保健計画・管理学

Division so heslth planning and Administration

教授 眞野喜洋

助手 １名 大学院生 ８名

教育上の特徴

教育上の任務として、当教室は２つの課題を持っている。ひとつは、医療職としての看護婦・臨床検査技師が、医療技術の当面する課題に対してチーム医療の一員としての技量を提供するだけでなく、client の健康の維持管理の積極的推進者としてチーム内においてリーダーとしてその技術・能力を発揮できる資質を習得させることである。 21 世紀の健康づくりの実践的手法として、とくに環境生理学的アプローチを指導している。 また、保健医療従事者は、今後わが国が超高齢社会を迎えるにあたり保健医療福祉面における的確な展望を持ちつつ行動しなければならないことはいうまでもないが、保健行政、社会保障制度・法体系ならびに保健統計等広範囲にその過去・現状・将来展望について教育することにより、将来の保健医療を積極的に前進させていく能力を習得させることも課せられている。このことは、日常的には、clientの経済的社会的背景を的確に把握し全人的に support することを可能にし、また、client を支える netwark づくりの中心として機能できる保健医療従事者を養成することにもなる。

当教室は看護学専攻の分野に所属しているが、医学科や検査技術学専攻の学生・院生にとってもその研究面で利用できる種々の検査測定装置（ガスクロマログラフィー、ILメータ、ME計測装置、運動代謝計測装置、ESR 装置、恒温室実験装置等）や環境計測器機を有しており、これらの装置も高圧酸素治療室と共に医学科の教室ならびに研究生や保健衛生学科の学生および院生の実習等にも利用されている。

研究上の特徴

（１）研究テーマとしては、運動処方の価値体系・酸素の健康に占める課題等が主要なもので、特に高圧酸素療法を通して、酸素毒性・フリーラディカルとその消去酸素群の反応などの基礎研究の行っている。高圧酸素療法は、医学科のみならず、歯学科の難治性骨髄炎治療などにも門戸を開放しており、当研究室で所有管理している高気圧酸素治療装置は全学的に利用されている。したがって、高圧酸素療法の適応疾患のチェック、適応の限度についての研究、ESR による酸素毒性や SOD 活性などの分析と共に有酸素運動や酸素富加ガス吸入による健康への影響や加令現象に関する研究などが主たる内容となっている。

（２）健康管理も研究範囲にあり、健康診断とその事後指導・受領行動など健康診断と健康管理に関する諸問題、ならびにそれと関連して健康教育の効果判定なども視野に入れている。特に学校保健、産業保健など地域社会における集団に対する健康管理に力点が置かれており、将来の産業保健婦（士）をめざす学生が大学院へ進級してくる傾向にある。我が国にはまだ制度としての産業保健スペシャリストは存在せず、企業や社会に対する健康管理学や保健計画管理学の修業の実践やその技法の検討も当教室における主要テーマの一つである。

［原 著］

1) Yamami N, Shimaya k, Sera A.M, Fujita H, Shibayama M, Mano Y, MaruyamaM, Mihara H : Alteration of fi brinolyticactivity in human during and afterhyperb aric oaygen exposure . Applied human science 15.199 6.239-242.

2) Mitamura T, Matsuno T, Sakamoto S, Maemura M, Kudo H, Suzuki S, NakayamaT, Nagasawa H: Effect of a new clerodane diterpenoid isolated from propolison chemically induced skin tumors in mice . Anticancer research.1996.Vol.16,2669-2672.

3) Sassa S, Shinoda H, Kudo H, Suzuki S, Sassa S, Yoshimura S, MaemuraM, Nakayama T : effect of estrone with or without medroxyprogesterone acetateon the femur in aged rats . in vivo.1996.Vol.10,455-458.

4) Sakamoto S, Kudo H, Suzuki S, Sassa S, Yoshimura s, Nakayama T, MaemuraM, Mitamura T : 1-(2-tetrahydro furyl)-5-fluorouracil in combination withuracil suppresses mammary carcinogenesis and growth of tumors induced with7,12-dimethylbenz[a]anthracene in ra ts.Anti-cancer drugs,1996,Vol.7,199-203.

3) 高橋正好，眞野喜洋，芝山正治，山見信夫：酸素マスクの安全評価 −過激な運動条件下での二酸化炭素吸収特性−. 産衛誌. 1996;38:149-155.

4) 眞野喜洋：講座 労働衛生保護具 第3回−呼吸保護具の生理学−. 産業医学ジャーナルVo.19 No.4

5) 山見信夫，芝山正治，水野哲也，中山徹，高橋正好，梶原龍人，眞野喜洋 :スポーツダイバー（SCUBA）障害の対応， スポーツ医とスポーツダイバーの連携.日本臨床スポーツ医学会誌.1996;4.34-35

6) 山見信夫，芝山正治，世良瑞昭アントニオ，高橋正好，中山徹，遠藤立一，川嶌眞人、中村辰男，眞野喜洋：ダイバ ーおよび圧気土木産業者の健康診断.産業衛生学雑誌.1996;38.23-29.

7) 山見信夫， 眞野喜洋，芝山正治，中山晴美，石井通夫，阿部慎太郎，高橋正好：混合ガス潜函のハードウェアーとその安全確保，日本高気圧環境医学会雑誌,1996,31,21.

8) 山見信夫，眞野喜洋，芝山正治，高橋正好，水野哲也，中山晴美，中山哲夫，平林和也，富田絵津子，梶原龍人: フィンスイミング日本選手権出場者の潜水に関する障害，日本高気圧環境医学会雑誌,1996.31.36

9) 山見信夫，富田絵津子，眞野喜洋，芝山正治，水野哲也，高橋正好，野村武男，峯岸信正，田村宏，中澤洋二，吉澤 俊治，梶原龍人: 日本臨床スポーツ医学会誌,1996.4.83.

