代表)と当教室の野吉郎先生の共同プロジェクトです。蛍光タンパク質で破骨細胞と骨芽細胞の両方を識別できるダブル・ トラ ンスジェニック・メダカを用いて(写真1)、破骨細胞と骨芽細胞の相互作用も含め、宇宙における骨代謝を解析しました。

メダカを生きたまま宇宙に運び、ISSの中で飼育するという大がかりな実験でした。新たに飼育水槽が開発され、2012年7月21日発射の HIIB のHTV3 (こうのとり3号)でISSまで運ばれました(写真2)。メダカは、2012年10月23日発 射のソユーズ TMA-05M によってISS に運ばれました(写真3)。

ISSでは、星出彰彦宇宙飛行士によって長期飼育実験と短期観察実験のふたつが行われました。実験は無事に終了し、2012年11月11日 に短期観察実験の試料がソユーズ TMA-05Mによって帰還(写真4)。長期観察実験の試料は翌2013年3月26日に 民間の宇宙 ロケットサービス、Space X によって帰還しました(写真5)。

試料は JAXA の手で日本まで運ばれ、つくばにてグループへ引き渡され、解析が開始されました(写真6)。
さらに詳しい情報を知りたい方は JAXA のページへ

メダカ
HIIB
Soyuz TMA-05M
写真1 ダブル・トランスジェニック・メダカ 写真2 HIIB + HTV3の発射
写真3 ソユーズ TMA-05Mの発射
Soyuz
                  TMA-05M
Space X
Medaka-members
写真4 ソユーズ TMA-05M の帰還
写真5 Space X の帰還 写真6 帰還サンプルの受取り
*このページに掲載のシャトル、ISS、ソユーズ、HIIB などは、NASAとJAXA の公開写真の転用です。

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