生命科学特論B(平成21年度)
1年生前期に開講された「生物学基礎」では、生物学のごく基本的な枠組みを学んだ。この科目では、細胞に着目して、どのような物質からできているか、どのようにエネルギーを獲得しているか、どのように必要な物質を合成しているかをさらに詳しく学び、生きているとはどのようなことかを理解することを目標とする。
教科書は下記のものを指定する。なるべく教科書に沿って授業を進めるので、各自が適宜、該当する部分を読んで予習をし、講義が終わったら復習するような習慣をつけてください。
教科書:基礎からはじめる生物学・細胞生物学 和田 勝 羊土社 平成18年
参考書:エッセンシャル細胞生物学 Albertsほか 中村桂子ほか監訳 南江堂 平成11年
また、学生が自習できるように、「生命科学特論B」ホームページを設けてある。このページにアクセスして、カラーの図を楽しんでください。
●7月21日は、糖以外の代謝である、中性脂肪の代謝(特にβ酸化)とアミノ酸の代謝のお話をしました。前回お話した、キーとなる物質がまた出てきましたよね。また酵素の活性を調節することにより代謝経路の進行を調節していることを理解してください。ビデオで肝臓の働きを見ましたが、これは全体像を得るためのまとめのものだと思ってください。あの番組で出てきた様々な過程を、授業ではさらに詳しく学びました。後半は細胞膜の構造とそこに埋めこまれた膜タンパク質によって、細胞がどんな物質を取り込めるか、どんなホルモンの影響を受けるかが決まってくることも理解してくださいね。今回で8回の講義が終わりです。それでは試験を頑張ってください。
今日の授業の補足です。グルコースとステアリン酸の異化とATPの数を比較したとき、水が必要ないといって言い淀みました。第5回目のスライド20枚目を見てください。燃焼の場合は直接酸素による参加で、二酸化炭素と水が庄司案巣が、生体の中では、1モルのグルコースあたり6モルの水が必要で、12モルの水が生じるので、差し引き燃焼と時と同じように6モルの水が生じることになります。TCA回路を見てもらえると分かるように水が必要です。このことをすっと言えずに言い淀んでしまいました。
●7月14日は、代謝の話に移り、最も基本的な代謝経路である解糖の過程とミトコンドリア内で進むTCA回路と電子伝達系・酸化的リン酸化の過程について学びました。キーになる物質名は覚えておいてください。また酸化的リン酸化の実体、すなわちATPsynthaseというまさにマイクロマシンによるATP合成の過程を理解してくださいね。
●7月7日は、ずいぶんと早口でタンパク質の形とはたらきについて述べました。伝えたいことがいっぱいあるのであんな形になりましたが、聞いている身になったら、ちょっとつらいかもしれないナーと反省しています。教科書とネット上のパワーポイントのファイルを活用して、復習してくださいね。大事なことは、DNAにあ書き込まれた遺伝情報(塩基の配列)によりタンパク質の一次構造(アミノ酸の配列)が決まり、それに従って、二次構造(αヘリックス構造とβしーと構造が決まり、さらに三時構造が決まっていくことを、具体的にイメージできるようにしておくことです。
●6月30日から、この科目が開講されました。下のリンクをたどれば講義で使用したパワーポイントファイルを見ることができます。
6月30日は、生物学基礎の復習を兼ねて、もう一度、細胞の中でおこっている遺伝子の発現(gene expression)、すなわちDNAからmRNAへの転写と、そのmRNAを使った翻訳の過程について学び、さらに転写調節のお話をしました。大腸菌で明らかになったオペロン、それとリプレッサーによるオン・オフの仕組みです。復習と予習をお忘れなく。このページの更新が遅くなってごめんなさい。今週は教授会などで忙しかったので。(7月3日記す)
また、途中でつまずきそうになったら、教科書の前のほうや、該当しそうなWebページにアクセスして理解を確かなものにしてください。たとえば、下記のページなどが参考になります。
さらに勉強をしたい人は、上記ホームページ内に設けてあるリンクをたどれば、世界中の該当するWebサイトへアクセスして勉強を発展させられるようになっている。英語で書かれたページがほとんどだが、チャレンジしてみてほしい。
本を使って発展的に勉強したい人のために、副読本、参考書もあげておく。
副読本としては、講談社ブルーバックス、岩波新書などに含まれる生物学をあつかった本を読んでほしい。特に関係がありそうな本を掲げておく。
「理科系の作文技術」 木下是雄 中公新書624 昭和56年
「細胞を読む」 山科正平 講談社ブルーバックス
B-623 昭和60年
「超ミクロ世界への挑戦」 田中敬一 岩波新書 赤96 1989年
「DNA学のすすめ」 柳田充弘 講談社ブルーバックス
B-582 昭和59年
「RNA学のすすめ」 柳川弘志 講談社ブルーバックス
B-812 1990年
「遺伝子が語る生命像」 本庶 佑 講談社ブルーバックス
B-644 1986年
「酵素反応のしくみ」 藤本大二郎 講談社ブルーバックス B-1152 1997年
「生物物理の最前線」 日本生物物理学会 講談社ブルーバックス
B-843 1990年
「細胞膜とは何か」 神原武志 講談社ブルーバックス
B-702 昭和62年
「アポトーシスの科学」 山田 武・大山はるみ 講談社ブルーバックスB1006 1994年
「生物科学入門コース」1〜8 岩波書店
「岩波講座・分子生物学」1〜12 岩波書店
さらに詳しく学びたい人には、次の本を薦める。
参考書:細胞の分子生物学 第3版 Albertsほか 中村桂子・松原謙一監訳 教育社 平成7年
この科目は講義形式で行う。講義はおよそ次のような順序で進める。講義に参加することは必須である。あらかじめ予習をして講義に参加すること。
第1回 遺伝子としてのDNA
第2回 DNAからタンパク質へ(転写)
第3回 DNAからタンパク質へ(翻訳)
第4回 タンパク質の構造と機能
第5回 エネルギー代謝
第6回 エネルギーはどこから
第7回 代謝経路のネットワーク
第8回 タンパク質がさまざまな機能を担う
評価は定期試験期間内におこなう試験によっておこなう。講義時間内に小テストを行うことがある。
作 成:TMD WWW-WG 教養部生物学 和田 勝/wada@tmd.ac.jp
2007/05/09