生命科学特論B(平成20年度)
1年生前期に開講された「生物学基礎」では、生物学のごく基本的な枠組みを学んだ。この科目では、細胞に注目して、どのような物質からできているか、どのようにエネルギーを獲得しているか、どのように必要な物質を合成しているかをさらに詳しく学び、生きているとはどのようなことかを理解することを目標とする。
教科書は下記のものを指定します。なるべく教科書の内容に沿って授業を進めますが、教科書とは異なる視点、あるいは材料を使って説明をします。ですから、各自が適宜、該当する部分を読んで予習をし、講義が終わったら復習するような習慣をつけてください。大学での教科書の使い方は、高校までのように、教科書のxxページの説明を思案すというような講義は普通行われません。教科書は自分でどんどん詠み進めていってください
教科書:基礎からはじめる生物学・細胞生物学 和田 勝 羊土社 平成18年
参考書:エッセンシャル細胞生物学 Albertsほか 中村桂子ほか監訳 南江堂 平成11年
また、学生が自習できるように、「生命科学特論B」ホームページを設けてあります。このページにアクセスして、カラーの図を楽しんでください。
7月28日に、以下のような課題を出しました。期限を守って提出してください。
「生命科学特論B」の履修者へ
2回目の講義で出すべきだった夏休みの課題を出しておきます。
(課題)
以下の本を読んで、自分が興味を持ったタンパク質の機能に関する事項を見つけてください。次に、そのことが記されたページ数を記して事項について書いた後、そのことについてさらに自分で調べて、レポートを作成しなさい。なるべくタンパク質の構造と機能に迫ったレポートを期待します。
「タンパク質の一生 −生命活動の舞台裏−」
(岩波新書 新赤版 1139) 永田 和宏 (著)
価格: ¥ 777 (税込)
なお、自分の文と引用文を明確に区別し、引用した場合は出典を明記することなど、レポートの書き方については「教養部での学習マニュアル」を参照してください。レポートの分量は、ワープロで作成し、A4版に印刷したもので、表紙を除き4枚以上。
締め切りは9月18日の授業のときまで。なお、この本の内容は、教科書5章(7月22日の講義)の内容を補い、さらに詳細にしたものなので、これも試験範囲に加えるものとします。
和田 勝 7月28日
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1週間、間が開いてしまいましたが、7月22日に第3回目と第4回目の講義を行いました。1週間、間が開いたのはベルギーのリューベンで開かれた国際会議に出席するためでした。創立は古く、15世紀に最初の大本の組織ができたようです。ヨーロッパの多くの大学はキャンパスという概念がなく、この大学も町中に建物が分散していす。古い建物をうまく利用して大学本部が置かれているのですが、そこが会場でした。
さて、この日はしゃべりすぎました。教科書の配列とは少し異なる順序でしゃべったので、わかりにくかったかもしれませんが、タンパク質の生合成(すなわち翻訳)の過程を少し食わしkはなし、その結果できたたんぱく質がさまざまな機能を果たすという観点から話をしたつもりです。遺伝子-形質という対応からDNA-タンパク質に変わったことをよく認識し、このタンパク質が形質にどう反映されていくのかを考えて置いてください。多田、皆はあまり聞いていないふうで(中にはちゃんと参加している人もいましたが)、途中でかなりテンションが落ちました。人のせいにしてはいけないですね。
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7月8日に第1回目と第2回目の講義をおこないました。おおむね理解したというコメントが多くありました。一方ですでに学んでいたから理解できたというのもあり、また新しいことが多くて難しかった、理解できなかったというコメントも多くありました。これだと、新しいことは学べないということでしょうか。そのためにぜひ予習をして授業に臨んでください。また、わからなかったら復習をしてください。
最後に見たNHKの遺伝子の話では、ホメオティック遺伝子の鍵が、別の遺伝子を開くというような表現がありましたが、これはもちろん講義の中でお話したようにホメオティック遺伝子がコードしているホメオドメインを持つタンパク質がDNAと結合して、その結果転写を調節するということを、一般向けにわかりやすく表現したものです。ホメオボックスおよびホメオティックドメインについては、教科書の182ページからをご覧ください。
「生命科学特論B」(平成20年度)ホームページ
また、途中でつまずきそうになったら、教科書の前のほうや、該当しそうなWebページにアクセスして理解を確かなものにしてください。たとえば、下記のページなどが参考になります。
さらに勉強をしたい人は、上記ホームページ内に設けてあるリンクをたどれば、世界中の該当するWebサイトへアクセスして勉強を発展させられるようになっています。英語で書かれたページがほとんどですが、チャレンジしてみてください。
本を使って発展的に勉強したい人のために、副読本、参考書もあげておきます。
副読本としては、講談社ブルーバックス、岩波新書などに含まれる生物学をあつかった本を読んでほしいと思います。特に関係がありそうな本を掲げておきます。
「理科系の作文技術」 木下是雄 中公新書624 昭和56年
「細胞を読む」 山科正平 講談社ブルーバックス
B-623 昭和60年
「超ミクロ世界への挑戦」 田中敬一 岩波新書 赤96 1989年
「DNA学のすすめ」 柳田充弘 講談社ブルーバックス
B-582 昭和59年
「RNA学のすすめ」 柳川弘志 講談社ブルーバックス
B-812 1990年
「遺伝子が語る生命像」 本庶 佑 講談社ブルーバックス
B-644 1986年
「酵素反応のしくみ」 藤本大二郎 講談社ブルーバックス B-1152 1997年
「生物物理の最前線」 日本生物物理学会 講談社ブルーバックス
B-843 1990年
「細胞膜とは何か」 神原武志 講談社ブルーバックス
B-702 昭和62年
「アポトーシスの科学」 山田 武・大山はるみ 講談社ブルーバックスB1006 1994年
「生物科学入門コース」1〜8 岩波書店
「岩波講座・分子生物学」1〜12 岩波書店
さらに詳しく学びたい人には、次の本を薦めます。
参考書:細胞の分子生物学 第3版 Albertsほか 中村桂子・松原謙一監訳 教育社 平成7年
この科目は教科書の内容をある程度予習してきていることを前提に、パワーポイントのスライドを使って講義する形で授業を進めていきます。8回しかありませんので、その内容はおよそ次のようなものになります。教科書で言うと、3章の終わりから5章までです。君たちが講義に参加することは必須です。また、予習をして講義に参加することはマナーです。
第1回 ちょっと復習
第2回 DNAからタンパク質へ(転写)
第3回 DNAからタンパク質へ(翻訳)
第4回 タンパク質の構造と機能
第5回 エネルギー代謝
第6回 エネルギーはどこから
第7回 代謝経路のネットワーク
第8回 タンパク質がさまざまな機能を担う
評価は定期試験期間内におこなう試験によっておこないます。提出物を求めることがあります。また講義時間内に小テストを行うことがあるかもしれません。
作 成:TMD WWW-WG 教養部生物学 和田 勝/wada@tmd.ac.jp
2007/05/09