10) 眞野喜洋，芝山正治，山見信夫，水野哲也，高橋正好，中山徹，遠藤立一，: 潜水で用いる自動減圧計によって発 症した減圧症について，日本衛生学雑誌,1996.51.159.

11) 水野哲也，湯浅保仁，芝山正治，山見信夫，眞野喜洋 : 医・歯学系学生の体力に関する研究，日本衛生学雑誌,1996.51.403.

12) 芝山正治，山見信夫，内山めぐみ，東美奈子，中山徹，中山晴美，高橋正好，水野哲也，眞野喜洋: レジャーダイバーの高気圧障害に関する実態調査 その１ ダイビングコンピューター，日本高気圧環境医学会雑誌，1996.31.36.

13) 眞野喜洋，芝山正治，山見信夫，内山めぐみ，東美奈子，中山徹，中山晴美，水野哲也，高橋正好: レジャーダイバーの高気圧障害に関する実態調査 その２ 減圧症と高所移動 日本高気圧環境医学会雑誌,1996.31.37.

14) 本間健 : 大紫胡湯が有効であった咽喉頭異常感症の一例 日本東洋心身医学研究,1996.VOL11.97-100.

15) 三田村匡，坂本忍，工藤秀機，鈴木敏恵，前村匡，中山徹 : 乳腺組織病理組織像とDNA合成系酵素活性，医学と生物学,1996.Vol.133.No.2,57-59.

16) 三田村匡，坂本忍，工藤秀機，鈴木敏恵，前村匡，中山徹， : 乳癌臨床病理とDNA合成系酵素活性，医学と生物学，1996.Vol.133,No.2,61-64.

［総 説］

1) 山見信夫，芝山正治，水野哲也，高橋正好，眞野喜洋：ダイバーのための緊急電話相談に寄せられた減圧症の特徴.臨床スポーツ医学1996;Vol,13,No6:691-693.

2) 眞野喜洋：講座 労働衛生保護具 第3回呼吸保護具の生理学. 産業医学ジャーナル 1996;JulyVol.19,No4:20-26.

3) 眞野喜洋：海の事故 ホスピタウン 日本医療企画 1996;8:16-17.

4) 眞野喜洋：ダイビング事故とメディカル・チェック 訴えの 80 ％以上は耳の症状.日常診療のための日経スポーツメディシン’97 特集 2 33最近のスポーツ事故1996;44- 49.

［著 書］

1) 山見信夫：ダイビングコンピューターの正しい使い方. Divers Alert Networkof Japan.1996.10.2-4.

2) 山見信夫：DAN Japanホットラインの現状と事例分析. レジャーダイビング安全講習会講演集 （財）日本海洋レジャー安全振興協会.1996.1.10-17.

3) 芝山正治，山見信夫，眞野喜洋：ダイビングと耳管機能 JOHNS 1996.12.347-350.

4) 眞野喜洋：ＮＨＫきょうの健康 働く人のためにストレス解消の工夫.（財）保健会館.1996. 1-52.

5) 眞野喜洋，関邦博，野村武男，山崎昌廣（翻訳）：NOAA（アメリカ海洋大気局）Divingmanual.（財）社会スポーツセンター 東京図一覧第1章〜 20.表のリスト第1〜20章

［学 会］

1) Yamami N, Mano Y, Shibayama M, Fujita H, Sera A.m, Kawashima M, KitanoM, Takahashi, Nakayama H, Nakayama T: Hypobaric exposure after diving anddecompression sickness on emergency calls of Divers Alert Network in Japan.Undersea& Hyperbaric Medicine1996. 23.58.

2) Mano Y, Yamami N, Shibayama M, Nakayama T, Kawashima M, Tsunosue T,:The choice of treatment tables against type two decompression sickness(DCS).Undersea& Hyperbaric Medicine.1996.23.15.

3) Mano Y, Yamami N, Shibayama M, Nakayama T, Kawashima M, Tsunosue T:Evaluation of recent caisson work by tri-mixed gas supply.Undersea &Hyperbaric Medicine.1996.23.58-59.

4) 眞野喜洋 ：潜水で用いる自動減圧計によって発症した減圧症について 日本衛生学会，札幌,1996.

5) 眞野喜洋 ：特別講演「異常圧力環境の生理学」日本生理人類学会第36回大会，米子,1996.

6) 眞野喜洋，芝山正治 ：第31回日本高気圧環境医学会総会，前橋テルサ,1996.

7) 眞野喜洋 : 21世紀東京新聞フォーラム「海の夢をめぐって」. イイノホール,1996.

8) 眞野喜洋 : 無重量環境試験設備の再圧設備要員訓練に係わる. 宇宙開発事業センター,1996.

9) 芝山正治，眞野喜洋，山見信夫，吉田昭彦 : 潜水用半閉鎖式呼吸器の安全性について.呼吸保護に関する研究発表，東京医科歯科大学,1996.

10) 高橋正好，眞野喜洋，山見信夫，芝山正治 : 呼吸保護と精神作用. 呼吸保護に関する研究発表会，東京医科歯科大 学,1996.

11) 眞野喜洋 : 酸素と呼吸保護. 呼吸保護に関する研究発表会，東京医科歯科大学，1996.

［研究助成金］

1) 眞野喜洋，芝山正治，中山徹 : HBO（高気圧酸素療法）下における酸素毒性の評価に関する研究.平成8 年度科学研究補助金（基礎研究 C 一般）

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