DNAの塩基配列や、タンパク質のアミノ酸配列に関する進化。
細胞
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突然変異の影響
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変異の遺伝
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体細胞
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個体レベルで消失
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一世代限りの変異
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生殖細胞
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進化の材料となる
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遺伝する
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突然変異の集団への固定
DNA比較により進化の過程がみられる ・ DNAは分子化石
- ダーウィンの進化論;自然淘汰説:表現型の変異
- 進化は生存に有利な突然変異が自然淘汰を受けて集団全体に広まった結果起こる。
- 木村資生;分子進化の中立説
- 進化はDNAやタンパク質といった分子レベルでは自然淘汰には無関係で、偶然による突然変異遺伝子が集団に固定した結果起こる。
分子進化速度(v):一定の期間内に遺伝子に蓄積される変異の数。
中立変異割合(f):有利な変異はきわめて少ないので無視する。
1−f=(有害な変異)。集団から速やかに除去されるので進化には寄与しない。
- v=fμT μT:全突然変異率
fは機能的制約を受ける。
重要な部分では機能的制約は大きく、fは小さくなる。結果、進化速度(v)は遅くなる。
重要でない部分では機能的制約は小さく、fは大きくなる。結果、進化速度(v)は速くなる。
スパラックス:盲目のネズミ・水晶体(タンパク質クリスタリンにより構成)はあるが使用されない。
スパラックスのクリスタリン遺伝子の進化速度をそれぞれの仮説に当てはめて考えると、次の表にようになる。
自然淘汰説
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分子進化説
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クリスタリン遺伝子の変異はどんな変異でも生存に有利とはならない。
従って、蓄積される変異の数は他のネズミよりも少ない。
よって、クリスタリン遺伝子はゆっくりと進化する。
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クリスタリンは機能していない。
従って機能的制約を受けない。
よって、クリスタリン遺伝子ははやく進化する。
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クリスタリンの比較

結論:スパラックスのクリスタリンの進化速度は4種の中で最も速い。
機能的制約が小さいほど、中立突然変異は上昇し、分子進化は速くなる。(中立説に従う)
以下、中立説を支持する例を挙げる。
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タンパク質
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単位進化時間(百万年)*
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機能頻度
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変異率
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フィブリノペプチド
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0.7
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低
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大
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ヘモグロビン
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5
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シトクロムc
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21
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ヒストンH4
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500
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高
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小
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*:100個のアミノ酸あたり、1個のアミノ酸に変異が出現するのに要する平均時間。
- アミノ酸のコドンを形成する3塩基における進化速度
A第1T第2T第3
同義置換:塩基が変化してもアミノ酸に変化が生じない置換。第3ポジションに多い。
第3ポジションの塩基置換速度は約2倍速い。
- 偽遺伝子の場合進化速度は速い。
偽遺伝子はある遺伝子をコピーして作られた遺伝子で、発現せず、機能を完全に失っているもの。
まとめ
形質の進化:ダーウィンの進化論
分子の進化:中立説...
問題点:重要な遺伝子は変異しにくいので、進化は置きにくい、ということになってしまう。
というわけで
新しい機能の進化 「どのようにして新しい遺伝子ができるのか?」

偽遺伝子ができると、そこでは機能的制約が小さいので、速く変異が起こる。それがやがて、さらなる変異により発現するようになると、新しいタンパク質ができあがる。
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