pLaTeXによる大判ポスターの作り方
とある国際会議でポスター発表することになり,折角,当時(2007年秋)の所属専攻に大判プリンタがあったので,一度TeXで大判ポスターを作ってみようと,ウェブ検索して情報収集したことを,まとめてみました。
すでにいくつかのサイトに説明がありますが,私が参考にしたサイトはこちら:
- LaTeX で大判ポスターをつくる - 外圏Wiki (弘前大学大学院理工学研究科 葛西 真寿 さんのサイト)
- A0 Poster (中華民國國立中央大學天文研究所 木下 大輔 さんのサイト)
以下に僕がポスターを作成したときの手順を紹介します。
レイアウトを考える
学会などのポスター発表は,A0版のポスターを用意することが多いようです。文字はある程度大きい方が見やすいですね。TeXでA0サイズを作ることもできますが(上記サイト参照),僕はA3サイズで作って,それをA0サイズに拡大印刷することをお薦めします。例えば,
- A3サイズに10ptの文字でテキストを書いて,A0サイズに拡大すると・・・約2.8倍に拡大されるので,テキストは28ptくらいになります。
- A3サイズを横置きにして,テキストの文字サイズを12ptにして,2ページ書いて,それぞれA1サイズに拡大すると・・・2倍に拡大されるので,テキストは24ptくらい,用紙はA1サイズ2枚でA0サイズ1枚分になります。
ちなみに,僕が作ったポスターの場合,A3サイズ横置き2ページにして,3段組にして,テキストを10ptで書きました。A1サイズに拡大すると,テキストは20ptくらい,用紙はA1サイズ2枚でA0サイズ1枚分になります。ちょっと詰め込み過ぎの感はありますが…
pLaTeXでソースを書く
プリアンブルはこんな感じ。
\documentclass[10pt,fleqn]{article} \usepackage[a3paper,landscape,vmargin=1.0cm,hmargin=1.5cm]{geometry} \usepackage{amsmath,amssymb,amsfonts,latexsym,amsthm} \usepackage[dvipdfm]{graphicx} \usepackage{mediabb} % mediabb.sty by iNOUE Koich! @Musashi-tech.ac.jp \usepackage{color} % black, white, red, green, blue, cyan, magenta, yellow \usepackage{multicol} \setlength{\columnsep}{1.5cm} \setlength{\columnseprule}{0.2pt}
いくつか見慣れないパッケージ名があるかと思います。手元にない場合はウェブ検索すれば簡単に手に入ります(いい時代になりました)。
- geometryパッケージ:用紙サイズを比較的自由に設定できます。ただし,dvipdfmxでPDFに変換するためにA3用紙サイズ(a3paper)を選びます。横置き(landscape)もできます。
- mediabb.sty:PDF画像からbounding boxを読み込むために使います。(東京都市大学 井上 浩一 さん作 --> mediabb.styのページ)
- colorパッケージ:カラー設定できます。プレゼンでは今や必須アイテムでしょう。上のソースのコメントに書いたのはデフォルトで名前が決まっているもの。それ以外にもRGB指定して色を作ることもできます。例えば,
\definecolor{orange}{rgb}{1.0,0.5,0.5} \definecolor{lightgray}{rgb}{0.95,0.95,0.95} \pagecolor{lightgray} % ページの背景色を定義
- multicolパッケージ:多段組ができます。それも好きなところで組めます。
あとは,いつも通り,TeXソースを書いてください。 画像は,あとでPDFに変換することを考えると,PDFで用意するのが良いかと思います.
コンパイルする
platex <source>
レイアウトの調整をしましょう。
PDFに変換する
dvipdfmx -p a3 <source>
A3用紙サイズ指定を忘れないでください。横置きの場合は -l オプションも。
プリンタで印刷する
あとは,Acrobat Readerと大判プリンタがあれば,A0サイズでも印刷できますね。
近くに大判プリンタが無い場合は,大学生協やビジネスコンビニに外注しましょう。
完成例
ミニチュア版を掲載しておきます。
大御所の先生方からは「字が細かすぎる」と不評でした…
